2019/20年度、輸出量はかなり大きく減少する見込み
2019/20砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、砂糖の国際価格の低迷により他作物へ転作する動きが見られるため、161万ヘクタール(前年度比12.5%減)とかなり大きく減少すると見込まれる(表7)。2019年初頭の降雨量が少なく、サトウキビの生育が停滞していることから、サトウキビ生産量は8302万トン(同36.6%減)と大幅に減少すると見込まれる。
サトウキビ生産の落ち込みにより、砂糖生産量は991万トン(同35.9%減)と大幅に減少すると見込まれる。砂糖の減産に伴い、輸出量は905万トン(同13.3%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。
ミトポン社、サトウキビの葉の買い取りを開始
タイの最大手製糖業者であるミトポン(Mitr Phol)社は、2019年12月1日から翌4月30日の期間、サトウキビの焼き畑防止のためにサトウキビの葉の買い取りを実施することを発表した。葉の買い取り価格は1トン当たり1000バーツ(3590円)で、葉の刈り取りや輸送にかかるコストは同500バーツ(1795円)程度であるため、残りの同500バーツが農家の収益となる。買い取られた葉は主にバイオマス発電の燃料として使用される。また、タイ製糖協会(TSMC)も、同協会に加盟している製糖業者の代理として農家からサトウキビの葉の買い取りを実施していることを明らかにした。タイ政府は2021/22年度までに焼き畑で収穫されたサトウキビの割合を5%以下とする方針であるが、タイ国内ではいまだに焼き畑を行う農家が多く、焼き畑に伴う大気汚染が連日報道されている
(注)。
(注)タイのサトウキビ生産における焼き畑政策については、「砂糖類・でん粉情報」2019年6月号「タイにおける砂糖産業の動向」(https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_001986.html)を参照されたい。
焼かれていないサトウキビの買い取り価格は1トン当たり1000バーツ超えの見込み
タイのスリヤ工業相は1月19日、2019/20年度のサトウキビの買い取り価格について、焼き畑以外の方法で収穫された場合、1トン当たり1000バーツ(3590円)を超える見込みであると述べた。
工業省はタイサトウキビ・砂糖委員会事務局(OCSB)に対し、2019/20年度に100億バーツ(359億円)規模の補助金をサトウキビ農家に支払うよう命じており、65億バーツ(233億3500万円)は資材購入費の補助として、残りの35億バーツ(125億6500万円)は焼き畑以外の方法でサトウキビを収穫した農家に対して支払われる。2019/20年度のサトウキビの期首価格は1トン当たり750バーツ(2693円)
(注)であるが、これらの補助金が上乗せされると、焼き畑以外の方法で収穫されたサトウキビの価格は同1000バーツ(3590円)を超えるとみられる。
(注)期首価格は、農家に支払われる最低取引価格のうち当該年度の期首に決定される価格で、基準糖度10CCS(可製糖率)として決定されている。実際のCCSに準じて1CCS当たり45バーツ(162円)が加算または減算される。年度終了時に実績に基づき期末価格が決定され、差額が精算される。