2018/19年度、砂糖生産量はわずかに増加、輸出量はやや減少の見込み
2018/19砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、39万ヘクタール(前年度比2.5%増)とわずかな増加が見込まれるが、夏期にクイーンズランド州とニューサウスウェールズ州で発生した干ばつの影響を受けて、生産量は、3279万トン(同1.7%減)とわずかな減少が見込まれている(
表6)。砂糖生産量は、449万トン(同0.6%増)とほぼ横ばいで推移すると見込まれている。これにより、輸出量は345万トン(同3.2%減)とやや減少すると見込まれている。
豪州砂糖製造業者協議会、TPP11協定の発効を歓迎
豪州砂糖製造業者協議会(Australian Sugar Milling Council)
(注)は10月31日、TPP11協定が発効要件を満たしたことを受け、声明を発表した。声明では、「豪州の砂糖産業は新たな輸出の機会を得た」と述べるとともに、交渉にあたったサイモン・バーミンガム貿易投資大臣に感謝の意を伝えた。豪州の製糖業者は、TPP11協定の恩恵を最大限に享受し、さらなる輸出拡大を図りたいと考えている。特に、主要な輸出相手国である日本に対しては、2015年1月に発効した日豪EPAよりも有利な条件で砂糖を輸出できるようになるため、日本市場でのシェア拡大に期待を寄せている。米国農務省(USDA)の報告によると、豪州では、健康志向の高まりから、中長期的に1人当たりの砂糖消費量が減少し、国内の需要が低迷すると予測されているが、TPP11協定の発効によって砂糖輸出量が増加すれば、結果として砂糖業界に恩恵がもたらされると考えられる。
(注)豪州の製糖業者が加盟する団体。
ドイツの種苗会社、豪州でてん菜の栽培に踏み出す
現地報道によると、ドイツの種苗会社KWS社は、豪州南部の比較的冷涼な地域であるタスマニア州とビクトリア州で、てん菜の栽培実験を行うと発表した。てん菜を原料とした砂糖生産の商業化を実現するため、豪州の気象や土壌条件に適する5種類の新品種を新たに開発して実験を行う。計画では、まずタスマニア州の
圃場で試験的に作付けし、研究成果を見ながらビクトリア州の圃場にも作付けを広げる。てん菜は、他の根菜類と比べ安定的な収入が得られ、かつ新たな輪作作物としても活用できると期待されている。また、ビクトリア州では、既に飼料用てん菜(ビーツ)が栽培されているため、そのノウハウをてん菜にも応用できると見ている。同社は、今回の栽培実験を通じて同国での製糖事業への投資も視野に入れているとみられる。