2019/20年度、輸出量はかなり大きく増加する見込み
LMC International(農産物の需給などを調査する英国の民間調査会社)の2019年5月時点の予測によると(以下、特段の断りがない限り同予測に基づく記述)、2019/20砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は砂糖の国際相場の低迷により他作物へ転作する動きが見られるため、847万ヘクタール(前年度比2.0%減)とわずかに減少する見込みであるものの、サトウキビ生産量は生育状況がおおむね良好であることから6億2400万トン(同0.5%増)と横ばいで推移すると見込まれている(表3)。
砂糖生産量は、砂糖の国際価格が過去10年で最低水準であった前年より回復すると予想されることから、サトウキビの砂糖生産への仕向け割合が上昇するとの見通しの下、3255万トン(粗糖換算〈以下、特段の断りがない限り砂糖に係る数量は粗糖換算〉、同4.2%増)とやや増加し、輸出量も2234万トン(同12.6%増)とかなり大きく増加すると見込まれている。
オーガニックシュガーの生産量、過去最高を更新
ブラジル農務省(MAPA)は4月24日、2018/19年度の地域別糖種別の生産実績を公表した。同国の砂糖生産の9割を占める中南部地域の糖種別生産量を見ると、粗糖や精製糖は前年度と比べ大幅に減少する中、オーガニックシュガー
(注)は過去最高となる23万7000トン(前年度比7.6%増)の生産量を記録した(表2)。
現地報道によると、有機農産物を使用した菓子や飲料などの有機加工食品に対するニーズの高まりにより、オーガニックシュガーに対する需要は世界的に増加傾向にあるとし、2022年におけるオーガニックシュガーの市場規模は13億米ドル(1469億円)、2022年までの5カ年の年平均成長率は15.6%で推移すると予想されている。ブラジルは、世界におけるオーガニックシュガー生産の約4分の1のシェアを占めるとされ、同国が引き続きオーガニックシュガー市場の成長をけん引する重要な役割を果たすと期待されている。
(注)オーガニックシュガーとは、有機栽培のサトウキビまたはてん菜のみで作られた砂糖のこと。
中国の砂糖に対する追加関税をめぐり、中国政府との協議が続く
MAPAの通商交渉官は5月5日、中国政府が輸入砂糖に課している追加関税措置が近いうちに解除されるとの見通しを示した。同交渉官は「中国との協議は順調に進んでいる」としながらも、同措置が解除される具体的な日程については明言を避けた。
中国の砂糖に対する追加関税措置は、194万トンの関税割当数量を超えて輸入される砂糖に適用されるもので、2017年8月から実施されている。適用税率は1年目が95%とし、その後、毎年5%ずつ引き下げられる。ブラジルは2018年10月、中国によるこのような砂糖に対する追加関税措置を不服として世界貿易機関(WTO)へ2国間協議を要請していた。