2019/20年度、輸入量はやや増加する見込み
2019/20砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は118万ヘクタール(前年度比3.5%減)とやや減少し、天候不順で停滞していたサトウキビの生育状況に回復の兆しが見られるものの、収穫面積の減少による影響を相殺しきれず、サトウキビ生産量は7769万トン(同1.1%減)とわずかに減少すると見込まれる(表4)。てん菜については、収穫面積は21万ヘクタール(同12.4%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。主産地である内モンゴル自治区で広範囲の害虫被害が発生したものの、糖度が前年度よりも高いことが収穫面積の減少を一部相殺し、てん菜生産量は1090万トン(同6.6%減)とかなりの程度減少すると見込まれる。
これに伴い、砂糖生産量は1103万トン(同5.2%減)とやや減少し、その不足分を賄うため、輸入量は499万トン(同3.3%増)とやや増加すると見込まれる。
新型コロナウイルスの砂糖消費への影響は限定的か
オランダの農業系金融機関ラボバンクは、2019年末から中国で流行している新型コロナウイルス(2019-nCoV)は砂糖消費を短期的に抑制するものの、甚大かつ長期的な影響を与えることはないとみている。ラボバンクは、同ウイルスの感染を予防するために外食の需要が低下するものの、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどでの購買活動は維持されることで家庭での砂糖消費は減少せず、同ウイルスの流行が収まれば景気は速やかに回復するとし、2019/20年度の中国の砂糖消費量は前年度比1%増と、同ウイルスの流行前に発表した見通しを修正していない。万一、国内の砂糖需給がひっ迫した場合、砂糖の備蓄放出で対応できるとみている
(注)。
中国最大の食品会社である中糧集団有限公司(COFCO)の砂糖部門によると、同ウイルスの影響で需要が急増した錠剤用の砂糖を製薬会社に速やかに納入するため、中国の旧正月である春節の休暇期間中も営業を続けたほか、国内の主要港に保管されている砂糖を適切に流通させるなど砂糖の安定供給に尽力している。
(注)政府は国内砂糖価格の適正化を図るため、1991年から一定量の砂糖を備蓄用として買い付けるとともに市場へ放出する砂糖備蓄制度を開始した。詳細は、「砂糖類情報」2006年8月号「中国の砂糖産業の概要〜国内の需給ギャップと闘う中国政府〜」(https://sugar.alic.go.jp/japan/fromalic/fa_0608a.htm)を参照されたい。