ホーム > 砂糖 > 調査報告 > さとうきび > 品目別経営安定対策導入後のさとうきび生産・担い手の現状と課題について
最終更新日:2019年12月10日
コラム―農業競争力強化基盤整備事業と農地中間管理事業の連携事例(沖縄県宮古島市西新生地区)農業競争力強化基盤整備事業(以下「基盤整備事業」という)における宮古島市西新生地区の概要は、受益面積64.7ヘクタール、受益戸数67戸で営農計画は、さとうきび45.3ヘクタール、かぼちゃ6.7ヘクタール、マンゴー1.8ヘクタールなどとなっている(コラム−図)。基盤整備事業の採択要件である農地集約化を図るため、農地中間管理事業(利用権設定)との連携を図り、地区内の農地2割以上を担い手に集積することにより、基盤整備事業採択要件を満たすとともに農地中間管理事業(地域集積協力金)の交付要件を充足することができた。農地の2割以上を担い手に集積するため、農地中間管理事業との連携に向けて平成28年4月から、県、市・農業委員会、農地中間管理機構および地区受益者、自治会住民の関係機関で、人・農地プラン、農用地利用集積計画および農用地利用配分計画や地域集積協力金の使途などについて話し合いしながら事業を推進した。 具体的には、県整備課の集積計画を基に農業委員会(農地情報)、市農政課(人・農地プラン)、集落(担い手の推薦)、中間管理機構(協力金)がそれぞれ分担して取り組みを行った。 その結果、29年8月から基盤整備事業を実施し、当該地区は、沖縄県農地中間管理事業の重点実施区域・モデル地区およびNN連携地区(注)となったことから農地中間管理事業(地域集積協力金)を導入した。 基盤整備事業と農地中間管理事業との連携効果として、▽高齢受益者の整備負担金への不安からくる事業の途中離脱の意向について、農地中間機構を介した貸付により翻意することができたこと▽新たに6ヘクタールの農地が中心経営体に集積されたこと▽基盤整備事業の促進費と地域集積協力金を受給するため、県・市・機構が連携して取り組んだことにより受益者の理解も得られやすく、事業推進を後押ししてくれたこと―などが挙げられる。 地域農業においてさとうきびは基幹作物であるが、さとうきび生産農家の高齢化の進展、零細かつ分散型の圃場や機械化の推進など、将来を見据えて担い手への農地集積・大型区画整理や事業負担の軽減など現状を考慮した基盤整備の推進が強く求められており、当該地域の事業連携の事例は他地域への波及モデルとして期待される。 (注)農地整備事業(区画整理事業)と農地中間管理機構(農地中間管理事業)との連携。担い手を人・農地プランに盛り込み、一部高齢農家と地域担い手の2者間で賃貸借を設定して利用権設定による担い手集積へと進み、大きな造成区画を推進することを目的とする。 |