5. 日本の主要輸入先国の動向(2021年6月時点予測)
最終更新日:2021年7月9日
5. 日本の主要輸入先国の動向(2021年6月時点予測)
2021年7月
近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14–110〉および甘しゃ糖・その他〈同 1701.14−200〉の合計)の主要輸入先国は、豪州およびタイで、2020年の主要輸入先国ごとの割合を見ると、豪州が86.6%(前年比5.2ポイント増)、タイが10.5%(同8.1ポイント減)となっており、2カ国でほとんどを占めている(財務省「貿易統計」)。
2021/22年度の砂糖生産量は、やや減少する見込み
2021/22年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、36万ヘクタール(前年度比1.5%減)とわずかに減少すると見込まれる(表6)。サトウキビ生産量は、ここ数カ月のラニーニャ現象による豪雨などの不安定な気候が生育に悪影響を及ぼし、2950万トン(同5.2%減)とやや減少すると見込まれる。
砂糖生産量は、生育不良などによるサトウキビの品質低下を受けて418万トン(同4.6%減)とやや減少すると見込まれる。輸出量は、314万トン(同8.1%減)と、依然減少傾向が続くと見込まれている。
2020/21年度の輸出量は、前年度比4割減の見込み
2020/21年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、前期作でのキャッサバなどの代替作物の収益性が高かったことから、今期作では代替作物がより多く作付けされたことにより、139万ヘクタール(前年度比18.8%減)と大幅に減少すると見込まれる(表7)。加えて今期のサトウキビ生産量は、前期に続き干ばつの影響を受け、6666万トン(同11.0%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。
砂糖生産量は、サトウキビの品質が向上したものの(注)、サトウキビ生産量が落ち込んだことで、783万トン(同11.1%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。砂糖の減産や在庫量の減少に伴い輸出余力が低下し、輸出量は480万トン(同41.2%減)と大幅に減少すると見込まれる。
(注)タイ政府の焼き畑抑制政策により、焼き畑によるサトウキビ収穫量が減少したため。焼き畑を行うと、サトウキビに含まれるショ糖が分解され、CCS(可製糖率:サトウキビのショ糖含有率、繊維含有率および搾汁液の純度から算出される回収可能な糖分の割合)が低下する。
砂糖貿易の非関税化をベトナムに要請
タイ現地紙によると、タイ政府のラクサナウィシット商務大臣は6月7日に行われたベトナムの駐タイ大使との会談で、タイからの砂糖輸入に対するベトナムの貿易救済措置の緩和と二国間貿易の拡大に協力するよう要請した。
ベトナムでは2020年にタイ産粗糖の輸入量が急増し、国内の砂糖産業に悪影響を及ぼしているとして、2021年2月、同国はタイ産粗糖の輸入に対するアンチダンピング(AD)関税の暫定発動を発表した。また、6月15日には、タイ産の砂糖製品に対するADおよび相殺関税(CVD)に係る調査結果を発表する予定であり、この結果を踏まえ、タイ産の輸入砂糖に対し、51%(うち、AD:42.99%、CVD:4.65%)の課税が適用される見込みとされている。なお、ベトナムはASEAN物品貿易協定(ATIGA)に基づき、2020年1月からASEAN諸国から輸入される砂糖の輸入関税を5%に引き下げていた。
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