2018/19年度、砂糖生産量、輸出量ともに大幅に減少する見込み
2018/19砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、869万ヘクタール(前年度比1.3%増)とわずかな増加が見込まれている。一方、生産量は、北東部地域の全域と中南部地域の一部で高温少雨が続き、生育の遅れが見られることから、6億200万トン(同6.1%減)とかなりの減少が見込まれている(
表2)。砂糖生産量は、サトウキビの減産に加え、堅調なエタノール価格を追い風に、サトウキビをバイオエタノール生産に仕向ける動きが加速すると予測されるため、3064万トン(同26.2%減)と大幅な減少が見込まれている。輸出量は、主要輸出相手国である中国が追加関税措置を実施していることなども影響して、1943万トン(同37.3%減)と大幅な減少が見込まれている。
中国の追加関税措置をめぐり、12月下旬にWTOのパネル設置を要求か
中国政府が課す砂糖への追加関税措置をめぐって、ブラジル政府が10月下旬にWTOの紛争解決手続きの一つである2国間協議を要請してから、一向に進展する気配が見られない。WTO協定では、2国間協議において60日以内に両国が合意できなければ、提訴した国が小委員会(パネル)の設置を求めることができると定めている。このため、ブラジル関係者の間では、60日目を迎える12月18日以降、ブラジル政府がこの定めに基づきパネルの設置を求めるのではとの憶測が広がっている。
UNICAは、「中国がセーフガードを発効して以降、ブラジルから中国への砂糖輸出量が前年の10分の1まで激減した。われわれが中国政府に期待することは、関税を元の水準に戻すことだ」と述べた。現地報道によると、ブラジル政府は中国政府に対し、中国が追加関税措置の終了期限と定める2020年半ばまでの間、ブラジルから輸入する砂糖に対し、毎年250トンを上限に関税率50%を適用するよう求めているとされる。
製糖業者、次年度に向けてエタノール生産設備へ投資の動き
現地報道によると、2019年1月に大統領に就任するジャイル・ボルソナロ氏がバイオ燃料の開発や普及を促進する姿勢を打ち出していることを受け、ブラジルの製糖業者の間で、バイオエタノールに関連した設備投資が活発化している。世界的な穀物商社の一つ、ルイ・ドレフュス・ホールディング傘下のBiosev社は、サトウキビのエタノール生産への仕向け割合を現行の50%から90%へ引き上げる計画で、すでにこれに対応した施設の建設に着手したと発表した。また、大手製糖業者のUsina Coruripe社や中規模の製糖業者でも、バイオエタノールの生産能力を増強するために必要な投資を行っている。製糖業者の多くは、サトウキビのバイオエタノール生産への仕向け割合を高めることで世界の砂糖需給を引き締め、現在低迷する国際価格を押し上げたいとの狙いもある。
ブラジル鉱山エネルギー省は、政府が2018年に施行した再生可能エネルギー促進政策「Renova Bio」により、バイオ燃料の需要は2018年の267億リットルから2028年には471億リットルまで増加すると予測している。