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鹿児島県における平成30年産さとうきびの生産状況および実績について

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最終更新日:2019年7月10日

鹿児島県における平成30年産さとうきびの生産状況および実績について

2019年7月

公益社団法人 鹿児島県糖業振興協会

【要約】

 鹿児島県の令和元年産さとうきびは、台風などの気象災害の影響が少なかったことから、生産量は49万7595トン(前年比110%)、収穫面積は9168ヘクタール(同97%)、10アール当たりの収量は5428キログラム(同113%)となった。  

 また、県平均の買入糖度は14.10度となった。

1.さとうきびの位置付け

 さとうきびは、鹿児島県南西諸島の約6割の農家が生産している基幹作物であり、製糖業などの関連産業も含め、地域経済に果たす役割が極めて重要な作物である(表1)。

 本県のさとうきびの平成30年農業産出額は約95億円(前年比89%)で、耕種部門の中では第6位となっている(1位:米、2位:茶〈生葉〉、3位:さつまいも、4位:荒茶、5位:ばれいしょ、6位:さとうきび)。

 鹿児島県では、さとうきび栽培農家の所得向上とさとうきび産業の維持・発展を図るため、令和7年産を目標年とする「鹿児島県さとうきび増産計画」(以下「増産計画」という)を策定し、生産者、製糖会社、関係機関・団体と連携し、受託組織の育成や単収向上などの取り組みを進めている。

 近年は、度重なる台風などの気象災害や国内で初確認された病害虫の発生などにより、増産計画で定めた目標値を達成できない状況が続いており、早期の生産回復が喫緊の課題となっていることから、6月から7月にかけて、増産計画の達成状況の検証・評価を島ごとに行い、必要に応じて、改善方策の検討などを行っている。

2.平成30年産さとうきびの生育状況

(1)種子島地域

ア 生育初期〜分げつ
 3月から5月の気温が高めに推移したことから、発芽・(ほう)()は良好で、生育初期はおおむね順調に推移したが、前年産での台風被害の影響もあり、茎数は平年を下回った。

イ 伸長期
 大きな気象被害もなく、伸長量はおおむね平年並みを確保できた。

ウ 登熟期
 10〜11月の登熟は気象条件に恵まれ、平年以上を確保できた。12月の買入糖度は12.7度と前年平均を上回ったものの、最終的な買入糖度は13.03度となり後半にかけて大きな糖度の上昇は見られなかった。

(2)奄美地域

ア 生育初期〜分げつ
 3月から5月にかけて降水量が平年より少なめに推移したことから、発芽・萌芽も平年より遅れ、生育はやや緩慢であった。

イ 伸長期
 大きな気象災害もなく、おおむね順調に生育したが、茎数がやや少なかった。

ウ 登熟期
 平均気温が高めに推移し、台風被害もなかったことなどから、登熟は良好で、買入糖度は14.48度と前年を1.17度上回り、ここ10年間で最も高い糖度となった。

3.平成30年産さとうきびの生産実績

(1)県全体

 収穫面積は9168ヘクタール(前年比97%)、生産量は49万7595トン(同110%)、10アール当たり収量は5428キログラム(同113%)となり、収穫面積、生産量、10アール当たり収量ともに、増産計画の目標(令和元年産)を下回った(図1)。

 なお、生産量の99%(49万1947トン)は、分みつ糖原料用として6社7工場に搬入・製糖されている。

 栽培型別の収穫面積は、株出しが6251ヘクタール(構成比68%)、春植えが1739ヘクタール(同19%)、夏植えが1177ヘクタール(同13%)であった(図2)。

 

 

 品種別の収穫面積は、農林8号が26%を占め、次いで農林23号の18%、農林22号の11%の順であった。平成16年産で約7割を占めていた農林8号の比率が年々減少し、各地域の気象条件などに適した新たな品種への移行が進みつつある(図3、表2)。

 

 

(2)各島の状況

 各島別の生産実績は以下の通り(表3)。

ア 種子島(西之表市、中種子町、南種子町)
 収穫面積は2125ヘクタール(前年比97%)で、生産量は12万9904トン(同113%)で、10アール当たり収量は6113キログラム(平年比110%)であった。

 株出し比率は66%で、品種別では、農林8号が46%、農林18号が38%、農林22号が15%を占める。

イ 奄美大島(奄美市、宇検村、瀬戸内町、龍郷町)
 収穫面積は566ヘクタール(前年比94%)、生産量は2万5461トン(同109%)で、10アール当たり収量は4496キログラム(平年比108%)であった。

 株出し比率は73%で、品種別では、農林22号が16%、農林23号が15%を占める。

ウ 喜界島(喜界町)
 収穫面積は1308ヘクタール(前年比99%)、生産量は7万8059トン(同127%)で、10アール当たり収量は5969キログラム(平年比111%)であった。

 株出し比率が66%を占める一方、夏植えの比率も23%と高い。品種別では、農林23号が29%、農林8号が13%を占める。

エ 徳之島(徳之島町、天城町、伊仙町)
 収穫面積は3182ヘクタール(前年比95%)で県全体の35%を占め、島別では最も多い。生産量は15万7773トン(同108%)となり、10アール当たり収量は4958キログラム(平年比107%)であった。

 株出し比率は68%で、品種別では、農林23号が27%、農林8号が22%を占める。

オ 沖永良部島(和泊町、知名町)
 収穫面積は1605ヘクタール(前年比103%)、生産量は8万3006トン(同102%)で、10アール当たり収量は5171キログラム(平年比104%)であった。

 株出し比率は68%を占める一方、夏植えの比率も21%と高い。品種別では、農林8号が33%、農林22号が31%を占める。

カ 与論島(与論町)
 収穫面積は381ヘクタール(前年比93%)、生産量は2万3392トン(同96%)で、10アール当たり収量は6136キログラム(平年比110%)であった。

 株出し比率は81%を占め、島別では最も高い。品種別では、農林23号が68%を占める。

 

(3)ハーベスタによる収穫の状況

 さとうきびの労働時間の大半を占める収穫作業の省力化を図るため、国庫補助事業などを活用したハーベスタの導入が進められている。

 また、県では平成23年度から、低コストで持続的な生産体制の確立を図るため、耐用年数を経過したハーベスタの長寿命化(機能向上)のための事業を実施しており、令和元年度までに57台の機能向上を支援した。

 この結果、令和元年産では、収穫面積全体の93.8%、約8599ヘクタールでハーベスタ収穫が行われており、島別に見ると、徳之島が最も高い98%となっている。

4.製糖工場の操業状況

 分みつ糖工場は、1島1社の体制となっており、6島6社(7工場)が操業している。

 分みつ糖工場における令和元/2年期の原料処理量は49万1947トンで、前年から4万4769トン増加した。平均買入糖度は14.10度で、前年から1.02度(平年より0.63度)高くなっており、産糖量は5万9941トンと前年を8814トン上回った(表4)。

 

おわりに

 鹿児島県では、関係機関・団体と一丸となり、収穫面積の確保や単収向上に向けて、基本技術の励行はもとより、各種補助事業などを活用した、農業機械の導入や製糖関連施設の整備などへの取り組みを積極的に支援しているところである。

 今後とも、さとうきび生産農家の経営安定と、製糖会社など関連産業を含めた地域経済の維持発展を図るため、増産計画で定めた令和7年産の目標達成に向け、大規模経営体や農作業受託組織等担い手の育成、農業共済制度への加入促進による「経営基盤の強化」、機械化一貫体系の普及・確立や地力増進による「生産基盤の強化」、病害虫防除対策および鳥獣被害対策の推進や優良品種の育成・普及による「技術対策」などに取り組むこととしている。

 さらに、製糖会社に対しては、人材の確保と労働基準法の上限規制の適用猶予期間(5年間:令和5年度まで)内での長時間労働の是正を図るため、省力化設備・施設の整備への支援を実施しているところである。
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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