4. 日本の主要輸入先国の動向(2021年5月時点予測)
最終更新日:2021年6月10日
4. 日本の主要輸入先国の動向(2021年5月時点予測)
2021年6月
近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14–110〉および甘しゃ糖・その他〈同 1701.14–200〉の合計)の主要輸入先国は、豪州およびタイで、2020年の主要輸入先国ごとの割合を見ると、豪州が86.6%(前年比5.2ポイント増)、タイが10.5%(同8.1ポイント減)となっており、2カ国でほとんどを占めている(財務省「貿易統計」)。
本稿中の為替レートは2021年4月末日TTS相場の値であり、1豪ドル=87(86.75)円である。
2021/22年度の砂糖生産量は、やや減少する見込み
2021/22年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、36万ヘクタール(前年度比1.5%減)とわずかに減少すると見込まれる(表6)。サトウキビ生産量は、ここ数カ月のラニーニャ現象による豪雨などの不安定な気候が生育に悪影響を及ぼし、2950万トン(同5.2%減)とやや減少すると見込まれる。
砂糖生産量は、生育不良などによるサトウキビの品質低下を受けて418万トン(同4.6%減)とやや減少すると見込まれる。輸出量は、314万トン(同6.8%減)と、依然減少傾向が続くと見込まれている。
サトウキビ生産者団体、コスト削減のための電気料金削減ソフトを開発
クイーンズランド州のサトウキビ生産者団体であるCANEGROWERSは5月4日、個々のかんがい設備の状況に最適な電気料金プランを選択できるソフトを開発したと発表した。同州の電気料金は州競争局(QCA)が管理し、QCAよりさまざまな料金プランが提供されているが、同生産者団体によると、同州のサトウキビ生産の6割でかんがい設備が使用される中、生産コストに占める電気料金の割合は高くなっているとしている。サトウキビ生産農家が支払う電気料金は、年平均で2万2000〜2万8000豪ドル(約191万〜244万円)とされ、大規模農家では5万豪ドル(約435万円)を超えることもあるという。2021/22年度(7月〜翌6月)の電気料金は、年度開始直前の6月上旬にQCAから正式発表されるが、同生産者団体の代表は、すでに公表されているQCAの料金案を基に、当該ソフトを利用することで、農家が前もって生産コスト削減に向けた料金プランを検討できると述べている。
2020/21年度の輸出量は、前年度比4割減の見込み
2020/21年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、前期作でのキャッサバなどの代替作物の収益性が高かったことから、今期作では代替作物がより多く作付けされたことにより、139万ヘクタール(前年度比18.8%減)と大幅に減少すると見込まれる(表7)。加えて今期のサトウキビ生産量は、前期に続き干ばつの影響を受け、6666万トン(同11.0%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。
砂糖生産量は、サトウキビの品質が向上したものの(注)、サトウキビ生産量が落ち込んだことで、784万トン(同11.0%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。砂糖の減産や在庫量の減少に伴い輸出余力が低下し、輸出量は480万トン(同41.2%減)と大幅に減少すると見込まれる。
(注)タイ政府の焼き畑抑制政策により、焼き畑によるサトウキビ収穫量が減少したため。焼き畑を行うと、サトウキビに含まれるショ糖が分解され、CCS(可製糖率:サトウキビのショ糖含有率、繊維含有率および搾汁液の純度から算出される回収可能な糖分の割合)が低下する。
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