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4. 日本の主要輸入先国の動向(2020年11月時点予測)

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最終更新日:2020年12月10日

4. 日本の主要輸入先国の動向(2020年11月時点予測)

2020年12月

 近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14−110〉および甘しゃ糖・その他〈同1701.14−200〉の合計)の主要輸入先国は、豪州、タイ、南アフリカ、フィリピンで、2019年の主要輸入先国ごとの割合を見ると、豪州が81.4%(前年比10.2ポイント増)、タイが18.6%(同9.5ポイント減)となっており、2カ国でほとんどを占めている(財務省「貿易統計」)。

 以上により、この2カ国の動向については毎月報告し、フィリピンおよび南アフリカの動向についてはそれぞれ半年に1回の頻度で報告する(フィリピンは4月号および9月号、南アフリカは10月号および3月号を予定)。

 本稿中の為替レートは2020年10月末日TTS相場の値であり、1豪ドル=76円(75.57円)である。

豪州

2020/21年度、砂糖生産量はわずかに増加する見込み
 2020/21年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、36万ヘクタール(前年度比1.0%減)とわずかに減少すると見込まれる(表6)。サトウキビ生産量は、記録的な干ばつに見舞われた2019年ほど極端な天候にはならないとの前提の下、3092万トン(同2.9%増)とわずかに増加すると見込まれる。

 砂糖生産量は、前年度の減産からの反動が押し上げ要因となり、434万トン(同1.3%増)とわずかに増加すると見込まれる。輸出が消費量の落ち込みをある程度補うと予測されるものの、輸出量は336万トン(同9.3%減)とかなりの程度減少すると見込まれる。

クイーンズランド州の州営かんがい用水の利用料金を15%引き下げへ
 クイーンズランド州で10月31日に行われた州議会選挙で、同州のかんがい用水の利用料金を引き下げる公約を掲げた現政権の労働党が勝利した。

 同州には35カ所の州営かんがい設備があり、同党の公約が実現すれば、かんがい用水の利用料金は、現行から15%引き下げられることになる。

 現地報道によると、再選された同党のアナスタシア・パラシェ首相は、かんがい用水の利用料金を一律15%引き下げることに加え、果物や野菜の生産者に対しては最大50%まで引き下げ、用水を安価に提供することで、労働集約型の園芸部門の雇用を促進すると発表した。

 これに対し、同州のサトウキビ生産者が組織するCANE GROWERSのダン・ギャリガンCEOは、同党の15%引き下げの公約を歓迎し、この政策により、サトウキビ生産者は年間1万5000豪ドル(114万円)のコストを削減できる可能性があると発表した。一方で、同CEOは、サトウキビと野菜の両方を栽培している農家は、同じ設備を使って用水を汲み上げているのに、利用料金が畑ごとに異なるのは前代未聞であるとして、利用料金の引き下げが二段階に分かれていることに疑問を呈した。

表6 豪州の砂糖需給の推移

タイ

2020/21年度の輸出量は、大幅に減少する見込み
 2020/21年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、今期作の作付け時点で、キャッサバなどのサトウキビとの代替性のある作物の収益性がサトウキビよりも高かったことから、代替作物がより多く作付けされたことにより139万ヘクタール(前年度比14.4%減)とかなり大きく減少すると見込まれる(表7)。干ばつの影響を受けて、サトウキビ生産量は6750万トン(同9.9%減)とかなりの程度減少すると見込まれる。

 サトウキビ生産の落ち込みにより、砂糖生産量は794万トン(同9.8%減)とかなりの程度減少すると見込まれる。砂糖の減産や在庫量の減少に伴い輸出余力が低下し、輸出量は508万トン(同37.7%減)と大幅に減少すると見込まれる。

製糖大手、バガスを原料としたストローの販売を開始
 現地報道によると、タイの製糖大手カセート・タイ・インターナショナル社(KTIS)(注1)は、10月14日、2020/21年度からバガス(注2)を原料としたストローの販売を開始すると発表した。バガスを原料としたストローの販売は同国初であり、同年度は3000万本の売り上げを目指している。ストローの製造はKTISの子会社が担当し、生産能力は1日当たり50万本であるが、需要に応じ増産を検討するとしている。同社によると、バガスを原料としたストローは一般的な紙ストローに比べて耐水性が高く、化学物質の残留もないため、消費者が安心して使用できる製品となっている。また、同社の製糖工程で発生したバガスをストロー生産に利用するため、紙ストローの製造と比較して木材の伐採量の削減に寄与でき、環境にも優しいという。

 タイ政府は2019年、プラスチックごみの削減を目的としたロードマップを策定しており、プラスチック製ストローについては、2022年末までに使用を中止するとしている。

(注1)2016/17年度の製糖能力に基づくタイの製糖会社のランキングによれば、同社は868万トンでミトポングループ(1747万トン)、タイ・ルン・ルアングループ(1481万トン)に次ぐ第3位となっている。
(注2)サトウキビを圧搾した際に発生する繊維質の搾りかす。

表7 タイの砂糖需給の推移

(参考) タイの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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