【生産量】
2018/19年度の砂糖生産量を国別に見ると、インドは、砂糖生産量第1位のウッタル・プラデーシュ州で豪雨の被害を受けたほか、第2位のマハラシュトラ州と第3位のカルナータカ州で干ばつや害虫被害が発生した影響で生育が停滞していることから、3235万トン(前年度比6.8%減)とかなりの減少が見込まれている(
図2)。ただし、他の作物より収益性の高いサトウキビへの生産意欲の高まりを背景に、過去最大を記録した前年度に次ぐ生産量を維持すると見込まれるため、結果として、ブラジルを抜き世界第1位の砂糖生産国になるとみられる。
ブラジルは6月から8月にかけ主産地の中南部を中心に乾燥した天候が続いたことで生育にマイナスの影響が出ているほか、砂糖の国際価格の低迷を受けサトウキビのエタノール生産への仕向け割合が7割に達する勢いで推移していることなどから、3064万トン(同26.2%減)と大幅な減少が見込まれている。
EUは、春先の寒波によりてん菜の
播種が遅れたことに加え、記録的な猛暑に見舞われ、収量が大幅に低下するとみられることから、1847万トン(同14.6%減)とかなりの減少が見込まれている。
タイは、台風の勢力が弱まった熱帯低気圧が多く通過した影響でサトウキビの倒伏、茎葉の傷みなどが発生していることから、1439万トン(同7.7%減)とかなりの減少が見込まれている。
【輸入量】
中国は、砂糖への追加関税措置を継続する見通しであることから、573万トン(前年度比5.2%減)とやや減少すると見込まれている。また、インドも、砂糖の過剰在庫が解消される見通しが立っていないことから、前年度の半分に相当する113万トン(同51.3%減)まで減少すると見込まれている。
他方、インドネシアは、昨今の景気動向や人口が右肩上がりで推移していることなどから、494万トン(同18.4%増)と大幅な増加が見込まれている。
【消費量】
昨今の景気動向や個人消費が堅調に推移していることを踏まえ、インドは2808万トン(前年度比2.0%増)、中国は1714万トン(同1.2%増)、インドネシアは707万トン(同2.4%増)とわずかな増加が見込まれている。 他方、タイは、糖類を含む飲料に対する課税の本格的な運用が開始されることから、313万トン(同6.3%減)とかなりの減少が見込まれている。
【輸出量】
ブラジルは、砂糖の国際価格の低迷を背景に、砂糖の輸出に消極的でバイオエタノール生産を加速させる動きが見られることから、1943万トン(前年度比37.3%減)と大幅な減少が見込まれている。
EUは、てん菜の減産により砂糖生産量が消費量と同等の水準となり、輸出余力が低下するとみられることから、前年度の半分以下の163万トン(同57.2%減)まで減少すると見込まれている。
他方、タイは、内需が縮小するため、輸出意欲が高まるとみられることから、1305万トン(同29.5%増)と大幅な増加が見込まれている。
インドは、砂糖の過剰在庫の解消に向け、補助金政策や最低輸出義務の設定など、輸出に対する政府介入の度合いが強まるとみられるため、416万トン(同76.2%増)と大幅な増加が見込まれている。