2018/19年度、輸出量は大幅に増加する見込み
2018/19砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は179万ヘクタール(前年度比0.1%増)と横ばいで推移すると見込まれるものの、サトウキビ生産量は台風の勢力が弱まった熱帯低気圧が多く通過し、サトウキビの倒伏、茎葉の傷みなどが発生した影響を受け、1億3097万トン(同2.9%減)とわずかに減少すると見込まれている(表7)。
砂糖生産量は、気象被害が少なかった東北部のサトウキビの平均糖度が平年を上回り、サトウキビの減産分を相殺するとみられることから、1546万トン(同0.8%減)と横ばいで推移すると見込まれている。一方、輸出量については、前年度のサトウキビの豊作により積み上がった過剰在庫を解消するために輸出を強化するとみられることから、1218万トン(同20.9%増)と大幅な増加が見込まれている。
タイ製糖協会、焼き畑の抑制に向け政府に追加支援を要請
タイ製糖協会(TSMC)は7月11日、焼き畑の抑制に向けたタイ政府の対策
(注)が不十分であるとし、同政府に対し支援策拡充の必要性を訴えた。 焼き畑が規制されれば、生産者はハーベスタを導入するか、または労働者を雇い、サトウキビの葉や
梢頭部を手作業で除去するかの選択を迫られるが、いずれもコストがかさみ、経営への打撃は避けられない。そうなれば、サトウキビから他作物への転作が進み、サトウキビの生産量が減少することで、製糖業者の収益にも影響が出る可能性が高い。今回のTSMCの行動は、長引く砂糖の国際価格の低迷で製糖業者の業績が悪化する中、これ以上の負担増は国際競争力の低下を招くという危機感があるとみられる。
TSMCは、ハーベスタ導入に必要な資金の低利融資制度が中小・零細生産者を対象としたものとなっていると指摘した上で、製糖業者も融資が受けられるよう運用の見直しを図り、製糖業者がハーベスタを所有し、生産者から農作業を受託する体制(農作業の受委託化)を早期に構築すべきとの認識を示した。
(注)タイ政府は、サトウキビの葉や梢頭部を燃やした後に収穫する焼き畑が大気汚染の悪化につながっているとし、2022年までに焼き畑の割合を5%以下とすることを目指している(2018/19年度の焼き畑の割合は約61%〈推計〉)。これに向けた具体的な対策は、「タイにおける砂糖産業の動向」『砂糖類・でん粉情報』2019年6月号(https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_001986.html)をご参照ください。