砂糖類の国内需給
最終更新日:2019年11月11日
砂糖類の国内需給
2019年11月
1. 需給見通し
農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。9月に「令和元砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第1回)」を公表した。
(1)砂糖の消費量
平成30砂糖年度(10月〜翌9月)の砂糖の消費量は、186万7000トン(前年度比1.6%減)となった(表1)。内訳を見ると、分みつ糖の消費量が183万1000トン(同1.6%減)、含みつ糖の消費量が3万6000トン(前年度同)の見込みである。
令和元砂糖年度の砂糖の消費量は、189万6000トン(前年度比1.6%増)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖の消費量は186万トン(同1.6%増)と見通している。含みつ糖の消費量は、近年の消費動向などを勘案し、3万6000トン(前年度同)と見通している。
(2)砂糖の供給量
平成30砂糖年度の砂糖の供給量は、189万トン(前年度比1.9%減)となった。内訳を見ると、分みつ糖が187万トン(同1.9%減)、含みつ糖が2万トン(前年度同)の見込みである。
令和元砂糖年度の砂糖の供給量は、184万1000トン(前年度比2.6%減)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖が182万2000トン(同2.6%減)、含みつ糖が1万9000トン(同5.0%減)と見通している。国内産糖(分みつ糖)の供給量は、てん菜については、作付面積が前年産に比べて1.5%(約860ヘクタール)減少し、5月下旬の風害により一部の圃場で影響が見られたものの、6月以降は天候に恵まれたことから、産糖量は62万6000トン(前年産比1.8%増)、供給量は62万5000トン(精製糖換算。前年度比1.8%増)と見通している。
サトウキビについては、作付面積が前年産に比べて2.8%(約620ヘクタール)減少し、作柄については、収穫期の長雨に伴う植え付け、管理作業の遅れや日照不足により、春植えや株出しの生育が若干遅れたものの、現時点では、干ばつや台風被害が少なく、全体としてはおおむね平年並みとなることを見込んでいることから、産糖量は13万トン(前年産比2.9%増)、供給量は12万4000トン(精製糖換算。前年度比2.9%増)と見通している。
(3)加糖調製品の需給
令和元砂糖年度の加糖調製品の消費量は、近年の輸入動向などを踏まえ、52万6000トン(前年度同)と見通している(表2)。また、供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。
(4)異性化糖の需給
令和元砂糖年度の異性化糖の消費量は、近年の消費動向などを踏まえ、83万4000トン(前年度比1.5%増)と見通している(表3)。また、供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。
2. 輸入動向
【粗糖の輸入動向】
8月の輸入量は前年同月からわずかに増加
財務省「貿易統計」によると、2019年8月の甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード 1701.14-110)および甘しゃ糖・その他(同1701.14−200の豪州)の輸入量は、6万1534トン(前年同月比0.3%増、前月比47.2%減)であった(図1)。
輸入先国は豪州およびタイで、輸入量は次の通りであった(図2)。
豪州 5万1531トン
(前年同月比59.9%増、前月比48.7%減)
タイ 1万3トン
(同65.6%減、同37.3%減)
2019年8月の甘しゃ糖・分みつ糖の1トン当たりの輸入価格は、3万6244円(前年同月比4.7%高、前月比1.8%高)であった(図3)。
タイ 3万6244円
(前年同月比4.7%高、前月比2.0%高)
また、同月における甘しゃ糖・その他の豪州からの高糖度原料糖の1トン当たりの輸入価格は、3万5097円(前年同月比9.9%安、前月比3.7%安)であった。
【含みつ糖の輸入動向】
8月の輸入量は前年同月から大幅に増加
財務省「貿易統計」によると、2019年8月の含みつ糖(HSコード 1701.13-000、1701.14-190)の輸入量は、306トン(前年同月比53.8%増、前月比37.2%減)であった(図4)。
輸入先国は中国、フィリピン、タイおよび台湾で、国別の輸入量は次の通りであった(図5)。
中国 244トン
(前年同月比68.3%増、前月比36.3%減)
フィリピン 38トン
(同15.2%増、同41.5%減)
タイ 21トン
(前年同月同、前月同)
台湾 3トン
(前年同月輸入実績なし、前月比83.3%減)
2019年8月の1トン当たりの輸入価格は、12万810円(前年同月比12.5%安、前月比7.4%安)であった(図6)。
国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。
中国 11万9193円
(前年同月比14.4%安、前月比2.4%安)
フィリピン 15万8105円
(同1.3%安、同6.0%高)
タイ 5万6286円
(同41.4%安、同1.0%高)
台湾 23万1667円
(前年同月輸入実績なし、同29.4%安)
【加糖調製品の輸入動向】
8月の加糖調製品の輸入量は前年同月からかなりの程度減少
財務省「貿易統計」によると、2019年8月の加糖調製品の輸入量は、4万5043トン(前年同月比7.7%減、前月比3.4%減)であった(図7)。
品目別の輸入量は、表4の通りであった。
3. 異性化糖の移出動向
9月の移出量は前年同月からやや減少
2019年9月の異性化糖の移出量は、6万4664トン(前年同月比4.6%減、前月比9.9%減)であった(図8)。
同月の規格別の移出量は、次の通りであった(図9)。
果糖含有率40%未満 347トン
(前年同月比9.9%減、前月比14.6%増)
同40%以上50%未満 1万6477トン
(同0.2%増、同7.2%減)
同50%以上60%未満 4万7206トン
(同5.6%減、同10.9%減)
同60%以上 635トン
(同30.2%減、同15.1%減)
4. 価格動向
【市場価格】
砂糖、異性化糖ともに前月と同水準で推移
9月の糖種別・地域別の砂糖価格(日経相場)は次の通りであった。
上白糖(大袋)
東京 1キログラム当たり 187〜188円
大阪 同187〜188円
名古屋 同191円
関門 同191円
上白糖(小袋)
東京 1キログラム当たり199〜202円
大阪 同202円
本グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり192〜193円
大阪 同192〜193円
名古屋 同196円
ビート・グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり187〜188円
大阪 同187〜188円
名古屋 同189円
9月の異性化糖の価格(日経相場、大口需要家向け価格、東京、タンクローリーもの、JAS規格品、水分25%)は、次の通りであった。
果糖分42%もの
1キログラム当たり131〜132円
果糖分55%もの
同137〜138円
【小売価格】
9月の上白糖小袋の地域間の価格差は最大で18.1円
KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける9月の上白糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、189.9円(前年同月差1.9円安、前月差1.7円安)であった。
同月の地域別(注)の平均小売価格は次の通りであった(表5)。
最も高かったのは中国・四国で、最も安かった首都圏との価格差は18.1円であった。
(注)地域の内訳は次の通りである。以下、グラニュー糖および三温糖も同じである。
関東など:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
首都圏:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
中 部:新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
関 西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県
9月のグラニュー糖小袋の地域間の価格差は最大で72.2円
KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける9月のグラニュー糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、243.6円(前年同月差0.4円高、前月差0.1円高)であった。
同月の地域別の平均小売価格は次の通りであった(表6)。
最も高かったのは東北で、最も安かった北海道との価格差は72.2円であった。
9月の三温糖小袋の地域間の価格差は最大で46.2円
KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける9月の三温糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、234.4円(前年同月差2.1円安、前月差0.2円安)であった。
同月の地域別の平均小売価格は次の通りであった(表7)。
最も高かったのは東北で、最も安かった九州・沖縄との価格差は46.2円であった。
【購入金額及び購入量】
8月の砂糖の支出金額は前年同月同
総務省「家計調査」によると、2019年8月における100世帯当たりの砂糖の購入頻度は31、1世帯(2人以上)当たりの支出金額は、79円(前年同月同、前月比11.2%減)であった(図10)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、345グラム(前年同月比2.5%減、同14.8%減)であった(図11)。
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