4. 日本の主要輸入先国の動向(2021年4月時点予測)
最終更新日:2021年5月10日
4. 日本の主要輸入先国の動向(2021年4月時点予測)
2021年5月
近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14-110〉および甘しゃ糖・その他〈同 1701.14-200〉の合計)の主要輸入先国は、豪州およびタイで、2020年の主要輸入先国ごとの割合を見ると、豪州が86.6%(前年比5.2ポイント増)、タイが10.5%(同8.1ポイント減)となっており、2カ国でほとんどを占めている(財務省「貿易統計」)。
2021/22年度の砂糖生産量は、前年度並みの見込み
2021/22年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、36万ヘクタール(前年度比1.5%減)とわずかに減少すると見込まれる(表6)。サトウキビ生産量は、大きな天候不順が発生していないことから、3093万トン(同0.6%減)とわずかな減少が見込まれるとしているが、現地生産者からはラニーニャ現象による豪雨の発生など、ここ数カ月間の不安定な気候を懸念する声も上がっている。
砂糖生産量は、438万トン(前年度同)と前年度並みで推移すると見込まれる。輸出量は、334万トン(前年度比0.8%減)と、依然減少傾向が続くと見込まれている。
2020/21年度の輸出量は、前年度比4割減の見込み
2020/21年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、前期作でのキャッサバなどの代替作物の収益性が高かったことから、今期作では代替作物がより多く作付けされたことにより、139万ヘクタール(前年度比18.8%減)と大幅に減少すると見込まれる(表7)。加えて今期のサトウキビ生産量は、前期に続き干ばつの影響を受け、6666万トン(同11.0%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。
砂糖生産量は、焼き畑によるサトウキビ収穫量が減少し、原料の品質が向上したものの、サトウキビ生産量が落ち込んだことで、784万トン(同11.0%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。砂糖の減産や在庫量の減少に伴い輸出余力が低下し、輸出量は478万トン(同41.4%減)と大幅に減少すると見込まれる。
輸出競争力強化のため、高糖度粗糖のICUMSA色価を引き下げ
4月6日付けの現地報道によると、サトウキビ・砂糖委員会事務局(OCSB)は、タイで生産される高糖度粗糖のICUMSA色価の最低値を1000から600へ引き下げるとの報告書を公表した。白糖グレード3の同色価についても、今後引き下げるとしている。ICUMSAは砂糖の純度や品質を色で判断するための国際基準で、数値が低いほど純度の高い砂糖であることを表す。このたびのOCSBによる色価引下げの背景は、タイの主要輸出先国であるインドネシアにおけるタイ産砂糖の競争力の強化とされている。インドネシアでは、従来、砂糖輸入量の70%近くをタイ産粗糖が占めていたが、2020年に同国において、粗糖輸入の際の色価最低基準が1200から600に引き下げられたことにより、インドやブラジルなどの競合国からの砂糖輸入量が増加していた。
OCSBは、今回の引き下げは発表当日から施行されるとしているが、2020/21年度分の砂糖生産は既に終わりを迎えているため、次年度の砂糖の生産量や輸出量に影響を与えると市場関係者はみている。
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