2. 国際価格の動向
最終更新日:2020年11月10日
2. 国際価格の動向
2020年11月
ニューヨーク粗糖先物相場の動き(9/1〜10/15)
〜10月限は13セント台で期日迎え、3月限は14セント台まで上昇〜
ニューヨーク粗糖先物相場の2020年9月の推移を見ると(10月限)、1日は国際砂糖機関(ISO)が2020/21年度の世界の砂糖生産量が増加すると予測したことを受け、1ポンド当たり12.60セント(注1)を付けた。4日は、原油価格が安値を付けたため、同11.93セントまで下落した(注2)。8日は、ショートポジションをカバーするための買い戻し(注3)が入ったことで、同12.04セントまで上昇した。10日は、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)がブラジル産糖の増産予測を示したことなどから、同11.91セントまで値を下げた。14日は、インドにおいて平年より雨季の降雨量が多かったことが発表され、サトウキビの収量が増えるとの予測から同11.76セントまで下落した。15日は、ブラジルレアルが対米ドルで6週間ぶりの高値をつけたことなどから同12.08セントと反発した(注4)。その後は原油価格の上昇に伴い続伸し、18日は同12.77セントまで値を上げた。21日は、原油価格の落ち込みやレアル安を受けて同12.55セントと急落したが、22日は米国政府がブラジル産糖や豪州産糖の関税割当枠を拡大したこと(3のブラジルの項を参照。)や豪州産糖の減産予測などが影響し、同12.89セントまで急伸した。25日は、タイ産糖の減産予測が市場に広まり、同13.00セントと約1カ月ぶりに13セント台に乗せた。28日は、インド産糖の増産予測やレアル安を受け同12.59セントと急落したものの、29日は同12.99セントまで値を戻した。10月限の期日を迎えた30日は、原油価格の上昇を受けて、同13.07セントの値を付けた。
10月(3月限)に入ると、1日は、今後の砂糖供給量が減少するとの懸念から同13.58セントの値を付け、7日には、7カ月ぶりの14セント台となる同14.14セントまで値を上げた。さらに、9日はラニーニャ現象(注5)によってブラジルのサトウキビ栽培地域で降雨量が減少し、砂糖生産量が減少するとの見込みから5日連続で続伸し、同14.23セントまで上昇した。12日は、ブラジルのサトウキビ生産地域で雨が降るとの予報を受けて同13.84セントと反落したものの、13日は、原油価格の上昇により、同14.01セントと再び14セント台まで値を戻した。14日は、原油価格の上昇を受けて続伸し、同14.20セントまで値を上げた。
(注1)1ポンドは約453.6グラム、セントは1米ドルの100分の1。
(注2)一般に、原油価格が下落すると、石油の代替(補填)燃料であるバイオエタノールの需要も低下する。バイオエタノールの需要が低下すると、その原料作物(サトウキビ、てん菜、トウモロコシ、キャッサバなど)のバイオエタノール生産への仕向けが減る一方、それらから生産される食品(サトウキビの場合は砂糖)の生産・供給が増えることが想定される。食品用途仕向けの度合いが大きくなるほど需給が緩和し、当該食品の価格を押し下げる方向に作用する。
(注3)売買差益を狙い、将来の値下がりを期待して売りの持ち高を取っていた金融資産を、決済のために買い戻すこと。
(注4)粗糖は米ドル建てで取引されるため、米ドルに対してレアルが高くなると、相対的にブラジル産粗糖の価格競争力が弱まる。世界最大の砂糖輸出国ブラジルの輸出意欲が低下すれば、需給のひっ迫につながることから、価格を押し上げる方向に作用する。
(注5)太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて、海面水温が平年より低くなる状態が続く現象。
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