2019/20年度、輸出量は大幅に減少する見込み
2019/20年度(10月〜翌9月)のてん菜の収穫面積は162万ヘクタール(前年度比5.5%減)とやや減少すると見込まれる(表6)。てん菜生産量は、深刻な干ばつに見舞われた前年度からの反動で1億1459万トン(同3.3%増)とやや増加すると見込まれる。
平年より高温・乾燥した状況が続いたEU最大の砂糖生産国フランスにおけるてん菜の根中糖分の低下などが響き、砂糖生産量は1821万トン(同0.2%減)と横ばいで推移すると見込まれる。生産量が消費量を下回ると予想されることから、輸出量は103万トン(同45.9%減)と大幅に減少すると見込まれる。
てん菜生産者団体、欧州委員会に救済措置を求める
欧州てん菜生産者協会(CIBE)は4月7日、ホームページ上に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響」と題した報告書を公開した。この報告書の中でCIBEは、「EUの各都市で外出禁止など私権制限を伴う都市封鎖が実施されたことによって、砂糖の家庭消費が増加していると考えられるが、砂糖消費のかなりの割合を占める飲食店やホテルなどの業務用需要の落ち込みが著しく、マイナスの影響が出てきている」と指摘した。その影響度合いについて、業界関係者の話として「EUの砂糖消費量は70万トンまたは当初予測から4%減る」との見方を示した。
また、砂糖の国際価格が大きく下落したことで、EU域内に安価な海外産の粗糖が大量に流入する恐れがあり、今後EU域内で生産されるてん菜を原料とする砂糖の適正な価格水準を維持することが難しくなるとみている。
CIBEはこうした現状を踏まえ、欧州委員会に対し緊急輸入制限措置を含めた何らかの救済措置を早急に講じるよう求めた。
ポーランドの「砂糖税」、適用時期をめぐって混乱
ポーランド政府が提出した、糖類を含む飲料に課税するいわゆる「砂糖税」の導入を盛り込んだ健康増進法案
(注)は3月13日、野党が過半を占める上院で否決された。ただし、法案は下院で再可決される見通しで、大統領が署名すれば法律として成立する。
こうした中、法律の適用時期をめぐって混乱が生じている。当初、2020年7月1日から適用される予定であったが、COVID-19の拡大による経済への影響を考慮し、同国政府はこの法案の適用時期を2021年まで延期する方針を示していた。しかし、現地報道によると、その方法について政府内で未だ本格的な議論がなされておらず、時間切れによって結局、7月1日から適用される可能性があるとしている。
これに対して、飲料業界は「COVID-19の拡大で飲料需要が落ち込む中、新たな税負担が加わり、二重の打撃となる」と訴え、適用時期の延期を求める署名活動を展開するなど猛反発している。
(注)具体的な税額などの内容は、「砂糖の国際需給−4.世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2020年3月時点予測)−」『砂糖類・でん粉情報』2020年4月号を参照。https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002177.html