2. 国際価格の動向
最終更新日:2021年8月10日
2. 国際価格の動向
2021年8月
ニューヨーク粗糖先物相場の動き(6/2〜7/14)
〜7月上旬には18セント台に乗せるも、中旬に17セントを割り込む〜
ニューヨーク粗糖先物相場の2021年6月の推移を見ると(7月月限)、6月2日は、インド第2位の製糖業者が、2020/21年度の同国砂糖輸出量が過去最高の680万トンに急増するとの見通しを発表したことなどから、1ポンド当たり17.68セント(注1)を付けた。3日は、国際砂糖機関(ISO)が発表した2021/22年度の世界の砂糖市場における供給量不足が270万トンとなり、2020/21年度の310万トンの不足からわずかに改善するという予測から同17.43セントと値下がりした。8日は、インド製糖協会(ISMA)が、2020年10月1日から翌年5月31日までの同国砂糖生産量が、豊作により前年同期の2701万トンから3057万トンへと前年同期比で13%増加したと発表したことなどから、同17.71セントを付けた。10日は、ブラジルさとうきび産業協会(UNICA)がブラジル中南部における5月後半の砂糖生産量が当初予想の252万トンを上回る262万トンに増加したと発表したことなどから、同17.66セントと下落した。15日は、ブラジル中南部のサトウキビ主要生産地において、前週の降雨量が過去平均値の160%となり干ばつが緩和されるとの期待から、続落して同17.05セントまで下落した。17日は、ISMAが、インドの2020年10月1日から翌年6月15日までの砂糖生産量が前年同期比13%増の3070万トンに達したと発表したことなどから、同16.55セントまで値下がりした。
22日は、ブラジルで週の後半に降雨予報があったことや、エタノール価格の低迷により、同16.43セントと下落したものの、24日に、レアルが対ドルで高値をつけた(注2)ことなどから、同16.93セントまで反発した。30日は、干ばつがサトウキビの生育に影響を与えたとして、民間コンサル会社がブラジル中南部での2021/22年度の砂糖生産量予測を、4月時点から4.2%減の3410万トンに引き下げたことなどから、同17.63セントまで値上がりして納会日を迎えた。
10月限に変わった7月1日は、ブラジルの一部地域で発生した霜への懸念や原油価格の上昇(注3)を受けて、同17.94セントを付けた。2日は、前日の流れを引き継ぎ、同18.15セントまで上昇した。6日は、ブラジルの霜被害が予想より小さかったことや、原油価格の下落から、同17.87セントまで値を下げた。7日以降は、レアル安などに伴い続落した。12日は、ブラジル中南部地域における6月後半の砂糖生産量が前年同期からやや増加したことにより、同16.99セントまで下落した。13日は、ショートポジションをカバーするための買い戻し(注4)が入ったことで同17.08セントまで値を戻した。14日は、インドの次年度(2021/22年度)の砂糖生産量が今年度よりわずかに増加するとの予測が発表された影響で、同16.93セントと再び下落した。
(注1)1ポンドは約453.6グラム、セントは1米ドルの100分の1。
(注2)粗糖は米ドル建てで取引されるため、米ドルに対してレアルが上昇すると、相対的にブラジル産粗糖の価格競争力が弱まる。世界最大の砂糖輸出国ブラジルの輸出意欲が低下すると、需給のひっ迫につながることから、価格を押し上げる方向に作用する。
(注3)一般に、原油価格が上昇すると、石油の代替燃料であるバイオエタノールの需要も上昇する。バイオエタノールの需要上昇により、その原料作物(サトウキビ、てん菜など)のバイオエタノール生産への仕向けが増える一方、それらから生産される食品(サトウキビの場合は砂糖)の生産・供給が減ると想定される。食品用途仕向けの度合いが小さくなるほど需給がひっ迫し、当該食品の価格を押し上げる方向に作用する。
(注4)売買差益を狙い、将来の値下がりを期待して売りの持ち高を取っていた金融資産を、決済のために買い戻すこと。
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