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5. 日本の主要輸入先国の動向(2021年3月時点予測)

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最終更新日:2021年4月9日

5. 日本の主要輸入先国の動向(2021年3月時点予測)

2021年4月

 近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14−110〉および甘しゃ糖・その他〈同 1701.14−200〉の合計)の主要輸入先国は、豪州およびタイで、2020年の主要輸入先国ごとの割合を見ると、豪州が86.6%(前年比5.2ポイント増)、タイが10.5%(同8.1ポイント減)となっており、2カ国でほとんどを占めている(財務省「貿易統計」)。  

 本稿中の為替レートは2021年2月末日TTS相場の値であり、1豪ドル=85円(85.31円)である。

豪州

2020/21年度の砂糖生産量は、わずかに増加する見込み  
 2020/21年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、36万ヘクタール(前年度比1.0%減)とわずかに減少すると見込まれる(表6)。サトウキビ生産量は、記録的な干ばつに見舞われた2019年ほど極端な天候にはならないとの前提の下、 3112万トン(同3.6%増)とやや増加すると見込まれる。  

 砂糖生産量は、前年度の減産からの反動が押し上げ要因となり、サトウキビ生産量の増加も受けて、 438万トン(同2.1%増)とわずかに増加すると見込まれる。一方で、前年度の減産により期末在庫量(当期期首在庫量)が減少したことを受け、今年度の増産が輸出量の落ち込みをある程度補完すると想定されるものの、輸出量は336万トン(同2.5%減)と、依然減少傾向が続くと見込まれている。

連邦政府およびクイーンズランド州政府、物流インフラ整備の資金を助成
 クイーンズランド(QLD)州政府は、州内のサトウキビ産地であるメリーボロー地区において、製糖工場への鉄道輸送の支援に向け、貨車積載に用いる機材(トランスローダー)の整備資金として、 190万豪ドル(1億6150万円)の公的資金を導入すると現地報道が伝えた。これは、豪州連邦政府による250万豪ドル(2億1250万円)の支援に続くものである。  

 同地区においては、2020年の製糖シーズン終了後の製糖工場の閉鎖が発表されたことを受け、地域の生産者が対策として、収穫量38万トンのサトウキビを新たに遠方の製糖工場へ鉄道輸送する計画を策定し、政府に支援を要請していた。  

 豪州砂糖製造業者協議会(ASMC)の最高責任者によると、本計画の実現にはトランスローダーが不可欠であるとして、両政府の対応を称賛した。今回の助成により、サトウキビの生産や運搬などに関わる110人の現地雇用が確保されるとともに、新たな納入先となる製糖工場においても、681人の雇用を支えることになるということである。

表6 豪州の砂糖需給の推移

タイ

2020/21年度の輸出量は、大幅に減少する見込み  
 2020/21年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、前期作でのキャッサバなどの代替作物の収益性が高かったことから、今期作では代替作物がより多く作付けされたことにより、139万ヘクタール(前年度比18.8%減(注))と大幅に減少すると見込まれる(表7)。加えて今期のサトウキビ生産量は、前期に続き干ばつの影響を受け、6500万トン(同13.2%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。  

 砂糖生産量は、サトウキビ生産の落ち込みにより、 756万トン(同14.1%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。砂糖の減産や在庫量の減少に伴い輸出余力が低下し、輸出量は451万トン(同44.8%減)と大幅に減少すると見込まれる。

(注)当月予測において、2019/20年度の面積値に変更が生じたため、前月予測と数値が相違している。

OCSB、PM2.5削減に向け、地場セメント企業と共同でトラッシュの有効利用を開始
 タイの大手企業サイアムセメントグループ(SCG)でセメント・建設製品事業を担うザ・コンクリートプロダクツ・アンド・アグリゲート社(CPAC)は2月19日、サトウキビ・砂糖委員会事務局(OCSB)(注)と共同で、サトウキビの焼き畑収穫に起因する大気汚染の軽減を目指し、トラッシュ(サトウキビの葉や(しょう)頭部(とうぶ)など)の有効利用プロジェクトを始動することを明らかにした。  

 具体的には、OCSBがサトウキビ農家や製糖工場と調整を行うなどしてトラッシュの回収を支援し、 CPACが農家などから買い取ったトラッシュをセメント生産や他の事業における代替燃料として利用するもので、同プロジェクトを通じて、焼き畑によるPM2.5の削減のほか、サトウキビ農家の所得向上などが期待されるとみられている。  

 同社によると、事業期間は2021年2月19日から2023年3月31日の約2年間を予定し、年間約21万トンのトラッシュの回収を見込んでいる。

(注) サトウキビおよび砂糖関連政策の執行機関である政府3省(工業省〈製糖関係〉、農業協同組合省〈原料作物関係〉、商務省〈砂糖の売買関係〉)とサトウキビ生産者および製糖企業の代表で構成され、工業省内に設置された、サトウキビ・砂糖委員会(TCSB)の事務局。

表7 タイの砂糖需給の推移

(参考) タイの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

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