砂糖類の国内需給
最終更新日:2019年5月14日
砂糖類の国内需給
2019年5月
1. 需給見通し
農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。3月に「2018砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第3回)」を公表した。
(1)砂糖の消費量
2017砂糖年度(10月〜翌9月)の砂糖の消費量は、189万7000トン(前年度比1.7%減)となった(表1)。内訳を見ると、分みつ糖が186万1000トン(同1.7%減)、含みつ糖が3万6000トン(前年度同)であった。
2018砂糖年度の砂糖の消費量は、191万8000トン(前年度比1.1%増)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖は、近年の消費動向を基に、景気は緩やかな回復基調が続いていることなどを踏まえ、188万トン(同1.0%増)と見通している。含みつ糖は、近年の消費動向などを勘案し、3万8000トン(同3.6%増)と見通している。
(2)砂糖の供給量
2017砂糖年度の砂糖の供給量は、192万7000トン(前年度比2.0%増)となった。内訳を見ると、分みつ糖が190万7000トン(同2.0%増)、含みつ糖が2万トン(前年度同)であった。
2018砂糖年度の砂糖の供給量は、188万トン(前年度比2.4%減)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖が185万9000トン(同2.5%減)、含みつ糖が2万2000トン(同10.0%増)と見通している。国内産糖(分みつ糖)の供給量は、てん菜については、作付面積が前年産に比べて1.6%(約930ヘクタール)減少、作柄については春先の天候に恵まれ初期生育は順調に推移したが、6月中旬以降、多雨・寡照となり生育が停滞し、全体としては平年並みの生育となっていることから、産糖量は61万5000トン(前年産比6.4%減)、供給量は61万4000トン(精製糖換算。前年度比6.4%減)と見通している。
サトウキビについては、作付面積が前年産に比べて4.3%(約1010ヘクタール)減少、作柄については、梅雨期の少雨により各地域で干ばつが発生したことや6月の早い時期から台風が襲来したことにより一部地域で被害が見られるものの、平年並みの歩留まりとなることを見込んでいることから、産糖量は12万9000トン(前年産比3.8%減)、供給量は12万3000トン(精製糖換算。前年度比3.8%減)と見通している。
(3)加糖調製品の需給
2018砂糖年度の加糖調製品の消費量は、近年の輸入動向などを踏まえ、53万9000トン(前年度比2.1%増)と見通している(表2)。また、加糖調製品の供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。
(4)異性化糖の需給
2018砂糖年度の異性化糖の消費量は、近年の消費動向などを踏まえ、83万7000トン(前年度比0.6%増)と見通している(表3)。また、異性化糖の供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。
2. 異性化糖の移出動向
3月の移出量は前年同月からほぼ横ばい
2019年3月の異性化糖の移出量は、7万6830トン(前年同月比0.2%増、前月比25.0%増)であった(図1)。
同月の規格別の移出量は、次の通りであった(図2)。
果糖含有率40%未満 404トン
(前年同月比15.7%減、前月比3.7%減)
同40%以上50%未満 1万9264トン
(同5.3%減、同14.4%増)
同50%以上60%未満 5万6149トン
(同2.3%増、同28.7%増)
同60%以上 1014トン
(同4.1%増、同65.5%増)
3. 輸入動向
【分みつ糖の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月から大幅に減少
財務省「貿易統計」によると、2019年2月の分みつ糖(HSコード 1701.14-110)の輸入量は、4万9333トン(前年同月比23.9%減、前月比2.5倍)であった(図3)。
輸入先国はタイおよび英国で、国別の輸入量は次の通りであった(図4)。
タイ 4万9332トン
(前年同月比22.7%減、前月比2.5倍)
英国 1トン
(前年同月および前月輸入実績なし)
また、同月における豪州からの高糖度原料糖(糖度98.5度以上99.3度未満、HSコード1701.14-200)の輸入量は、3500トン(前年同月比87.0%減、前月輸入実績なし)であった。
2019年2月の1トン当たりの輸入価格は、3万7854円(前年同月比7.5%安、前月比1.0%安)であった(図5)。
国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。
タイ 3万7846円
(前年同月比7.3%安、前月比1.0%安)
英国 42万8000円
(前年同月および前月輸入実績なし)
また、同月における豪州からの高糖度原料糖の1トン当たりの輸入価格は、3万9511円(前年同月比4.1%安、前月輸入実績なし)であった。
【含みつ糖の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月から大幅に減少
財務省「貿易統計」によると、2019年2月の含みつ糖(HSコード 1701.13-000、1701.14-190)の輸入量は、841トン(前年同月比39.5%減、前月比36.1%増)であった(図6)。
輸入先国はタイおよび中国で、国別の輸入量は次の通りであった(図7)。
タイ 616トン
(前年同月比35.4%減、前月比2.3倍)
中国 225トン
(同17.6%減、同46.1%増)
2019年2月の1トン当たりの輸入価格は、12万3420円(前年同月比1.3%高、前月比1.1%安)であった(図8)。
国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。
タイ 12万23円
(前年同月比2.6%高、前月比3.8%高)
中国 13万2720円
(同4.9%高、同3.8%高)
【加糖調製品の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月からやや減少
財務省「貿易統計」によると、2019年2月の加糖調製品の輸入量は、3万6748トン(前年同月比3.0%減、前月比3.1%増)であった(図9)。
品目別の輸入量は、表4の通りであった。
4. 価格動向
【市場価格】
砂糖、異性化糖ともに前月と同水準で推移
3月の糖種別・地域別の砂糖価格(日経相場)は次の通りであった。
東京 1キログラム当たり187〜188円
大阪 同187〜188円
名古屋 同191円
関門 同191円
上白糖(小袋)
東京 1キログラム当たり199〜202円
大阪 同202円
本グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり192〜193円
大阪 同192〜193円
名古屋 同196円
ビート・グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり187〜188円
大阪 同187〜188円
名古屋 同189円
3月の異性化糖の価格(日経相場、大口需要家向け価格、東京、タンクローリーもの、JAS規格品、水分25%)は、次の通りであった。
果糖分42%もの
1キログラム当たり131〜132円
果糖分55%もの
同137〜138円
【小売価格】
3月の上白糖小袋の地域間の価格差は最大で22.3円
KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける3月の上白糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、193.5円(前年同月差1.6円高、前月差1.5円高)であった。
同月の地域別
(注)の平均小売価格は次の通りであった(表5)。
最も高かったのは東北で、最も安かった中部との価格差は22.3円であった。
(注)地域の内訳は次の通りである。以下、グラニュー糖および三温糖も同じである。
関東など:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
首都圏:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
中 部:新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
関 西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県
3月のグラニュー糖小袋の地域間の価格差は最大で70.5円
KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける3月のグラニュー糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、243.5円(前年同月差0.5円安、前月差0.9円高)であった。
同月の地域別の平均小売価格は次の通りであった(表6)。
最も高かったのは東北で、最も安かった北海道との価格差は70.5円であった。
3月の三温糖小袋の地域間の価格差は最大で54.4円
KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける3月の三温糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、236.9円(前年同月差1.3円高、前月差0.2円高)であった。
同月の地域別の平均小売価格は次の通りであった(表7)。
最も高かったのは東北で、最も安かった九州・沖縄との価格差は54.4円であった。
【購入金額および購入量】
2月の砂糖の支出金額は前年同月からわずかに上昇
総務省「家計調査」によると、2019年2月における100世帯当たりの砂糖の購入頻度は35、1世帯(2人以上)当たりの支出金額は、81円(前年同月比1.3%高、前月比14.1%高)であった(図10)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、344グラム(同3.9%増、同21.6%増)であった(図11)。
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