2018/19年度の砂糖生産量、前月予測から下方修正
2018/19砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は869万ヘクタール(前年度比1.3%増)とわずかな増加が見込まれている(
表2)。しかし、サトウキビ生産量は、北東部を中心に乾燥気候が続いている影響から、5億9500万トン(同7.2%減)とかなりの程度の減少が見込まれている。これを受け、砂糖生産量は、前月予測から2.0%下方修正され、3192万トン(同23.1%減)と前年度からの大幅な減少が見込まれている。
サトウキビ生産量については、降雨の少ない状態が10月まで続くとの報道を受け、また、砂糖生産量については、価格優位性のあるエタノールへの仕向けが増えると見込まれることを受け、多くの民間調査会社も同様に、サトウキビ生産量、砂糖生産量がともに前年度を下回ると見込んでいる。
また、UNICAは8月24日、8月上半期のサトウキビ圧搾量が3356万トン(前年同期比26.1%減)、砂糖生産量は171万トン(同45.9%減)と、ともに大幅に減少したと発表した。これは、降雨による5日程度の収穫遅れが主因であるとされるが、UNICAは、エタノール需要の拡大と砂糖価格の低迷が続く中、今年度の砂糖生産が大きく減少する兆候が見られると警戒している。
主産地の中南部、過去5年で最低の生産量
現地報道によると、砂糖生産シェアの9割を有する中南部における、2018/19年度の製糖業者のサトウキビ処理量が、5億8400万トン(前年度比4%減)と4年ぶりの低水準にとどまる見通しである。サンパウロ州を中心とした深刻な干ばつに加え、国際相場低迷に伴う、サトウキビ畑の更新遅れなど設備投資の先細りが、背景にあるとしている。
民間調査会社は、2018年下半期については、エルニーニョ現象により一定の降雨を得られる公算が高いものの、10月までの向こう数週間にかけてまとまった降雨が得られない場合、2019/20年度の生産にも影響が生じる可能性を示唆している。
サトウキビ農家、品目切り替えの動き
現地報道によると、世界的に砂糖需給が緩慢な状態が続き、砂糖価格の低迷が続く中、一部の農家の間では、サトウキビから大豆へと品目を切り替える動きが見られる。
中国における食肉需要の台頭を受け、ブラジル産大豆の輸入量が、ここ5年で2.5倍と急増している。米中間の貿易紛争が長期化の様相を呈する中、今後も輸入需要は拡大の一途をたどると見込まれており、一部の農家は、価格の低迷が続くサトウキビから大豆へと品目を切り替えているという。製糖業者の間では、こうした「大豆ブーム」に
抗うのではなく、むしろサトウキビ畑の更新時に大豆の栽培を奨励する(これまでは単に休閑地となっていた)など、品目ローテーションの一環に、収益性の高い大豆栽培を積極的に取り入れる動きが見られる。