2020/21年度、砂糖生産量はわずかに増加する見込み
2020/21年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、36万ヘクタール(前年度比1.0%減、7月予測より変化なし)とわずかに減少すると見込まれる(表6)。サトウキビ生産量は、記録的な干ばつに見舞われた2019年ほど極端な天候にはならないとの前提の下、3095万トン(同3.0%増、7月予測より減少)とやや増加すると見込まれる。
砂糖生産量は、前年度の減産からの反動が押し上げ要因となり、434万トン(同1.3%増、7月予測より減少)とわずかに増加すると見込まれる。消費量の落ち込みを輸出促進によって相殺すると予測されるものの、輸出量は336万トン(同9.3%減、7月予測より減少)とかなりの程度減少すると見込まれる。
サトウキビ生産者団体、窒素施用量の規制を再考するよう上院委員会に要請
クイーンズランド(QLD)州の生産者団体であるCANEGROWERSは7月下旬の上院委員会において、2019年9月にQLD州議会が改正したグレート・バリア・リーフ環境保護法1994年の内容を再検討するよう求めた
(注1)。同法には、サンゴの白化現象
(注2)を抑制するため圃場から河川や地下水への肥料・農薬成分の流出を厳しく規制することなどが盛り込まれており、一部地域では既に施行されている。CANEGROWERSは、同州政府が定めた窒素施用量はサトウキビ栽培に最適とされる量の7割程度でしかなく、新基準を適用した場合、同州のサトウキビ生産量は年間230万トン減少し、同州が受ける損失は今後10年間で13億豪ドル(1001億円)に上るとした。
また、CANEGROWERSは、そもそも河川や地下水への窒素流出量は、サンゴ礁に直接的な影響を与えないと言われており、本法による窒素施用量の規制は科学的な根拠がないと指摘し、グレート・バリア・リーフの水質調査を再度行い、調査結果を公正に政策へ反映させるよう上院委員会に併せて要請した。
(注1)詳細は、「畜産の情報」2020年2月号「豪州肉用牛産業における環境対策について〜持続可能性の確保に向けて〜」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_000969.html)を参照されたい。
(注2)水産庁によると、白化現象とは、サンゴ礁を形成する造礁サンゴに共生している「褐虫藻」と呼ばれる藻類が失われることで、サンゴの白い骨格が透けて見える現象。白化した状態が続くと、サンゴは褐虫藻からの光合成生産物を受け取ることができず、壊滅する。