2018/19年度、砂糖生産量、輸出量ともに大幅に減少する見込み
LMC International(農産物の需給などを調査する英国の民間調査会社)の2018年10月時点の予測によると(以下、特段の断りがない限り同予測に基づく記述)、2018/19砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、869万ヘクタール(前年度比1.3%増)とわずかな増加が見込まれている。一方、生産量は、北東部地域の全域と中南部地域の一部で高温少雨が続き、生育の遅れが見られることから、5億9500万トン(同7.2%減)とかなりの減少が見込まれている(
表2)。砂糖生産量は、サトウキビの減産に加え、国際価格の下落などからサトウキビをバイオエタノール生産に仕向ける動きが加速すると予測されるため、3170万トン(粗糖換算〈以下、特段の断りがない限り砂糖に係る数量は粗糖換算〉、同23.6%減)と大幅な減少が見込まれている。輸出量は、主要輸出相手国である中国が追加関税措置を実施していることなども影響して、2049万トン(同33.9%減)と大幅な減少が見込まれている。
メルコスール、韓国とのFTA交渉を開始
ブラジルなど南米4カ国で構成される南米南部共同市場(メルコスール)と韓国との自由貿易協定(FTA)の第1回目の交渉会合が9月中旬、ウルグアイで開催された。現地報道によると、今回の会合では今後の進め方の確認や双方の関心事項などについて幅広く意見交換が行われたとみられる。この交渉でメルコスール側は、農産品の市場アクセス拡大を優先事項として掲げている。中でもブラジルは、韓国にとって第3位の砂糖輸入相手国であるものの、2015年に発効した韓国・豪州FTAにより第1位の豪州に大きく水をあけられていることから、砂糖に関して大幅な関税率の引き下げまたは撤廃を求めていくものと思われる
(注)。
また、メルコスールの外相会合が行われた10月15日、ブラジル外務相は記者会見で、大詰めを迎えるメルコスールとEUとのFTA交渉をめぐり、ブラジル大統領選挙の結果が今後の交渉に不要な憶測や混乱を与えないよう「大統領選挙がどのような結果であっても、メルコスールとEUとのFTA交渉には何ら影響しないだろう」と述べ、年内に妥結する姿勢に変わりはないことを強調した。
(注)韓国では、粗糖(糖度99.5度未満)に対し3%の関税率(基本税率)が適用されるが、豪州産の粗糖は無税となっている。また、精製糖にあっては30%の関税率が適用され、豪州産は毎年約2%ずつ段階的に引き下げられ、最終的に無税になる(2018年現在は25.2%)。
政府、食品中の糖類を削減することで食品メーカーと合意
ブラジル保健相は10月1日、飲料、ビスケット、チョコレートなどの加工食品に含まれる糖類の量を削減することで食品メーカーと合意したと発表した。今のところ具体的な削減目標は明らかにされていないが、2021年までに目標を達成するとしている。同相は、「食品メーカーとの連携は国民の健康づくりの推進に不可欠な要素であり、食品の糖類含有量の削減を通して高齢者の生活の質の向上につなげていきたい」と述べた。
ブラジルは、成人の2人に1人が肥満という状況にある(
図3)。特に、高齢者の8割が肥満または過体重であるとされ、その割合は増加の一途をたどっている。これと深く関係する糖尿病などの生活習慣病の患者数も年々増加しており、今回の政府の決定の背景には、今後高齢化が進むと見込まれる中、医療や介護などの社会保障費を抑制したいという思惑があると思われる。