2018/19年度、砂糖生産量はかなり減少し、輸出量は大幅に減少する見込み
2018/19砂糖年度(10月〜翌9月)のてん菜の収穫面積は171万ヘクタール(前年度比1.1%減)とわずかに減少すると見込まれているが、生産量は1億1891万トン(同14.1%減)とかなりの減少が見込まれている(表5)。てん菜生産量の減少に加え、てん菜に含まれる不純物が多いことも影響し、砂糖生産量は1883万トン(同12.9%減)とかなり減少する見込みである。輸出量は、前年度の豊作時と比較して原料が減産となったことで、179万トン(同52.9%減)と、平年並みに戻ると見込まれている。
欧州委員会、ネオニコチノイド系農薬の例外的な散布も禁止を検討
現地報道によると、欧州委員会は2月19日、使用が制限されている農薬であっても、代替手段では害虫を抑止できない危険性がある場合に限り例外的に散布を認める措置について、ネオニコチノイド系農薬には適用しない方向で調整している考えを明らかにした。
ネオニコチノイド系農薬は、てん菜生産においてウイルス性の萎黄病を媒介する害虫を防除する最も有効な薬剤とされている。しかし、EUではその散布がミツバチなどの生態系に影響を及ぼすとして、同農薬のうちクロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサムを主成分とする薬剤については、2019年から屋外での使用が全面的に禁止される。その一方、ハンガリーやポーランドなどでは、同薬剤の使用が暫定的に禁止された2013年以降も、EU規則に基づき例外的な使用を認めており、引き続きの使用が可能となっていた。こうした状況に、環境保護団体などから強い非難の声が出ていたことに加え、例外的な使用が認められていないEU加盟国からも「不公平である」と不満の声が上がっていた。
同薬剤の使用が禁止された経緯の詳細については、次のURLを参照されたい。
https://alic.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002218.html
EUの菓子業界、日本の原産地規則に懸念を表明
欧州チョコレート・ビスケット・菓子協会(CAOBISCO)は2月20日、同月1日に発効した日EU経済連携協定(日EU・EPA)において適用される原産地規則
(注1)について、日本側が産品の原材料の重量を基準に原産地を判定している現状に懸念を表明した。EUで生産した菓子に使用している砂糖の中には、輸入粗糖を原料に生産されたものも一般に流通しているため、EU域内で栽培されたてん菜から生産された砂糖が産品にどの程度含まれるかを、菓子メーカーや輸出業者などが立証することは難しいとされる。このため、あめやキャラメル、チューインガムなど砂糖が多く使われる菓子は、原産地規則の要件を満たすことができず、結果として日EU・EPAによる関税引き下げの恩恵を享受できない可能性を指摘した。
CAOBISCOは、日EU・EPAの原産地規則について、EUがこれまで締結した貿易協定の相手国・地域の多くが採用している、価額基準
(注2)で判定する内容に改めるよう求めていくとしている。
(注1)関税の適用などのために輸入貨物の原産国を決定するためのルール。
(注2)価額基準は、(1)産品の価額に占める非原産地から調達した原材料の価額の割合(2)産品の価額に占めるその国で新たに付与された価値の割合−のいずれかで判定する。いずれの方法も、非原産の原材料を多く使用したとしても、産品に投下した経費(労務費や加工費、販売経費などの原価)や原価に上乗せした利益が多ければ産品に占める割合は重量基準と比べ相対的に低くなる。