3. 国際価格の動向
最終更新日:2020年1月10日
3. 国際価格の動向
2020年1月
ニューヨーク粗糖先物相場の動き(2/3〜3/13)
〜2月中旬に2年9カ月ぶりの高値を付けるも、下旬以降は著しく下落し11セント台へ〜
ニューヨーク粗糖先物相場の2020年2月の推移を見ると(3月限)、3日は、2019/20年度のインドの砂糖生産実績やEUの砂糖輸出実績が前年同期を大幅に下回っているとの発表を受けて、1ポンド当たり14.89セントの値を付けた(注1)(図3)。4日はレアル(ブラジルの通貨)安が影響し、同14.71セントと下落した(注2)。5日以降は、タイでも砂糖の減産見通しが報じられるなど世界的な砂糖の供給不足感から上昇傾向で推移し、10日は同15.04セントの値を付けた。12日は、原油価格の上昇も相場を下支えし(注3)、同15.78セントまで急伸し、2年9カ月ぶりに15セント台後半の値を付けた。13日は、前日の高値を受けて売りが先行し、同15.16セントまで急落した。19日は、タイの砂糖生産実績が前年同期比14%減となったことを受けて、同15.58セントと値を上げた。20日は下落したものの、21日は、米国で2020/21年度産のてん菜の植え付けが遅れると見込まれたことで同15.59セントと再び上昇した。24日以降は、原油価格の下落やレアル安に伴い下落し、27日は、原油価格の下落やレアルの最安値が更新されたことで、同14.39セントの値を付けた。28日は、国際砂糖機関(ISO)が2019/20年度の砂糖供給予測を下方修正したことを受け、同14.46セントと値を上げた。
期近が5月限に切り替わった3月2日は、レアル安やブラジルの2月の砂糖輸出量が前年度より増加したとの発表が影響し、同13.81セントと約2カ月ぶりに13セント台を付けた。その後も原油価格の下落やレアル安によって続落し、9日は同12.61セントの値を付けた。10日は、原油価格とレアルの回復を受けて横ばいで推移したが、11日以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による世界的な景気後退への懸念が高まったことで原油価格の下落とレアル安が加速し、12日は同11.62セントと約半年ぶりに12セント台を割り込んだ。13日は、反発したものの、同11.70セントと11セント台にとどまった。
(注1)1ポンドは約453.6グラム、セントは1米ドルの100分の1。
(注2)粗糖はドル建てで取引されるため、ドルに対してレアルが安くなるとブラジルの製糖業者が粗糖輸出で得る収入は増加する。従って、製糖業者の輸出意欲が高まり、需給緩和の可能性が強くなることから、商品相場は下落する傾向にある。
(注3)一般に、原油価格が下落すると、代替燃料であるバイオエタノールの需要が低下する。バイオエタノールの需要が低下すると、その原料作物(サトウキビ、てん菜、トウモロコシ、キャッサバなど)のバイオエタノール生産への仕向けが減るため、それらから生産される食品(サトウキビの場合は砂糖)の供給が増える方向に作用する。その結果、需給緩和の懸念が強まり、商品相場は下落する傾向にある。
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