5. 日本の主要輸入先国の動向(2019年3月時点予測)
最終更新日:2019年4月10日
5. 日本の主要輸入先国の動向(2019年3月時点予測)
2019年4月
近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14−110〉および甘しゃ糖・その他〈同1701.14−200〉の合計)の主要輸入先国は、タイ、豪州、南アフリカ、フィリピン、グアテマラであったが、2018年の主要輸入先国ごとの割合は、豪州が71.1%(前年比1.6ポイント増)、タイが28.1%(同3.1ポイント増)と、この2カ国で9割以上を占めている(財務省「貿易統計」)。
豪州およびタイについては毎月の報告、南アフリカ、フィリピン、グアテマラについては、原則として3カ月に1回の報告とし、今回はグアテマラを報告する。
本稿中の為替レートは2019年2月末日TTS相場の値であり、1タイ・バーツ=3.60円である。
2018/19年度、砂糖生産量はほぼ横ばい、輸出量はやや減少の見込み
2018/19砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、39万ヘクタール(前年度比2.5%増)とわずかな増加が見込まれるが、夏期にクイーンズランド州とニューサウスウェールズ州で発生した干ばつの影響を受けて、生産量は、3247万トン(同2.6%減)とわずかな減少が見込まれている(表6)。ただし、乾燥気候によってサトウキビの糖度が上昇したことにより、砂糖生産量は446万トン(同0.2%減)とほぼ横ばいで推移すると見込まれている。輸出量は341万トン(同5.3%減)とやや減少すると見込まれている。なお、豪州気象局によると、1月末から2月初めにかけて、クイーンズランド州北部で大規模な洪水が発生した。現地報道によると、サトウキビの圃場が浸水するなどの被害を受けたことから、2019/20年度のサトウキビ生産への悪影響が懸念されている。
インドの砂糖産業への補助金をめぐり、豪州とブラジルで連携
豪州政府は2月28日、インド政府による補助金は国際的な貿易協定に反する輸出補助金に当たるとして、WTO提訴の手続きに入ったと発表し、ブラジル政府との共闘態勢で臨む考えを示した。豪州とブラジルの両国政府は、まずインド政府との協議で解決を図るが、60日以内に解決できなければ、裁判の一審に当たるWTOの紛争処理小委員会(パネル)に提訴することになる。
サイモン・バーミンガム豪州貿易観光投資大臣は、提訴の手続きに踏み切った理由を、「昨今の砂糖の国際価格の下落は、インド政府による輸出補助金が引き起こしたものと言え、今の価格水準では、製糖業者や生産者が再生産可能な収益を確保することが困難である。われわれは、インド政府に対し砂糖産業への過剰な補助金の支払いをやめるよう再三求めてきたが、結局、互いの主張の溝は埋まらなかった」と説明し、「豪州にとってインドは、経済的にも、戦略的にも非常に重要なパートナーであるが、国際的に認められている権利はためらわず行使する」と述べた。
豪・インドネシアの両首脳、包括的経済連携協定に署名
豪州とインドネシアの両首脳は3月4日、インドネシアの首都ジャカルタにおいて、2010年から交渉を続けてきた包括的経済連携協定(IA−CEPA)に署名した。この協定の発効には、両国の国会で承認を得る必要があり、両国首脳は年内にこの手続きを完了させる考えを示した。
IA−CEPAでは、インドネシアにおける豪州産砂糖の輸入関税が現行の12%から5%に引き下げられる。これにより、豪州は東南アジア諸国連合(ASEAN)域内と同等の関税水準で輸出できるようになるため、ASEANの一員であるタイとの競合が激化することが予想される。
2018/19年度、砂糖生産量はやや減少する一方、輸出量は大幅増の見込み
2018/19砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、179万ヘクタール(前年度比0.9%増)とわずかに増加すると見込まれている(表7)。台風の勢力が弱まった熱帯低気圧が多く通過し、サトウキビの倒伏、茎葉の傷みなどが発生した影響を受けて、サトウキビ生産量は1億2900万トン(同4.4%減)、砂糖生産量は、1490万トン(同4.4%減)とやや減少が見込まれている。一方、輸出量については、前年度のサトウキビの豊作により積み上がった過剰在庫を解消するため輸出を強化するとみられることから、1257万トン(同24.7%増)と大幅な増加が見込まれている。
砂糖税による税収、前年同期比約3%増
タイ財務省物品税局は、2018年10月から翌2月までの5カ月間で得られた糖類を含む飲料への課税(砂糖税)による税収が、前年同期比で約3%、額にして約3億バーツ(10億8000万円)増加したと発表した。加えて、同局は「砂糖税を導入する以前の飲料に含まれる糖類の平均含有量は100ミリリットル当たり14グラムであったが、現在は同12グラムまで減少した」と成果を強調した。
砂糖税の導入3年目となる2019年10月から税率が引き上げられる予定であることから、国内の飲料メーカーは、飲料消費が低迷することを回避するため、飲料に含まれる糖類を削減したり、糖類の代わりに代替甘味料を使用したりするなど対応を急いでいる。
2018/19年度、砂糖生産量はほぼ横ばい、輸出量は大幅に増加の見通し
2018/19砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は26万ヘクタール(前年度同)と横ばいが見込まれている一方、生産量は2559万トン(前年度比1.3%減)とわずかに減少すると見込まれている(表8)。砂糖生産量についても、296万トン(同0.1%減)とほぼ横ばいになると見込まれている。輸出量については、221万トン(同20.9%増)と大幅に増加し、平年並みに戻ると見込まれている。
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