砂糖類の国内需給
最終更新日:2018年11月9日
砂糖類の国内需給
2018年11月
1. 需給見通し
農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。9月に「平成30砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第1回)」を公表した。
(1)砂糖の消費量
平成29砂糖年度(10月〜翌9月)の砂糖の消費量は、190万6000トン(前年度比1.2%減)の見込みである(
表1)。内訳を見ると、分みつ糖の消費量が187万1000トン(同1.2%減)、含みつ糖の消費量が3万6000トン(前年度同)の見込みである。
30砂糖年度の砂糖の消費量は、192万5000トン(前年度比1.0%増)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖の消費量は、近年の消費動向を基に、景気は緩やかな回復基調が続いていることなどを踏まえ、189万トン(同1.0%増)と見通している。含みつ糖の消費量は、近年の消費動向などを勘案し、3万5000トン(同2.2%減)と見通している。
(2)砂糖の供給量
平成29砂糖年度の砂糖の供給量は、190万7000トン(前年度比1.0%増)の見込みである。内訳を見ると、分みつ糖が188万7000トン(同1.0%増)、含みつ糖が2万トン(前年度同)と見通している。国内産糖の供給量は、29年産におけるてん菜が天候に恵まれたことなどから順調に生育し、単収・糖度ともに平年を上回って、豊作となったことから、てん菜の産糖量の大幅な増加などにより、79万4000トン(精製糖換算。前年度比15.4%増)とかなり大きく増加する見込みである。
30砂糖年度の砂糖の供給量は、190万9000トン(前年度比0.1%増)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖が188万9000トン(同0.1%増)、含みつ糖が1万9000トン(同5.0%減)と見通している。国内産糖(分みつ糖)の供給量は、てん菜については、作付面積が前年産に比べて1.6%(約930ヘクタール)減少、作柄については春先の天候に恵まれ初期生育は順調に推移したが、6月中旬以降、多雨・寡照となり生育が停滞しており、全体としては平年並みの生育となっていることから、産糖量は56万9000トン(前年産比13.3%減)、供給量は56万9000トン(精製糖換算。前年度比13.3%減)と見通している。
サトウキビについては、作付面積が前年産に比べて4.1%(約970ヘクタール)減少、作柄については、梅雨期の少雨により各地域で干ばつが発生したことや6月の早い時期から台風が襲来したことにより一部地域で被害が見られるものの、平年並みの歩留まりとなることを見込んでいることから、産糖量は13万7000トン(前年産比1.8%増)、供給量は13万トン(精製糖換算。前年度比1.8%増)と見通している。
(3)異性化糖の需給
平成30砂糖年度の異性化糖の消費量は、近年の消費動向などを踏まえ、81万7000トン(前年度比1.3%減)と見通している(
表2)。また、異性化糖の供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。
2. 異性化糖の移出動向
9月の移出数量は前年同月からやや増加
2018年9月の異性化糖の移出数量は、6万7773トン(前年同月比4.2%増、前月比16.7%減)であった(
図1)。
9月の規格別の移出量は、次の通りであった(
図2)。
果糖含有率40%未満 385トン
(前年同月比0.3%増、前月比2.9%減)
同40%以上50%未満 1万6448トン
(同4.0%減、同14.1%減)
同50%以上60%未満 5万31トン
(同7.5%増、同17.3%減)
同60%以上 909トン
(同7.5%減、同29.4%減)
3. 輸入動向
【分みつ糖の輸入動向】
8月の輸入量は前年同月および前月から大幅に増加
財務省「貿易統計」によると、2018年8月の分みつ糖(HSコード 1701.14-110)の輸入量は、2万9101トン(前年同月比3.5倍、前月比26.8%増)であった(
図3)。
輸入先国はタイのみで、輸入量は次の通りであった(
図4)。
タイ 2万9101トン
(前年同月比145.5倍、前月比26.8%増)
また、同月における豪州からの高糖度原料糖(糖度98.5度以上99.3度未満、HSコード1701.14-200)の輸入量は、3万2220トン(前年同月比67.9%減、前月比73.0%減)であった。
2018年8月の1トン当たりの輸入価格は、3万4621円(前年同月比15.6%安、前月比8.6%安)であった(
図5)。
タイ 3万4621円
(前年同月比35.6%安、前月比8.6%安)
また、同月における豪州からの高糖度原料糖の1トン当たりの輸入価格は、3万8956円(前年同月比10.8%安、前月比2.4%高)であった。
【含みつ糖の輸入動向】
8月の輸入量は前月から大幅に減少
財務省「貿易統計」によると、2018年8月の含みつ糖(HSコード 1701.13-000、1701.14-190)の輸入量は、199トン(前年同月同、前月比17.4%減)であった(
図6)。
輸入先国は中国、フィリピンおよびタイの3カ国で、国別の輸入量は次の通りであった(
図7)。
中国 145トン
(前年同月比2.7倍、前月比25.6%減)
フィリピン 33トン
(同60.7%減、同32.0%増)
タイ 21トン
(同65.6%減、前月同)
2018年8月の1トン当たりの輸入価格は、13万8146円(前年同月比6.8%高、前月比4.7%高)であった(
図8)。
国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。
中国 13万9221円
(前年同月比7.8%安、前月比10.9%高)
フィリピン 16万242円
(同22.0%高、同24.3%安)
タイ 9万6000円
(同10.5%安、同0.1%高)
【加糖調製品の輸入動向】
8月の加糖調製品の輸入量は前年同月からかなり増加
財務省「貿易統計」によると、2018年8月の加糖調製品の輸入量は、5万1867トン(前年同月比8.1%増、前月比7.4%増)であった(
図9)。
品目別の輸入量は、次の通りであった(
表3)。
4. 価格動向
【市場価格】
砂糖、異性化糖ともに前月と同水準で推移
9月の糖種別・地域別の砂糖価格(日経相場)は次の通りであった。
上白糖(大袋)
東京 1キログラム当たり187〜188円
大阪 同187〜188円
名古屋 同191円
関門 同191円
上白糖(小袋)
東京 1キログラム当たり199〜202円
大阪 同202円
本グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり192〜193円
大阪 同192〜193円
名古屋 同196円
ビート・グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり187〜188円
大阪 同187〜188円
名古屋 同189円
9月の異性化糖の価格(日経相場、大口需要家向け価格、東京、タンクローリーもの、JAS規格品、水分25%)は、次の通りであった。
果糖分42%もの
1キログラム当たり131〜132円
果糖分55%もの
同137〜138円
【小売価格】
9月の上白糖小袋の地域間の価格差は最大で19.2円
KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける9月の上白糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、191.6円(前年同月差2.4円安、前月差0.1円安)であった。
同月の地域別
(注)の平均小売価格は次の通りであった(
表4)。
最も高かったのは東北で、最も安かった中部との価格差は19.2円であった。
(注)地域の内訳は次の通りである。以下、グラニュー糖および三温糖も同じである。
関東など:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
首都圏:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
中 部:新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
関 西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県
9月のグラニュー糖小袋の地域間の価格差は最大で72.3円
KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける9月のグラニュー糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、243.0円(前年同月差1.6円安、前月差0.2円安)であった。
同月の地域別の平均小売価格は次の通りであった(
表5)。
最も高かったのは東北で、最も安かった北海道との価格差は72.3円であった。
9月の三温糖小袋の地域間の価格差は最大で53.8円
KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける9月の三温糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、236.3円(前年同月差1.4円安、前月差1.1円高)であった。
同月の地域別の平均小売価格は次の通りであった(
表6)。
最も高かったのは東北で、最も安かった九州・沖縄との価格差は53.8円であった。
【購入金額および購入量】
8月の砂糖の支出金額は前年同月からかなり下落
総務省「家計調査」によると、2018年8月における100世帯当たりの砂糖の購入頻度は31、1世帯(2人以上)当たりの支出金額は、79円(前年同月比15.1%安、前月比14.1%安)であった(
図10)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、354グラム(同17.3%減、同5.1%減)であった(
図11)。
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