ア.加糖調製品の用途
加糖調製品の用途を見ると、「和生菓子・洋生菓子」が26件と最も多く、次いで、「アイスクリーム類」 「スナック菓子・米菓・油菓子・ビスケット類」がともに18件、「チョコレート類」(12件)、「パン(パン類、食パン、菓子パン、その他のパン)」が11件と続く(
図4)。その他に分類される用途には、冷凍食品や冷凍すり身、シリアルなどが挙げられた。
種類別の用途数を見ると、ミルク調製品が12種類と最も多くの用途で使用されており、次いでソルビトール調製品が8種類、ココア調製品が6種類、小麦粉調製品が6種類、加糖あんが6種類となっている。ココア調製品とミルク調製品以外の調製品は「和生菓子・洋生菓子」への使用割合が多く、ココア調製品は「チョコレート類」が、ミルク調製品は「アイスクリーム類」が最多用途であった。
イ.加糖調製品を使用する商品の数
加糖調製品を使用する商品の数を種類別に見ると、ソルビトール調製品と加糖あんは、1企業当たり「10点以下」が最も多かった(
図5)。ココア調製品は「10点以下」と「51〜100点」が同率で、ミルク調製品は「101点以上」(21%)、小麦粉調製品は「11〜50点」(13%)が最も多かった。相対的に、ソルビトール調製品とミルク調製品は使用される商品数が多いことがうかがえる。
ウ.加糖調製品を使用する理由
加糖調製品を使用する理由としては「製造原価(製造コスト)を抑える」が42件と圧倒的に多かった(
図6)。その他には「加糖調製品そのものの味、風味が良い」「主原料(甘味料を除く)そのものの必要量が確保できない」「自社で調製する技術や設備を有していない」という回答が多かった。
種類別に見ると、加糖あんは「自社で調製する技術や設備を有していない」が、加糖あん以外の調製品は「製造原価(製造コスト)を抑える」が使用理由として最も多かった。
エ.仕入量の動向
(ア)直近1年間の仕入量
平成29年度の仕入量を見ると、「3000トン以上5000トン未満」が11%で最も多く、次いで「100トン以上500トン未満」「1000トン以上3000トン未満」(各7%)、「100トン未満」「7000トン以上」(各5%)の順になっている(
図7)。
種類別に見ると、ソルビトール調製品は「500トン以上1000トン未満」と「1000トン以上3000トン未満」が同率で最も多い(
図8)。ココア調製品は「1000トン以上3000トン未満」が最も多く、ミルク調製品は各仕入量が1割程度で分散されている。加糖あんと小麦粉調製品は「3000トン以上5000トン未満」が最も多くなっている。
(イ)昨年度と比較した仕入量の動向
平成28年度と比較した29年度の仕入量の動向は、いずれの種類も「横ばい」が過半数を占めた(
図9)。ただ、加糖あんは「大幅に増加」が6%ある一方、小麦粉調製品は「大幅に減少」が7%あり、仕入量の動きに違いが見られた。
増減要因として「需要の変動」を挙げる企業が多く、他の増加要因としては、ミルク調製品、加糖あんでは「商品アイテム数の増加」や「新商品の開発」などが挙げられた。「増加」と回答した企業の業種は、パン・菓子、乳飲料・乳製品、清涼飲料・酒類、調味料・糖類などの製造業であった。
「減少」を回答した企業の業種は、パン・菓子、乳製品・乳飲料・水産練り製品、冷凍調理食品・総菜などの製造業であった。
(ウ)今後の仕入量の見込み
今後の仕入量の見込みは、いずれの種類も「横ばい」が6〜7割程度を占めた(
図10)。なお、ココア調製品および小麦粉調製品は「増加する」とした回答が3割程度存在した。
増加の理由としては「需要の増加による商品の出荷数量の増加」の他、ソルビトール調製品では「商品の生産能力の補強」、ココア調製品では「新商品の開発」、小麦粉調製品では「1商品当たりの含有量の増加」などが挙げられた。業種は製菓業や乳飲料・乳製品・水産練り製品などの製造業が多かった。一方、減少の理由としては「需要の減少による商品の出荷数量の減少」の他、加糖あんでは「商品の生産中止」などが挙げられ、業種は清涼飲料・酒類や乳飲料・乳製品の製造業、製菓業などであった。
オ.仕入価格の動向
(ア)直近の仕入価格
1キログラム当たりの仕入価格(平成30年3月時点)を見ると、「200円未満」が15%で最も多く、次いで「200円以上260円未満」(6%)、「380円以上」(3%)となっている(
図11)。
種類別に見ると、ミルク調製品以外は「200円未満」が最も多い(
図12)。ミルク調製品は「200円以上260円未満」が21%と最多であったが、その他すべての価格帯も一定数見られ、価格帯が分散していた。
(イ)昨年度と比較した仕入価格
平成28年度と比べた29年度の仕入価格の動向は、いずれの種類も「横ばい」が最も多い(
図13)。ただ、加糖あんや小麦粉調製品の「横ばい」は6〜7割であるのに対し、ソルビトール調製品は5割、ミルク調製品は4割、ココア調製品は3割となっている。また、ソルビトール調製品、ミルク調製品およびココア調製品は「やや上昇」の割合がいずれも2割以上存在した。「上昇」回答の理由として、加糖あん以外のすべての調製品では「主原料の生産量の変動」が挙げられ、その他の理由としてソルビトール調製品、ココア調製品、ミルク調製品、加糖あんでは「仕入先の価格改定」が、ミルク調製品はそれに加えて「為替の変動」などが挙げられた。業種は、パン・菓子や乳飲料・乳製品・水産練り製品の製造業などであった。「下落」回答の理由としては、「原料相場の変動」「仕入先の価格改定」「為替の変動」「規格(主原料、含有量等)の見直し」などが挙げられ、業種は、パン・菓子の製造業の他、清涼飲料・酒類、調味料・糖類や乳飲料・乳製品の製造業であった。
カ.加糖調製品に対する評価
加糖調製品に対する評価を「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」の5段階評価で尋ねたところ、品質面については、いずれの調製品も「満足」「やや満足」の合計がおおむね5〜6割と高かった(
図14)。
調達面については、ソルビトール調製品、ミルク調製品、加糖あん、小麦粉調製品では「満足」「やや満足」の合計が過半数を超えたが、ココア調製品は3割程度にとどまった(
図15)。また、ココア調製品では「やや不満」が、ソルビトール調製品では「不満」と回答する企業が一定数存在した。「不満」と回答した企業の理由は、受注から納品までに要する期間(リードタイム)の長さやデリバリー調整の難しさなど、製造国からの輸入に関連した要因が多かった。