調査情報部では世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、各国政府の対応など需給に影響を与えるタイムリーな情報を、海外情報としてホームページの以下のURLに随時掲載しております。
(掲載URL:
https://www.alic.go.jp/topics/index_abr_2020.html)
ここでは、3月17日までに掲載したものをまとめて紹介いたします。
農業調査会社コルテバ社の委託を受けてエコノミスト誌が取りまとめた世界の食料安全保障指数が公表された。
本調査は2012年から実施されており、2020年は、113カ国を対象に、100を最も高い値とし、食料の「所得に対する値頃感(a?ordability)」、「入手しやすさ(availability)」、「品質・安全性(quality and safe-ty)」、「資源および強靭性(resources and resilience)」の四つの主要項目を、59の指標を基準として各項目の点数が計算されている。なお、今回発表されたランキングは、2020年に「資源および強靭性(resources and resilience)」が主要項目に追加されたことに伴い、2012年以降の数値も再集計されている。
本調査によると、2020年の食料安全保障指数が最も高かった国は前年に続きフィンランドで、前年から0.2ポイント上昇の85.3であった(図)。次いで、アイルランド(83.8)、オランダ(79.9)、オーストリア(79.4)と欧州連合(EU)加盟国が続いた。
項目別にそれぞれの最高値を見ると、「所得に対する値頃感」はアイルランドとデンマークの92.2、「入手しやすさ」はフィンランドの82.0、「品質・安全性」はカナダの94.5、「資源および強靭性」はノルウェーの73.5であった。
調査では、2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック当初には、食料安全保障指数の高い国であっても、必需品のパスタや米などの買いだめによってスーパーマーケットの食品棚が空になるなど、その影響の大きさに言及されている。
また、調査によると、世界の食料安全保障の状況は、2012年から2018年までは改善傾向にあったものの、パンデミック前の2019年には集約的農業、気候変動、天然資源の減少などの要因が相まって悪化に転じ、 2020年のパンデミックが状況をさらに悪化させる要因になったとした。
なお、日本については、前年から0.5ポイント下げて77.9となったものの、前年と同じ9番目となった。項目別に見ると、「所得に対する値頃感」は6番目、「入手しやすさ」は8番目と比較的上位にある一方、「品質・安全性」は34番目、「資源および強靭性」は15番目となっている。