2020/21年度の輸入量は、やや増加する見込み
2020/21年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、雲南省では面積の増加が見られるものの、広西チワン族自治区と広東省での面積減少を受けて、116万ヘクタール(前年度比1.6%減)とわずかに減少すると見込まれ、サトウキビ生産量も、7360万トン(同3.5%減)とやや減少すると見込まれる(表4)。
また、同年度のてん菜の収穫面積は、内モンゴル自治区において、てん菜の買い取り価格が引き上げられたことから、生産者は作付面積を拡大し、収穫面積は23万ヘクタール(同8.8%増)とかなりの程度増加すると見込まれ、てん菜生産量も、単収の増加に伴い、1238万トン(同13.6%増)とかなり大きく増加すると見込まれる。
砂糖生産量は、1135万トン(同0.8%増)とわずかに増加すると見込まれる。輸入量は、2月中旬から始まる旧正月が明けるまでは沈静化するとみられるものの、ブラジル産砂糖の輸入量が2020年末にかけて急増したことなどから、696万トン(同4.2%増)とやや増加すると見込まれる。
新型コロナウイルス感染症、2020年の砂糖消費量に影響を及ぼす
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は、2020年の国内砂糖消費量の減少をもたらした。中国国家統計局によると、同国における1月から11月のソフトドリンク生産量は前年同期比7.4%減の1億5057万トン、1月から6月のあめ生産量は同13.8%減の127万トンとなった。
2021年はCOVID-19による砂糖需要の落ち込みが回復すると予測されている。中国農業農村部が2021年2月に発表した短期的需給見通しによると、2020/21年度の砂糖消費量は1530万トン(前年度比2.0%増)と増加し、COVID-19発生前の2018/19年度の消費量1520万トンをも上回る見込みとなっている。
また、砂糖輸入量についても390万トン(同3.7%増)と増加が見込まれている。なお、現地報道によると、中国の砂糖産業は長年砂糖の密輸問題に悩まされてきたが、2020年はコロナ禍における需要の減退に加え、移動制限などを背景に砂糖密輸量が著しく減少したとしている。その一方で、同国の砂糖業界は、同年春頃から無税で輸入できるASEAN加盟国原産液糖の輸入量が急増していることを問題視している
(注)。液糖輸入は税率改正などの対策が講じられない限り今後も増加傾向で推移する可能性があるとみられており、業界関係者は状況を注視していると現地報道は報じている。
(注)液糖輸入をめぐる最近の動向については、『砂糖類でん粉情報』2021年2月号「砂糖の国際需給 3.世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2021年1月時点予測)」の中国の項(https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002383.html)を参照されたい。