2019/20年度の輸出量は、大幅に減少する見込み
2019/20年度(10月〜翌9月)のてん菜の収穫面積は162万ヘクタール(前年度比5.5%減、7月予測より変化なし)とやや減少すると見込まれる(表5)。てん菜生産量は、深刻な干ばつに見舞われた前年度からの反動で1億1474万トン(同3.3%増、7月予測より変化なし)とやや増加すると見込まれる。
平年より高温・乾燥した状況が続いたEU最大の砂糖生産国フランスにおけるてん菜の糖分低下などが響き、砂糖生産量は1816万トン(同0.5%減、7月予測より変化なし)とわずかに減少すると見込まれる。輸出量は、生産量が消費量を下回ると予想されることから、130万トン(同31.2%減、7月予測より変化なし)と大幅に減少すると見込まれる。
フランス、ネオニコチノイド系農薬の緊急使用を認める方向
EU最大のてん菜生産国フランスのてん菜生産者組合(CGB)は7月31日、現在国内にまん延している
萎黄病の撲滅に向け迅速な対応を取るよう、首相に要請した。萎黄病は、アブラムシによって媒介されるウイルス性の病気で、てん菜の単収を最大30〜50%減少させるとされている。現地報道によると、同国では4月以降、萎黄病が国内五つの地域圏で発生し、中でもサントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏では、てん菜圃場の約半分が被害を受けている(図3)。なお、萎黄病への防除にはネオニコチノイド系農薬が効果的であるが、同国では2018年以降、その散布がミツバチなどの生態系に影響を及ぼすとして、同農薬の使用が禁止されている。同国農業・食料省は8月6日、萎黄病の有効な防除方法がない現状を危機的状況と判断し、同農薬の緊急使用を含めた砂糖産業の支援計画を実施すると発表した
(注)。
(注)種子表面へのコーティングのみを認め、噴霧による使用は引き続き禁止する。また、同農薬の緊急使用については、法律の改正作業を今秋に行うとしている。
英国、肥満対策として砂糖などを多く含む食品の販売促進や広告への規制を計画
英国政府は7月27日、脂質・砂糖・塩分を多く含む食品(HFSS)を対象に、購入量の増加を促す販売方法(「buy one get one free(1つ買ったらもう1つは無料)」など)や、午後9時までテレビやインターネットでの広告配信を禁止し、肥満人口の削減に取り組む方針を明らかにした。このほかにも、大手のレストランやカフェ、食事のテイクアウトサービスを対象に、取扱商品のエネルギー量表示の義務付けや、現行の栄養表示制度の見直しなども実施する予定としている。同政府によると、これらの政策は、人々がより健康的な食生活を選択できる環境づくりのほか、肥満との関係が指摘されている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症患者の削減にも寄与するとしている。
一方、同国の業界団体である英国食品・飲料連盟(Food and Drink Federation)は、本政策は肥満対策としての根拠に乏しく、COVID-19の影響による不安定な経済状況下において、食品などの安売りを禁止し、家計により一層の負担をもたらすのはおかしいと批判した。