2020/21年度、砂糖生産量はかなり大きく増加するものの、輸出量はかなり大きく減少する見込み
2020/21年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、豪雨による大規模な圃場の浸水被害に見舞われた昨年度からの反動で、473万ヘクタール(前年度比6.5%増)とかなりの程度増加すると見込まれる(表3)。サトウキビの主産地であるマハラシュトラ州では、年間降雨量が集中するモンスーン期(6〜9月)における降雨が順調であることから、ダムの水位回復により、サトウキビ生産量は3億9338万トン(同13.6%増)とかなり大きく増加すると見込まれ、砂糖生産量も3375万トン(同14.7%増)とかなり大きく増加すると見込まれる。今年度はコロナ禍における厳しい財政状況を理由に砂糖の輸出政策
(注)の発表が遅れており、輸出政策が発表されたとしても、輸出契約締結までの期限が前年度と比べて短くなることから、輸出量は696万トン(同13.2%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。
(注)インド政府の2020/21年度における砂糖の輸出政策の経緯については、『砂糖類・でん粉情報』2020年11月号のインドの項「ISMA、2020/21年度における砂糖の輸出政策の早期発表を首相官邸に要請」(https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002327.html)も参照されたい。
ウッタルプラデーシュ州、すべての村でのマイクロかんがいの導入を推進
現地報道によると、インド最大のサトウキビ産地であるウッタルプラデーシュ(UP)州政府は、2022年末までに同州のすべての村で少なくとも2ヘクタールのマイクロかんがい
(注)(主に点滴かんがい)圃場を設置する計画を明らかにした。すでに同州内の約10万7000村のうち約3万村ではマイクロかんがいの導入が進められており、同州政府園芸部は、この取り組みを今後2年間かけて同州内のすべての村へ展開することを目指している。これにより、農業用水の消費量が30%程度削減でき、土壌の物理性や作物の生産性の向上が見込まれている。なお同部は、同国の点滴かんがいを含むマイクロかんがいの利用率が約8%であるのに対し、サトウキビ生産量国内第2位のマハラシュトラ州では、サトウキビ圃場の30%に点滴かんがいが利用され、利用率が10〜12%のUP州よりも回収糖分が多いとしている。UP州でスプリンクラーかんがいに代えてこのようなかんがい設備を導入することは、サトウキビ生産者にとって大きな意義があると述べている。
(注)マイクロかんがいは、給水管路に接続された散水支管内の水圧に対応して比較的少ない流量で作物の根群域に頻繁にかんがいすることである。マイクロかんがいには、点滴かんがい、多孔管かんがいなどがある。