砂糖類の国内需給
最終更新日:2020年11月10日
砂糖類の国内需給
2020年11月
1. 需給見通し
農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。9月に「令和2砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第1回)」を公表した。
(1)砂糖の消費量
令和元砂糖年度(10月〜翌9月。以下同じ)の砂糖の消費量は、175万5000トン(前年度比6.3%減)となった(表1)。内訳を見ると、分みつ糖の消費量が171万9000トン(同6.3%減)、含みつ糖の消費量が3万6000トン(前年度同)の見込みである。
2砂糖年度の砂糖の消費量は、179万5000トン(前年度比2.3%増)と見通している(表1)。内訳を見ると、近年の消費動向などを勘案し、分みつ糖の消費量は176万トン(同2.4%増)、含みつ糖の消費量は3万5000トン(同2.8%減)と見通している。
(2)砂糖の供給量
令和元砂糖年度の砂糖の供給量は、179万5000トン(前年度比5.5%減)となった。内訳を見ると、分みつ糖が177万7000トン(同5.5%減)、含みつ糖が1万9000トン(同5.0%減)の見込みである。
2砂糖年度の砂糖の供給量は、181万8000トン(同1.3%増)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖の供給量は180万トン(同1.3%増)、含みつ糖は1万8000トン(同5.3%減)と見通している。国内産糖(分みつ糖)の供給量は、てん菜糖については、てん菜の作付面積が前年産と比べ0.7%(約400ヘクタール)増加したことに加え、春作業は順調に推移し、6月以降も好天に恵まれ、全体的に順調な生育となっていることから、産糖量は63万4000トン(前年産比2.6%減)、供給量は63万3000トン(精製糖換算〈以下同じ〉。前年度比2.6%減)と見通している。甘しゃ糖については、サトウキビの収穫面積が前年産に比べ1.1%(約240ヘクタール)増加し、作柄については、島によっては春先の小雨傾向により干ばつ傾向が懸念され、また、8月および9月に台風が襲来したことにより、一部地域では被害が見られたものの、全体として生育はおおむね順調に推移していることから、産糖量は13万4000トン(前年産比0.7%増)、供給量は12万8000トン(前年度比0.6%増)と見通している。
(3)加糖調製品の需給
令和2砂糖年度の加糖調製品の消費量は、近年の輸入動向などを踏まえ、50万3000トン(前年度同)と見通している(表2)。また、供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。
(4)異性化糖の需給
令和2砂糖年度の異性化糖の消費量は、近年の消費動向などを踏まえ、82万9000トン(前年度比5.9%増)と見通している(表3)。また、供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。
2. 輸入動向
【粗糖の輸入動向】
8月の輸入量は前年同月からやや減少
財務省「貿易統計」によると、2020年8月の甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード 1701.14-110)および甘しゃ糖・その他(同1701.14−200の豪州)の輸入量は、5万9777トン(前年同月比3.6%減、前月比40.4%減)であった(図1)。
輸入先国は豪州で、国別の輸入量は次の通りであった(図2)。
豪州 5万9777トン
(前年同月比14.9%増、前月比40.4%減)
また、2020年8月における甘しゃ糖・その他の豪州からの高糖度原料糖の1トン当たりの輸入価格は、3万5763円(前年同月比1.9%高、前月比1.0%高)であった(図3)。
【含みつ糖の輸入動向】
8月の輸入量は前年同月からかなりの程度増加
財務省「貿易統計」によると、2020年8月の含みつ糖(HSコード 1701.13-000、1701.14-190)の輸入量は、335トン(前年同月比9.5%増、前月比0.6%増)であった(図4)。
輸入先国は中国、タイおよびフィリピンの3カ国で、国別の輸入量は次の通りであった(図5)。
中国 177トン
(前年同月比27.5%減、前月比22.4%減)
タイ 105トン
(同5倍、同5倍)
フィリピン 53トン
(同39.5%増、同15.9%減)
2020年8月の1トン当たりの輸入価格は、10万230円(前年同月比17.0%安、前月比16.2%安)であった(図6)。
国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。
中国 11万7045円
(前年同月比1.8%安、前月比1.1%安)
タイ 5万7695円
(同2.5%高、同1.5%安)
フィリピン 12万8340円
(同18.8%安、同13.3%安)
【加糖調製品の輸入動向】
8月の加糖調製品の輸入量は前年同月から大幅に減少
財務省「貿易統計」によると、2020年8月の加糖調製品の輸入量は、3万7438トン(前年同月比16.9%減、前月比14.2%減)であった(図7)。
品目別の輸入量は、表4の通りであった。
3. 異性化糖の移出動向
9月の移出量は前年同月からわずかに減少
2020年9月の異性化糖の移出量は、6万3908トン(前年同月比1.2%減、前月比1.9%増)であった(図8)。
同月の規格別の移出量は、次の通りであった(図9)。
果糖含有率40%未満 324トン
(前年同月比6.4%減、前月比6.5%増)
同40%以上50%未満 1万6848トン
(同2.3%増、同1.1%減)
同50%以上60%未満 4万5731トン
(同3.1%減、同2.6%増)
同60%以上 1004トン
(同58.2%増、同22.3%増)
4. 価格動向
【市場価格】
砂糖、異性化糖ともに前月と同水準で推移
9月の糖種別・地域別の砂糖価格(日経相場)は、次の通りであった。
上白糖(大袋)
東京 1キログラム当たり187〜188円
大阪 同187〜188円
名古屋 同191円
関門 同191円
上白糖(小袋)
東京 1キログラム当たり199〜202円
大阪 同202円
本グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり192〜193円
大阪 同192〜193円
名古屋 同196円
ビート・グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり187〜188円
大阪 同187〜188円
名古屋 同189円
9月の異性化糖の価格(日経相場、大口需要家向け価格、東京、タンクローリーもの、JAS規格品、水分25%)は、次の通りであった。
果糖分42%もの
1キログラム当たり131〜132円
果糖分55%もの 同137〜138円
【小売価格】
9月の上白糖小袋の地域間の価格差は最大で23.7円
KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける9月の上白糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、188.7円(前年同月差0.7円安、前月差1.6円安)であった。最も高かったのは中国・四国で、最も安かった首都圏との価格差は23.7円であった。
同月の地域別(注)の平均小売価格は、次の通りであった(表5)。
(注)地域の内訳は、次の通りである(以下同じ)。
関東など:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
首都圏:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
中 部:新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
関 西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県
9月のグラニュー糖小袋の地域間の価格差は最大で79.5円
KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける9月のグラニュー糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、243.0円(前年同月差0.7円安、前月差0.2円安)であった。最も高かったのは東北で、最も安かった北海道との価格差は79.5円であった。
同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった(表6)。
9月の三温糖小袋の地域間の価格差は最大で37.1円
KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける9月の三温糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、235.1円(前年同月差1.1円高、前月差0.1円高)であった。最も高かったのは九州・沖縄で、最も安かった関東などとの価格差は37.1円であった。
同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった(表7)。
【購入金額および購入量】
8月の砂糖の支出金額は前年同月と比べわずかに上昇
総務省「家計調査」によると、2020年8月における100世帯当たりの砂糖の購入頻度は34、1世帯(2人以上)当たりの支出金額は81円(前年同月比2.5%高、前月比5.8%安)であった(図10)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、366グラム(同6.1%増、同22.8%増)であった(図11)。
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