(2)砂糖類を用いた商品のラインナップ数
使用する商品のラインナップ数を種類別に見ると、砂糖、異性化糖ともに、1企業当たり「101点以上」が最も多かった(
図4)。
一方、黒糖は、「10点以下」が最多で、かつ、51点以上の商品に用いる企業は見られなかった。
(3)砂糖類を使用する理由
砂糖類を使用する理由として、「商品に風味を加える」が37件、次いで「甘味料そのものの味、風味が良い」が34件と、この2項目が圧倒的に多かった(
図5)。「商品に風味を加える」は、製菓業を中心に、ソース・たれ・つゆ類や総菜の製造業などさまざまな企業が回答しており、食欲を増進させるような香りや味わいを出すのに砂糖類の使用が適していると言える。
種類別に見ると、異性化糖は「製造原価(製造コスト)を抑える」「口当たりを良くする」との回答が相対的に多かった。
「商品の付加価値を高める」と回答した全ての企業は、黒糖を使用している。なお、砂糖類を使用した具体的な商品名を尋ねたところ、黒糖を使用した商品では、ほとんどの企業がパッケージに「黒糖」と表記したり、「黒糖」の使用を全面に打ち出した商品展開をしていた。
(4)仕入量の動向
ア.直近1年間の仕入量
平成28年(1〜12月、以下同じ)の仕入量を種類別に見ると、砂糖、異性化糖ともに、「1000トン未満」が最も多く、次いで「1000トン以上3000トン未満」の順であった(
図6)。なお、異性化糖については、「9000トン以上」との回答が18.8%と、全体の約2割を占めた。
また、黒糖は「20トン未満」が最多であり、全体の半数を占めた(
図7)。
イ.昨年と比較した仕入量の動向
平成27年と比較した28年の仕入量の動向は、いずれの種類も「横ばい」が最も多く、全体の約6〜7割を占めた(
図8)。
横ばい以外を回答した企業の増減要因としては、「既存商品の需要の変動」を挙げる企業が多かった。「大幅に増加」「やや増加」と回答した企業は、新商品開発や他の甘味料からの切り替えを理由に挙げ、製菓業が多かった。これは、堅調な国内需要を下支えに、近年増加している訪日外国人観光客によるインバウンド需要で、菓子類の販売が好調に推移していることも、少なからず背景にあるものと推察される。
一方、「やや減少」「大幅に減少」と回答した企業は、総菜製造業や調味料製造業が多かった。
ウ.今後の仕入量の見込み
今後の仕入量の見込みは、いずれの種類も「横ばい」が圧倒的に多かった(
図9)。
横ばい以外を回答した企業の増減要因としては、全体として「既存商品の需要の変動」を挙げる企業がほとんどであった。「大幅に増加する見込み」「やや増加する見込み」と回答した企業は製菓業や乳飲料・乳製品製造業、「やや減少する見込み」と回答した企業は調味料製造業であった。
(5)仕入価格の動向
ア.直近の仕入価格
1キログラム当たりの仕入価格(平成29年1月時点)は、種類ごとに価格帯が異なっていた。
種類別に見ると、砂糖は「170円未満」が、異性化糖は「100円未満」が約半数を占めた(
図10)。なお、日本経済新聞社が公表する「主要相場」(以下「日経相場」という)によると、29年1月の上白糖の月平均市中価格(東京、大袋)は1キログラム当たり193円(
図11)、糖化製品市中相場の異性化糖の月平均市中価格は、果糖分42%のものが同131〜132円、果糖分55%のものが同137〜138円であることから、いずれも日経相場を下回る仕入価格であった。
また、黒糖は「400円以上500円未満」が最も多く、総じて他の砂糖類よりも高い傾向にあった。
イ.昨年と比較した仕入価格
平成27年と比べた28年の仕入価格の動向は、砂糖は「大幅に上昇」と「やや上昇」を合わせると全体の約7割を占める一方、異性化糖は、「横ばい」が半数を占めるなか、「やや下落」との回答が40.6%あった(
図12)。
増減要因としては、「市場価格(相場)の変動によるもの」「仕入れ先の価格改定によるもの」を挙げる企業が多かった。
実際に、日経相場の上白糖の市中価格(東京、大袋)は、平成28年1月から段階的に値上がりしている(
図11)。
黒糖は全体の約8割を「横ばい」が占め、おおむね安定的に推移していると言える。
(6)砂糖類に対する評価
砂糖類に対する評価を「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」の5段階評価で尋ねたところ、品質面については、「満足」「やや満足」を合わせると、いずれも過半を占めた(
図13)。
調達面についても、「満足」「やや満足」を合わせると、いずれも半数を占めた(
図14)。「不満」「やや不満」と回答した企業は、製菓業に多く見られ、その理由として、砂糖については国際相場の上昇に伴う市中価格の変動を、黒糖については不安定な生産量を挙げた。なお、現在使用する砂糖類の他の甘味料への切り替えの意向について尋ねたところ、52社全てが継続して使用する意向を示した。