【生産量】
2018/19年度の砂糖生産量を国別に見ると、前年度世界第2位の生産量であったインドは、潤沢な降雨による単収増加を背景に、3558万トン(前年度比2.5%増)とわずかな増加が見込まれている(
図2)。一方、前年度世界最大の生産国となる見込みのブラジルは、主産地の中南部で乾燥した天候が続いていることに加え、サトウキビのエタノール仕向けが増加していることなどが影響して、3192万トン(同23.1%減)と大幅な減少が見込まれている。この結果、2018/19年度はブラジルに替わってインドが世界最大の生産国になるものとみられる。
EUやロシアは、北部を中心に高温少雨状態が続いており、単収の大幅減が予想されることから、それぞれ1906万トン(同11.5%減)、642万トン(同8.3%減)とかなりの減少が見込まれている。中国は、作付面積が微増傾向で推移する中、サトウキビ産地の南部を中心に潤沢な降雨が期待できることから、1142万トン(同2.4%増)とわずかな増加が見込まれている。
【輸入量】
中国は、国内生産量が堅調に推移する中、人口増による需要の拡大を受け、645万トン(前年度比0.8%増)とわずかな増加が見込まれている。また、インドネシアやマレーシアも、経済成長に伴う需要の拡大が期待できることから、それぞれ492万トン(同22.1%増)、215万トン(同8.9%増)と前年度を上回ると見込まれている。
【消費量】
最大消費国であるインドの2808万トン(前年度比2.0%増)を筆頭に、中国では1702万トン(同0.5%増)、インドネシアでは708万トン(同2.4%増)、と、人口増による需要の拡大が予想されるアジア圏を中心に、前年度を上回ると見込まれている。
一方で、大消費地域の一つであるEUでは、1812万トン(同0.9%減)とわずかな減少が続くと見込まれており、消費量第3位の中国との差が小さくなってきている。
【輸出量】
最大輸出国であるブラジルは、生産量の減少に直結する形で輸出量が落ち込み、2071万トン(前年度比33.1%減)と大幅な減少が見込まれている。一方、タイは、1364万トン(同32.6%増)と大幅な増加が見込まれている。これは、記録的な増産となった前年度と比べると減少する見通しであるものの、潤沢な降雨が期待できることなどから、平年を上回る生産が予想されており、これを受け、輸出も増加が見込まれるためである。
干ばつが懸念されていた豪州については、CCS(可製糖率)の平均が13.66%(前年同月比0.68ポイント増)と比較的高く、これによって干ばつの影響が一部相殺されるため、生産量の増加が見込まれることから、輸出量は373万トン(前年度比4.0%増)と増加が見込まれている。
生産量の増加が見込まれているインドは、需給引き締めを図るために政府が輸出関税の撤廃や補助金の給付を行ったことなどを受け、305万トン(同17.5%増)と大幅な増加が見込まれている。ただし、同国産の砂糖は生産コストが高く、国際市場での価格競争力が弱いことなどから、輸出増加のシナリオに疑問符を投げかける向きもある。
EUは、生産量の減少を受け、272万トン(同28.6%減)と大幅な減少が見込まれている。
なお、輸出補助金の給付により、前年度に輸出量を大幅に増加させたパキスタンは、少雨による生産減や、製糖業者によるサトウキビ代金の慢性的な支払遅延に伴う、綿花など他作物への転換などにより、大幅な減少が見込まれている。