2020/21年度、砂糖生産量はやや増加する見込み
2020/21年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、36万ヘクタール(前年度比1.0%減、5月予測から変化なし)とわずかに減少すると見込まれる(表6)。サトウキビ生産量は、記録的な干ばつに見舞われた2019年ほど極端な天候にはならないとの前提の下、3200万トン(同6.5%増、5月予測から変化なし)とかなりの程度増加すると見込まれる。
砂糖生産量は、前年度の減産からの反動が押し上げ要因となり、449万トン(同4.7%増、5月予測から変化なし)とやや増加すると見込まれる。消費量の落ち込みを輸出促進によって相殺すると予測されることから、輸出量は350万トン(同4.6%増、5月予測より増加)とやや増加すると見込まれる。
降雨による土壌水分量の増加がサトウキビ収穫を妨げ、圧搾に遅れ
豪州砂糖製造業者協議会(ASMC)は、2020/21年度におけるサトウキビの週間圧搾量の公表を開始した。これによると、5月下旬に降雨が続き、ハーベスタが圃場に入れなかった影響でサトウキビが収穫できず、製糖工場での圧搾の開始が前年度より1週間程度遅れた。結果、6月7日までの週間圧搾量は1万4891トン(前年同期比90.9%減)と大幅に減少した。一方、可製糖率(CCS)
(注1)は12.28と、前年同期の11.93を上回った。現地報道によると、サトウキビの主産地であるクイーンズランド(QLD)州のハーバート・バーデキン地域
(注2)などでは、6月に入っても降雨が続いており、製糖業者はサトウキビの収穫や圧搾を一時中断せざるを得ない状況にあるため、今後の週間圧搾量への影響が懸念されるとしている。
(注1)サトウキビのショ糖含有率、繊維含有率および搾汁液の純度から算出される回収可能な糖分の割合。
(注2)ハーバート地区とバーデキン地区を合わせた区域。
SRA、サトウキビの新品種2種類の承認を発表
豪州砂糖研究センター(SRA)は5月18日、SRAが開発したサトウキビの新品種(「SRA28」および「SRA29」)の栽培が、栽培対象地域のサトウキビ農家と製糖業者で構成された委員会(Regional Variety Committees)において承認されたと発表した。
SRA28は、既存品種と比べて単収やCCSが高いことや、耐倒伏性に優れ収穫しやすいこと、根腐病や葉焼け病、黒穂病への耐病性を持つことなどが特徴である。本承認によりSRA28は、QLD州北部のファー・ノース・クイーンズランド(FNQ)地域において2020/21年度から、同州ハーバート地区において2021/22年度から栽培が可能となった(図4)。
SRA29は、既存品種と同等の単収やCCSが期待でき、株出しを繰り返しても単収が保たれるという強みがある。SRA29は、2021/22年度から同州南部地域での栽培が認められた。