異性化糖は、加工食品や菓子類、飲料の代替甘味料として使用されているものの、甘味料市場全体でのシェアはかなり小さい。消費量の大部分は果糖42%のもので、砂糖換算で約3万5000トンと推定されている(
表5)。果糖42%の需要の大半は国内で生産・供給できているものの、砂糖と同等の甘さがある果糖55%のものは国内では生産されておらず、すべて輸入に頼っている。
ロシアは穀物の純輸出国であり、原料の調達が容易でありながら、異性化糖がロシアの甘味料市場に浸透できなかった理由は以下の三つの要因が考えられる。
(1)穀物生産地帯と都市部が物理的にかなり離れているため、輸送コストが
嵩み、製造コストが砂糖の製造コストと同じか、もしくは上回ること。
(2)ロシアの炭酸飲料の消費量は欧米諸国と比べ少なく、十分な需要が見込めないこと。
(3)既存の異性化糖メーカーの財務基盤が弱く、設備も古いなどの制約から特殊な技術を要する果糖55%のものを生産する能力がないこと。
これらの要因と砂糖の生産拡大とが相まって、異性化糖を増産するメリットが見出せない状況にある。