2019/20年度、砂糖生産量は減少するものの輸出量は増加する見込み
2019/20砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、砂糖の国際価格の低迷により他作物へ転作する動きが見られるため、157万ヘクタール(前年度比12.2%減)、サトウキビ生産量は1億1500万トン(同12.2%減)と、ともにかなり大きく減少すると見込まれる(表7)。
砂糖生産量は、サトウキビ生産の落ち込みに加え、全国的な天候不順による生育不良で糖度低下の傾向が見られることから、1323万トン(同14.4%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。一方、輸出量については、前年度のサトウキビの豊作により積み上がった過剰在庫を解消するために輸出を強化するとみられることから、1302万トン(同22.9%増)と大幅に増加すると見込まれる。
糖類を含む飲料に対する課税、10月1日から税率引き上げ
タイ政府は10月1日、当初の予定通り糖類を含む飲料に対する課税(以下「砂糖税」)
(注1)の税率を引き上げた。この課税措置は、健康増進政策の一環
(注2)として2017年9月に導入されたもので、100ミリリットル中の糖類含有量が6グラムを超える飲料(ペットボトルや缶などの容器に入ったもの)が課税対象となる。砂糖含有量に応じて税率が異なるため、代表的な品目のみを挙げると、タイで一般的な甘い緑茶の税率(同10グラム超14グラム以下のもの)は1リットル当たり0.5バーツ(約2円)から同1バーツ(約4円)、炭酸飲料の税率(同14グラム超18グラム以下のもの)は同1バーツから同3バーツ(約11円)にそれぞれ引き上げられた。
同国物品税局によると、砂糖税の引き上げによる税収増は年間約10億バーツ(36億1000万円)と見込んでいる。また、同局は「飲料中の砂糖含有量は増税前とあまり変化が見られないものの、無糖の緑茶飲料の販売量は着実に増えている」と述べ、砂糖税導入によって消費者の商品選択の幅が広がり、健康への意識啓発にもつながっていることを成果として強調した。
(注1)タイにおける砂糖税の導入や課税スケジュールについては「政策変更が進むタイの砂糖産業の動向」『砂糖類・でん粉情報』2018年3月号(https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_001683.html)を、最近の業界関係者の見解については「タイにおける砂糖産業の動向」同2019年6月号(https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_001986.html)をご参照ください。
(注2)タイ保健省によると、砂糖などの糖類の成人1人・1日当たりの摂取量は100グラムを超えるとされる。このため、同国政府は世界保健機関(WHO)が奨励する、糖類摂取量1日25グラム未満(摂取する総カロリーの5%未満)に抑えることを目標に掲げている。