米国農務省(USDA)は4月14日、タイの砂糖需給に関する年次レポートを公表した。その概要は以下の通り。
砂糖生産量
2019/20年度(以下「19/20年度」という)以降、干ばつによるサトウキビ減産の影響で砂糖生産量が大幅に落ち込み、2020/21年度(以下「20/21年度」という)は757万トンと見込まれている(表)。
一方、2021/22年度(以下「21/22年度」という)の砂糖生産量は1060万トン(粗糖換算、前年度比40.1%増)と大幅な回復が見込まれている。同年度は、タイ政府の焼き畑抑制政策によって95%以上のサトウキビが焼き畑を行わずに収穫されることが見込まれているほか、サトウキビの成熟期に当たる2021年7月〜9月の天候が平年並みで推移すると予測されていることなどから、ショ糖含有率はサトウキビ1トン当たり約115キログラムまで増加すると見込まれている。
砂糖消費量
20/21年度の砂糖消費量は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止策や国内経済の低迷によって砂糖消費量が減少した19/20年度からの回復を見込み、約5%増加の248万トンになるとしている。
また21/22年度の砂糖消費量も、ビジネス活動の活発化、海外からの観光客数の回復、食品加工業者などによる輸出量の増加により、国内の経済状況の回復が見込まれることから、250万トンまで増加すると見込まれる。そのうち、国内の砂糖消費量全体の55%を占める家庭内需要が、経済状況の緩やかな回復によって、前年度比で約2%増加すると見込まれる。
なお、同国では、2017年から糖類を含む飲料への課税(いわゆる砂糖税)が実施されており、2021年10月には3度目の課税率引き上げが予定されていた
(注)。しかし、コロナ禍における事業者や消費者への負担を軽減するため、タイ物品税局は3度目の引き上げの延期を決定した。
(注)砂糖税の詳細は、『砂糖類・でん粉情報』2019年6月号「タイにおける砂糖産業の動向」(https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_001986.html)を参照されたい。
砂糖輸出量
20/21年度の砂糖輸出量は、粗糖の国際価格が高水準で推移したことにより、730万トン(前年度比9.4%増)とかなりの程度増加すると見込まれる。
21/22年度の砂糖輸出量は、2022年の世界経済の回復を見越して、1045万トン(同43.1%増)と大幅に増加すると見込まれる。原油価格の上昇を受けて、ブラジルでより多くのサトウキビがエタノール生産に仕向けられることで、海外の精製糖工場におけるタイ産粗糖の需要が高まると貿易関係者は予測しているという。