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新型コロナウイルス感染症関連の情報

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最終更新日:2021年6月10日

新型コロナウイルス感染症関連の情報

2021年6月

調査情報部
 調査情報部では世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、各国政府の対応など需給に影響を与えるタイムリーな情報を、海外情報としてホームページの以下のURLに随時掲載しております。
(掲載URL:https://www.alic.go.jp/topics/index_abr_2021.html)  

 ここでは、5月17日までに掲載したものをまとめて紹介いたします。

目次

・【欧州】
(令和3年5月17日付)欧州委員会、コロナ禍における生産者への支援措置延長を採択(EU)

・【アジア】
(令和3年4月26日付)2021/22年度のサトウキビ生産量、前年度比3割増の見込み(タイ)
(令和3年4月26日付)2021/22年度の砂糖生産量および輸出量、前年度比4割増の見込み(タイ)
(令和3年5月11日付)新型コロナウイルス感染症の再拡大を受けて、製糖工場で医療用酸素生産に向けた動きが加速(インド)

【欧州】

(令和3年5月17日付)欧州委員会、コロナ禍における生産者への支援措置延長を採択(EU)

 欧州委員会は5月4日、コロナ禍の規制下における共通農業政策(CAP)の補助金支払いに対応するため、関係当局および生産者の行政手続負担の軽減を目的とした支援措置(注1)を2021年末まで延長することを採択した。欧州委員会は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生以来、既存の民間在庫補助(注2)の活用に加え、生産者および中小事業者向けの補助(注3)など、さまざまな対策を講じている。2020年末で終了とされていた同支援措置は、今回の採択により2021年1月にさかのぼって適用されることとなった。

 同支援措置では、CAPに基づく農地への立ち入り検査に際し、衛星写真や経度・緯度の位置情報が埋め込まれた写真などを新たに証拠書類として利用できることで、立ち入り検査時の生産者と検査官の物理的な接触を最小限に抑えることとしている。また、同支援措置には、加盟各国においてCOVID-19による移動制限が解除されるまで立ち入り検査の延期が可能となる柔軟な対応も盛り込まれている。さらに、直接支払い、農村開発、果物・野菜・ワイン・オリーブオイル・養蜂分野の市場支援事業に関する物理的な立ち入り検査についても回数が削減される。

(注1)「欧州委員会、追加支援措置を採択。新型コロナウイルスの影響下にある生産者のキャッシュフローの改善など」(海外情報〈令和2年4月21日発〉)https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002681.html
『砂糖類・でん粉情報』2020年6月号「新型コロナウイルス感染症関連の情報」参照
(注2)「欧州委員会、新型コロナウイルスの追加対策を採択。乳製品、牛肉などの民間在庫補助(PSA)を5月7日から。チーズは最大10万トン市場隔離へ」(海外情報〈令和2年5月8日発〉)https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002692.html
(注3)「EU理事会、生産者および中小事業者向け新型コロナウイルス感染症追加支援措置を採択」(海外情報〈令和2年7月2日発〉)https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002741.html
『砂糖類・でん粉情報』2020年8月号「新型コロナウイルス感染症関連の情報」参照

 

(国際調査グループ 小林 智也)

【アジア】

(令和3年4月26日付)2021/22年度のサトウキビ生産量、前年度比3割増の見込み(タイ)

 米国農務省(USDA)は4月14日、タイのサトウキビ生産量に関する年次レポートを公表した。2020/21年度(12月〜翌11月、以下「20/21年度」という)は、過去最低を記録した2019/20年度よりも少ない6800万トン(前年度比10.5%減)と予測されている(表)。これは、2019年以降の干ばつにより、サトウキビの発芽や分げつの段階で土壌の水分量が著しく低下したことで、収穫面積が大幅に減少(同27.3%減)したことが要因とみられる。

 一方、2021/22年度(以下「21/22年度」という)は、作付面積は減少するものの(同9.1%減)、主産地の同国東北部で厳しい干ばつが発生した前年度と比較し、かなり降水量が多かったことでサトウキビが順調に生育し、単収が前年度より上昇する見込みとなっている。その結果、同年度の生産量は9000万トン(同32.4%増)と大幅な回復が見込まれている。なお、20/21年度第1四半期のサトウキビ買入価格が前年度同期よりも26%高かったにもかかわらず、作付面積の減少が見込まれる要因としては、価格保証制度(注1)があるためにサトウキビよりも収益性の高いキャッサバへの転作、過去2年間の干ばつ、タイ政府が実施する焼き畑抑制政策(注2)の影響などが考えられる。

(注1)各農作物の市場価格が、農作物別に設定された政府保証価格を下回った場合に、その差額を補てんするもの。詳細は、「タイ政府、キャッサバ農家への所得補償として追加予算を承認〜新型コロナウイルス感染症拡大による輸出減退などを受け市場価格が低迷〜(タイ)」(海外情報〈令和2年5月21日発〉) https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002702.htmlおよび『砂糖類・でん粉情報』2020年6月号「新型コロナウイルス感染症関連の情報」を参照されたい。
(注2)焼き畑抑制政策の詳細は、『砂糖類・でん粉情報』2019年6月号「タイにおける砂糖産業の動向」(https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_001986.html)を参照されたい。


 なお、同国では、東北部の一部の県を除き、サトウキビ圧搾汁からのバイオエタノール生産が認められておらず、粗糖と糖みつのみがバイオエタノールの原料として許可されているため、サトウキビのほとんどが砂糖生産に仕向けられている。USDAは、同国の粗糖を原料とするバイオエタノール工場の新設を20/21年度に見据え、サトウキビのバイオエタノール生産への仕向け量は246万トンに増加すると予測していたものの、100万トンにとどまった。これは、新型コロナウイルス感染症(COVID–19)の発生が機械設備の輸送に支障をきたし、新工場の操業が21/22年度に延期されたことなどによるもので、21/22年度の仕向け量は280万トンと2.8倍の増加を見込んでいる。
 
(国際調査グループ 塩原 百合子)

(令和3年4月26日付)2021/22年度の砂糖生産量および輸出量、前年度比4割増の見込み(タイ)

 米国農務省(USDA)は4月14日、タイの砂糖需給に関する年次レポートを公表した。その概要は以下の通り。

砂糖生産量
 2019/20年度(以下「19/20年度」という)以降、干ばつによるサトウキビ減産の影響で砂糖生産量が大幅に落ち込み、2020/21年度(以下「20/21年度」という)は757万トンと見込まれている(表)。

 一方、2021/22年度(以下「21/22年度」という)の砂糖生産量は1060万トン(粗糖換算、前年度比40.1%増)と大幅な回復が見込まれている。同年度は、タイ政府の焼き畑抑制政策によって95%以上のサトウキビが焼き畑を行わずに収穫されることが見込まれているほか、サトウキビの成熟期に当たる2021年7月〜9月の天候が平年並みで推移すると予測されていることなどから、ショ糖含有率はサトウキビ1トン当たり約115キログラムまで増加すると見込まれている。

砂糖消費量
 20/21年度の砂糖消費量は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止策や国内経済の低迷によって砂糖消費量が減少した19/20年度からの回復を見込み、約5%増加の248万トンになるとしている。

 また21/22年度の砂糖消費量も、ビジネス活動の活発化、海外からの観光客数の回復、食品加工業者などによる輸出量の増加により、国内の経済状況の回復が見込まれることから、250万トンまで増加すると見込まれる。そのうち、国内の砂糖消費量全体の55%を占める家庭内需要が、経済状況の緩やかな回復によって、前年度比で約2%増加すると見込まれる。

 なお、同国では、2017年から糖類を含む飲料への課税(いわゆる砂糖税)が実施されており、2021年10月には3度目の課税率引き上げが予定されていた(注)。しかし、コロナ禍における事業者や消費者への負担を軽減するため、タイ物品税局は3度目の引き上げの延期を決定した。

(注)砂糖税の詳細は、『砂糖類・でん粉情報』2019年6月号「タイにおける砂糖産業の動向」(https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_001986.html)を参照されたい。

砂糖輸出量
 20/21年度の砂糖輸出量は、粗糖の国際価格が高水準で推移したことにより、730万トン(前年度比9.4%増)とかなりの程度増加すると見込まれる。

 21/22年度の砂糖輸出量は、2022年の世界経済の回復を見越して、1045万トン(同43.1%増)と大幅に増加すると見込まれる。原油価格の上昇を受けて、ブラジルでより多くのサトウキビがエタノール生産に仕向けられることで、海外の精製糖工場におけるタイ産粗糖の需要が高まると貿易関係者は予測しているという。
 
 
(国際調査グループ 塩原 百合子)

(令和3年5月11日付)新型コロナウイルス感染症の再拡大を受けて、製糖工場で医療用酸素生産に向けた動きが加速(インド)

 5月5日の現地報道によると、インドの主要な砂糖生産地であるマハラシュトラ州では、砂糖生産が終盤を迎える中、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者の治療に必要な医療用酸素の需要を満たすため、約70の製糖工場で酸素生産に向けた対応が進んでいると報じられている。具体的には、これらの工場内のエタノール生産設備において、酸素生産を可能にする改造や酸素生産設備の新設、生産関連機器の発注などが行われている。

 インド保健・家庭福祉省の最新統計(5月6日付け)では、同国のCOVID-19感染者数は2108万人を突破し、感染者数の最も多い同州では488万人と全体の23.2%を占めている。インドでは現在も、1日の新規感染者数が40万人を超えるハイペースで増加しており、医療用酸素の不足が国内各地で深刻な問題となっている。

 全国協同組合砂糖工場連盟(NFCSF)の代表は、すでに同州の25工場が医療用酸素生産設備の設置を進めており、製糖工場が位置する農村部の酸素需要を満たすことができると述べ、他地域の製糖工場でも同様の取り組みを検討しているとした。また、西インド製糖協会(WISMA)は、全国の製糖工場に対し、各地域の酸素需要をまかなうために酸素生産設備を設置するよう呼び掛けている。

 インド製糖協会(ISMA)によると、同州では4月末時点で167工場が今期のサトウキビの圧搾を終了し、残りの23工場も5月中には操業を終えるとみられる。なお、同国の2020年10月〜翌4月末の砂糖生産量は2991万5000トンで前年同期より41万トン増加したが、4月末時点で操業中の製糖工場数は前年同期の112工場からわずかに減少し106工場となっている。
 
(国際調査グループ 塩原 百合子)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272