ア.人工甘味料の用途
人工甘味料の用途を見ると「キャンディー・グミ・チューインガム」が13件と最も多く、次いで「コーヒー・ココア・紅茶飲料」が10件、「炭酸飲料・スポーツドリンク類」が9件、「はっ酵乳・乳酸菌飲料」「プリン・ゼリー類」がともに7件と続く(
図17)。「その他」の用途は、ミント系のタブレット菓子や、水などに溶かして飲む粉末状の飲料などであった。
全体的な傾向としては、飲料向けの用途が多かった。
イ.人工甘味料を使用する商品の数
人工甘味料を使用する商品の数は、種類ごとにやや異なった(
図18)。アスパルテームは「10点以下」「11〜50点」「51〜100点」が同率で分散され、アセスルファムカリウムは「10点以下」が、スクラロースは「11〜50点」が最も多かった。
ウ.人工甘味料を使用する理由
人工甘味料を使用する理由は、「他の甘味料との併用による甘さ調整」が17件と最も多く、次いで「甘味料そのものの味、風味が良い」(14件)、「商品に風味を加える」(12件)の順であった(
図19)。
種類別に見ても、おおむね同様の傾向が見られた。上位回答の「他の甘味料との併用による甘さ調整」「甘味料そのものの味、風味が良い」と回答した企業の多くは、飲料やキャンディー・ガムなどの菓子の製造業であった。
前年度調査の上位回答は「商品のカロリーを抑える」「製造原価(製造コスト)を抑える」であったことと比べると、回答結果に違いが見られた。
エ.仕入量の動向
(ア)直近1年間の仕入量
平成29年度の仕入量は「200kg未満」が21%と最も多く、次いで「5トン以上」(14%)、「200kg以上400kg未満」(11%)の順であった(
図20)。
種類別に見ると、どの種類も「200kg未満」が最も多かった(
図21)。次いで、アスパルテームは「1トン以上5トン未満」と「5トン以上」が、スクラロースは「200キログラム以上400キログラム未満」と「5トン以上」が同率で多かった。
(イ)昨年度と比較した仕入量の動向
平成28年度と比較した29年度の仕入量の動向は、どの種類も「横ばい」が過半を占め、前年度よりも1割程度増加した(
図22)。「大幅に増加」「やや増加」と回答した企業はすべて「需要増加による商品の出荷数量の増加」を理由に挙げ、業種としては製菓や乳飲料・乳製品、調味料などの製造業であった。
「大幅に減少」「やや減少」と回答した企業は「商品数の削減」や「需要減少による商品の出荷数量の減少」などを理由に挙げ、業種は清涼飲料や菓子などの製造業であ った。同業種であっても、需要の増減が起因して仕入量に違いが見られることから、人工甘味料を使用した商品市場は厳しい競合下にあると推察される。
(ウ)今後の仕入量の見込み
今後の仕入量の見込みは、いずれの種類も「横ばい」が6割以上と大半を占めた(
図23)。アセスルファムカリウムは、前年度調査では回答のなかった「やや増加」が一定数存在した。スクラロースは「大幅に増加する見込み」「やや増加する見込み」を合せると14%となり、前年度より1割程度増加した。増加するとした業種は、製菓業が主で、その他には飲料製造業や調味料製造業などであった。また、いずれの種類も「大幅に減少する見込み」「やや減少する見込み」と回答した企業が一定数存在し、理由としては「商品アイテム数の減少」「1商品当たりの含有量の減少」が挙げられ、缶詰製造業や清涼飲料業であった。
オ.仕入価格の動向
(ア)直近の仕入価格
1キログラム当たりの仕入価格(平成30年3月時点)は「1万円以上2万円未満」が14%と最も多く、次いで「3千円未満」(11%)となり、他の価格帯においては5%未満で分散されている。(
図24)。
種類別に見ると、アスパルテームとアセスルファムカリウムは「3千円未満」が最も多かった。スクラロースは「1万円以上2万円未満」が最も多く、全体的に高価格帯で仕入れられている。(
図25)。
(イ)昨年度と比較した仕入価格
平成28年度と比べた29年度の仕入価格の動向は、いずれの種類も「横ばい」が大半を占め、おおむね安定的に推移していると言える(
図26)。アセスルファムカリウムとスクラロースは対前年度比で「大幅に下落」「やや下落」の比率がやや高い傾向にある。要因として「仕入先の価格改定」「仕入先の変更」が挙げられ、業種としては、製菓業や乳飲料・乳製品製造業であった。
カ.人工甘味料に対する評価
人工甘味料に対する評価を「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」の5段階評価で尋ねたところ、品質面では、いずれも半数程度が、「満足」としている。ただ、スクラロースについては「普通」の割合が他の二種類よりも若干高かった(
図27)。
調達面についても、アスパルテームとアセスルファムカリウムは「満足」が過半を占めたのに対して、スクラロースは、「満足」の割合が前年度より26ポイント低下し、「普通」の割合と
拮抗している(
図28)。「不満」と回答した企業は、輸入先国における価格や供給量の変動が激しいことを理由に挙げ、業種としては乳飲料・乳製品製造業であった。