ア 荷揚げ作業
北大東島は、島内に新設された漁港があるものの、生活物資や農業資材などは島内に3カ所ある港(北港・西港・江崎港)の岸壁に着岸し荷揚げ作業を行っている。運搬された各種堆肥などは、北大東村役場が所有するクレーンにより荷揚げされ、島内の建設会社に協力を仰ぎ、島内北側の蔵置場所で一時的に保管された。この荷揚げ作業は、北大東製糖の職員も加わり、8時間ほどかけて行われた(写真4)。
イ 堆肥などの散布
(ア)牛ふん堆肥
牛ふん堆肥は、鶏ふん堆肥による短期間での土壌肥沃度の向上だけでなく長期間にわたって土壌改良を行うことを目的に導入された。一般的に牛ふん堆肥は、腐植割合を高めることにより土壌の保肥力を向上させるだけでなく、土壌物理性を改善することで、通気性や排水性を向上させることができる。また、堆肥に混在する微生物により、土壌の微生物が増加することで、さとうきびの病虫害などの被害を低減する効果もあることから、同島では平成26年度から圃場への投入を行っている。
散布方法などは、沖縄県が平成26年3月に作成した「さとうきび栽培指針」に基づき、マニュアスプレッダーを用いて、10アール当たり4.5トンを散布している(写真5)。
散布作業は、北大東製糖の子会社である「株式会社うふあがりファーム」が担っており、令和元年度は約1カ月をかけて約1125トン(散布面積:25.06ヘクタール分)を散布した。
(イ)鶏ふん堆肥
鶏ふん堆肥は、一般的に牛ふん堆肥よりも肥料効果が高く、短期間で土壌沃度を向上させるとともに化学肥料の代替となる。一方、牛ふん堆肥よりも土壌に有機物が残りにくい点がある。散布方法は、沖縄県農業研究センターからの助言に基づき農家自身が10アール当たり75キログラムを筋まきしている。また、ペレット状になっているため、肥料散布機で散布が可能となっている(写真6)。
令和元年度は、補助事業を活用し、161トン(散布面積:214.48ヘクタール分)を散布した。
(ウ)緑肥作物(クロタラリア)
一般的に沖縄県では、さとうきび栽培の緑肥作物としてクロタラリアが用いられている。クロタラリアは、インド原産の繊維作物で発芽性が良く、収量も高い。一方、台風による折損や酸性土壌で生育不良を起こすことなどがある。
北大東島では、以前から栽培されており、
播種からすき込みまでの作業性が高く、土壌との相性も良かったことからクロタラリアを導入した。また、北大東製糖の担当者によると、クロタラリアは土壌pHが低いと生長しないため土壌診断の目安としても活用できるとのことであった。
散布方法は、牛ふん堆肥と同様に沖縄県の栽培指針に基づき農家自身が10アール当たり5キログラムを播種している。
作業は、農家自身が4月〜5月に播種後、7月にすき込みしており、令和元年度は、補助事業を活用し0.76トン(散布面積:15.19ヘクタール分)を導入した。
なお、一部の農家では緑肥作物とばれいしょとの輪作体系を行い、緑肥作物の栽培面積を確保している。