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砂糖類の国内需給

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最終更新日:2018年12月10日

砂糖類の国内需給

2018年12月

調査情報部

1. 需給見通し

  農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。9月に「平成30砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第1回)」を公表した(詳細は2018年11月号参照)。

 

 

 

2. てん菜の生産見込み

生産量は、豊作であった前年産と比べて下回るものの、平年並みとなる見込み
 北海道農政部生産振興局農産振興課は、10月18日に「平成30年産てん菜の生産見込数量(平成30年8月20日現在)」を公表した。
 
 作付面積は、5万7209ヘクタール(前年産比1.6%減)と、前年産に比べて930ヘクタール減少した(表3)。地域別に見ると、十勝地域が2万5066ヘクタール(同1.9%減)、オホーツク地域が2万3378ヘクタール(同2.1%減)と前年産を下回った一方で、道央地域4257ヘクタール(同0.5%増)、道南地域4508ヘクタール(同1.2%増)は前年産を上回った。

 1ヘクタール当たりの収量は、61.0トン(同9.1%減)と、過去10カ年の中で最高を記録した前年産の収量を下回る見込みである。この結果、30年産のてん菜の生産量は349万1000トンと前年産比では10.5%減少するものの、おおむね平年並みとなる見込みである。

 また、てん菜の糖分は、生育がおおむね順調に推移したことから、29年産(17.1度)に引き続き好成績になることが予想される。

 製糖工場の操業について、早い工場では10月14日から開始し、同月19日にはすべての工場が操業を開始している。操業開始日については、てん菜生産量の対前年比での減少が見込まれていることから、6工場が前年に比べて操業を遅らせる、または同日とするなどの対応をとっている。

 

3. 異性化糖の移出動向

10月の移出数量は前年同月からかなり増加
 
2018年10月の異性化糖の移出数量は、6万5404トン(前年同月比9.0%増、前月比3.5%減)であった(図1)。
 10月の規格別の移出量は、次の通りであった(図2)。

果糖含有率40%未満     457トン
 (前年同月比4.6%増、前月比18.8%増)
同40%以上50%未満  1万7417トン
 (同0.8%増、同5.9%増)
同50%以上60%未満  4万6772トン
 (同12.1%増、同6.5%減)
同60%以上            758トン
 (同35.8%増、同16.7%減)
 

4. 輸入動向

【分みつ糖の輸入動向】
9月の輸入量は前年同月および前月から大幅に減少

 財務省「貿易統計」によると、2018年9月の分みつ糖(HSコード 1701.14-110)の輸入量は、1万3984トン(前年同月比48.4%減、前月比51.9%減)であった(図3)。
 輸入先国はタイおよび米国で、輸入量は次の通りであった(図4)。

タイ  1万3965トン
 (前年同月比64.8%増、前月比52.0%減)
米国      19トン
 (前年同月および前月輸入実績なし)

  また、同月における豪州からの高糖度原料糖(糖度98.5度以上99.3度未満、HSコード1701.14-200)の輸入量は、7万6815トン(前年同月比25.6%減、前月比2.4倍)であった。

 

 

 2018年9月の1トン当たりの輸入価格は、3万3328円(前年同月比22.4%安、前月比3.7%安)であった(図5)。

タイ    3万3233円
 (前年同月比26.1%安、前月比4.0%安)
米国  10万3211円
 (前年同月および前月輸入実績なし)

 また、同月における豪州からの高糖度原料糖の1トン当たりの輸入価格は、3万7296円(前年同月比11.8%安、前月比4.3%安)であった。

 

含みつ糖の輸入動向】
9月の輸入量は前月から大幅に増加

 財務省「貿易統計」によると、2018年9月の含みつ糖(HSコード 1701.13-000、1701.14-190)の輸入量は、238トン(前年同月13.3%増、前月比19.6%増)であった(図6)。
 輸入先国は中国、フィリピンおよびタイの3カ国で、国別の輸入量は次の通りであった(図7)。

中国      196トン
 (前年同月比67.5%増、前月比35.2%増)
フィリピン    21トン
 (前年同月輸入実績なし、同36.4%減)
タイ        21トン
 (前年同月比50.0%減、前月同) 

 

 

 2018年9月の1トン当たりの輸入価格は、12万2828円(前年同月比6.4%高、前月比11.1%安)であった(図8)。 
 国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

中国       13万1372円
 (前年同月比6.9%高、前月比5.6%安)
フィリピン   10万9619円
 (前年同月輸入実績なし、同31.6%安)
タイ        5万6286円
 (前年同月比26.1%安、同41.4%安)

 

【加糖調製品の輸入動向】
9月の加糖調製品の輸入量は前年同月および前月から大幅に減少

 財務省「貿易統計」によると、2018年9月の加糖調製品の輸入量は、4万3204トン(前年同月比16.4%減、前月比16.6%減)であった(図9)。
 品目別の輸入量は、次の通りであった(表4)。
 

 

 

5. 価格動向

【市場価格】
砂糖、異性化糖ともに前月と同水準で推移

 10月の糖種別・地域別の砂糖価格(日経相場)は次の通りであった。

上白糖(大袋)
東京  1キログラム当たり187〜188円
大阪             同187〜188円
名古屋                同191円
関門                  同191円

上白糖(小袋)
東京  1キログラム当たり199〜202円
大阪                同202円

本グラニュー糖(大袋)
東京  1キログラム当たり192〜193円
大阪             同192〜193円
名古屋                同196円

ビート・グラニュー糖(大袋)
東京    1キログラム当たり187〜188円
大阪             同187〜188円
名古屋                同189円

 10月の異性化糖の価格(日経相場、大口需要家向け価格、東京、タンクローリーもの、JAS規格品、水分25%)は、次の通りであった。

果糖分42%もの
     1キログラム当たり131〜132円
果糖分55%もの
                同137〜138円
    
【小売価格】
10月の上白糖小袋の地域間の価格差は最大で21.0円

 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける10月の上白糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、192.9円(前年同月差0.3円高、前月差1.2円高)であった。
 同月の地域別(注)の平均小売価格は次の通りであった(表5)。


 最も高かったのは東北で、最も安かった中部との価格差は21.0円であった。

(注)地域の内訳は次の通りである。以下、グラニュー糖および三温糖も同じである。
関東など:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
首都圏:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
中 部:新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
関 西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県
10月のグラニュー糖小袋の地域間の価格差は最大で72.3円
 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける10月のグラニュー糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、243.7円(前年同月差1.0円安、前月差0.7円高)であった。 
 同月の地域別の平均小売価格は次の通りであった(表6)。
 

 最も高かったのは東北で、最も安かった北海道との価格差は72.3円であった。

10月の三温糖小袋の地域間の価格差は最大で59.8円
 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける10月の三温糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、236.6円(前年同月差0.4円高、前月差0.2円高)であった。
 同月の地域別の平均小売価格は次の通りであった(表7)。


 最も高かったのは東北で、最も安かった九州・沖縄との価格差は59.8円であった。

 
【購入金額および購入量】
9月の砂糖の支出金額は前年同月からかなり下落

 総務省「家計調査」によると、2018年9月における100世帯当たりの砂糖の購入頻度は32、1世帯(2人以上)当たりの支出金額は、75円(前年同月比13.8%安、前月比5.1%安)であった(図10)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、348グラム(同13.4%減、同1.7%減)であった(図11)。

 

 

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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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