砂糖類の国内需給
最終更新日:2021年5月10日
砂糖類の国内需給
2021年5月
1. 需給見通し
農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。令和3年3月に「令和2砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第3回)」を公表した。
(1)砂糖の消費量
令和2砂糖年度(10月〜翌9月)の砂糖の消費量は、177万5000トン(前年度比1.1%増)と見通している(表1)。内訳を見ると、分みつ糖の消費量は、近年の消費動向を勘案し、引き続き新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響は見込まれるものの、ワクチン接種が進むにつれて徐々に人の移動が活発になることや東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京オリンピック・パラリンピック」という)の開催を前提とした需要の増加が一定程度想定されることから、174万トン(同1.1%増)と見通している。含みつ糖の消費量は近年の消費動向などを勘案し、3万5000トン(前年度同)と見通している。
(2)砂糖の供給量
令和2砂糖年度の砂糖の供給量は、180万6000トン(前年度比0.5%増)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖の供給量は178万8000トン(同0.5%増)、含みつ糖は1万8000トン(同5.3%減)と見通している。国内産糖(分みつ糖)の供給量は、てん菜糖については、てん菜の作付面積が前年産に比べて0.7%(約400ヘクタール)増加し、春作業は順調に推移し、6月以降も好天に恵まれ、全体的に順調な生育となったことから、産糖量は63万2000トン(前年産比3.0%減)、供給量は63万トン(精製糖換算〈以下同じ〉。前年度比3.0%減)と見通している。甘しゃ糖については、サトウキビの収穫面積が前年産に比べ2.3%(約500ヘクタール)増加し、作柄については、島によっては春先の低温・日照不足が懸念され、また、8月、9月および10月に台風が襲来したことにより、一部地域では被害が見られたものの、全体としては台風被害は比較的少なく、おおむね順調な生育となり、産糖量は14万7000トン(前年産比11.0%増)、供給量は14万1000トン(前年度比11.0%増)と見通している。
(3)加糖調製品の需給
令和2砂糖年度の加糖調製品の消費量は、引き続きCOVID-19の影響は見込まれるものの、東京オリンピック・パラリンピックの開催を前提とした需要の回復などが一定程度想定されることから、年間では48万5000トン(前年度比2.2%減)と見通している(表2)。
(4)異性化糖の需給
令和2砂糖年度の異性化糖の消費量は、引き続きCOVID-19の影響は見込まれるものの、ワクチン接種が進むにつれ、徐々に人の移動が活発になると見込まれるとともに、東京オリンピック・パラリンピックの開催を前提に、清涼飲料向けの需要の増加も一定程度想定されることから、近年の需要がおおむね維持されると考え、82万9000トン(前年度比5.6%増)と見通している(表3)。
2. 輸入動向
【粗糖の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月から大幅に減少
財務省「貿易統計」によると、2021年2月の甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード 1701.14-110)および甘しゃ糖・その他(同1701.14−200の豪州)の輸入量は、3万5999トン(前年同月比39.4%減、前月比4.8倍)であった(図1)。
甘しゃ糖・分みつ糖については輸入実績が無く、甘しゃ糖・その他については輸入先国は豪州で、国別の輸入量は次の通りであった(図2)。
豪州 3万5999トン
(前年同月比39.4%減、前月比5.5倍)
2021年2月の甘しゃ糖・その他の豪州からの高糖度原料糖の1トン当たりの輸入価格は、4万5547円(前年同月比5.9%高、前月比3.1%高)であった(図4)。
【含みつ糖の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月から大幅に増加
財務省「貿易統計」によると、2021年2月の含みつ糖(HSコード 1701.13-000、1701.14-190)の輸入量は、1746トン(前年同月比89.4%増、前月比2.2倍)であった(図5)。
輸入先国はタイ、中国、フィリピン、ボリビアおよびコスタリカの5カ国で、国別の輸入量は次の通りであった(図6)。
タイ 1233トン
(前年同月比89.4%増、前月比3.8倍)
中国 334トン
(同46.5%増、同34.1%増)
フィリピン 84トン
(同2.0倍、前月同)
ボリビア 75トン
(前年同月輸入実績なし、前月比40.9%減)
コスタリカ 20トン
(前年同月および前月輸入実績なし)
2021年2月の1トン当たりの輸入価格は、11万9054円(前年同月比1.4%高、前月比6.6%高)であった(図7)。
国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。
タイ 11万7815円
(前年同月比0.5%高、前月比7.4%高)
中国 11万9102円
(同0.2%高、同7.6%高)
フィリピン 10万9750円
(同1.9%高、同7.6%高)
ボリビア 12万9680円
(前年同月輸入実績なし、同4.0%高)
コスタリカ 18万800円
(前年同月および前月比輸入実績なし)
【加糖調製品の輸入動向】
2月の加糖調製品の輸入量は前年同月からかなり大きく減少
財務省「貿易統計」によると、2021年2月の加糖調製品の輸入量は、3万2944トン(前年同月比11.9%減、前月比14.3%減)であった(図8)。
品目別の輸入量は、表4の通りであった。
3.異性化糖の移出動向
3月の移出量は前年同月からわずかに減少
2021年3月の異性化糖の移出量は、7万4567トン(前年同月比1.8%減、前月比42.7%増)であった(図9)。
同月の規格別の移出量は、次の通りであった(図10)。
果糖含有率40%未満 444トン
(前年同月比13.4%増、前月比31.4%増)
同40%以上50%未満 2万78トン
(同1.2%増、同29.7%増)
同50%以上60%未満 5万3031トン
(同3.2%減、同48.1%増)
同60%以上 1013トン
(同10.1%増、同62.0%増)
4. 価格動向
【市場価格】
砂糖は前月から5円程度値上がり
3月の糖種別・地域別の砂糖価格(日経相場)は、次の通りであった。
上白糖(大袋)
東京 1キログラム当たり187〜193円
大阪 同187〜193円
名古屋 同191〜196円
関門 同191〜196円
上白糖(小袋)
東京 1キログラム当たり199〜206円
大阪 同202〜207円
本グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり192〜198円
大阪 同192〜198円
名古屋 同196〜201円
ビート・グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり187〜193円
大阪 同187〜193円
名古屋 同189〜194円
3月の異性化糖の価格(日経相場、大口需要家向け価格、東京、タンクローリーもの、JAS規格品、水分25%)は、次の通りであった。
果糖分42%もの 1キログラム当たり131〜132円
果糖分55%もの 同137〜138円
【小売価格】
3月の上白糖小袋の地域間の価格差は最大で26.4円
KSP-POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける3月の上白糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、190.7円(前年同月差1.7円安、前月差1.2円高)であった。最も高かったのは中国・四国で、最も安かった関東などとの価格差は26.4円であった。 同月の地域別(注)の平均小売価格は、次の通りであった(表5)。
(注)地域の内訳は、次の通りである(以下同じ)。
関東など:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
首都圏:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
中部:新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
関西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県
3月のグラニュー糖小袋の地域間の価格差は最大で69.2円
KSP-POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける3月のグラニュー糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、243.4円(前年同月差0.8円安、前月差0.5円安)であった。最も高かったのは東北で、最も安かった北海道との価格差は69.2円であった。
同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった(表6)。
3月の三温糖小袋の地域間の価格差は最大で40.1円
KSP-POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける3月の三温糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、233.5円(前年同月差5.3円安、前月差5.8円高)であった。最も高かったのは九州・沖縄で、最も安かった関東などとの価格差は40.1円であった。
同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった(表7)。
【購入金額および購入量】
2月の砂糖の支出金額は前年同月と比べわずかに下落
総務省「家計調査」によると、2021年2月における100世帯当たりの砂糖の購入頻度は36、1世帯(2人以上)当たりの支出金額は85円(前年同月比1.2%安、前月比16.4%高)であった(図11)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、365グラム(同2.0%増、同30.8%増)であった(図12)。
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