4. 日本の主要輸入先国の動向(2021年7月時点予測)
最終更新日:2021年8月10日
4. 日本の主要輸入先国の動向(2021年7月時点予測)
2021年8月
近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14−110〉および甘しゃ糖・その他〈同 1701.14−200〉の合計)の主要輸入先国は、豪州およびタイで、2020年の主要輸入先国ごとの割合を見ると、豪州が86.6%(前年比5.2ポイント増)、タイが10.5%(同8.1ポイント減)となっており、2カ国でほとんどを占めている(財務省「貿易統計」)。
2021/22年度の砂糖生産量は、わずかに増加する見込み
2021/22年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、35万ヘクタール(前年度比1.2%減)とわずかに減少すると見込まれる(表6)。サトウキビ生産量は、サトウキビの生育期間中に平年比で降雨量が少ない地域があったことが生育に影響を及ぼし、3101万トン(同0.4%減)とわずかに減少すると見込まれる。
砂糖生産量は、ここ数カ月に局地的には豪雨が見られたものの、収穫開始への影響は最小限に抑えられたことから429万トン(同0.3%増)とわずかに増加すると見込まれる。輸出量は、324万トン(同3.4%減)と、依然減少傾向が続くと見込まれている。
豪州サトウキビ生産者団体、英国との自由貿易協定(FTA)合意を歓迎
豪州政府と英国政府は6月17日、両国で合意した自由貿易協定(FTA)の内容を発表し、豪州産砂糖については、発効から9年目に関税が撤廃(8年目までは無関税となる関税割当量を初年に8万トン、8年目に22万トンになるよう、均等に引き上げる)される見込みとなった。これに先立ち、両国政府による6月15日の大枠合意の事前公表を受け、豪州クイーンズランド州のサトウキビ生産者団体であるCANEGROWERS(注)は6月16日、豪英FTAの合意により英国への砂糖輸出の機会が拡大することを歓迎するとの声明を発表した。
同団体のシェムブリ会長は、「提案されている豪英FTAの内容は、即時かつ無関税での豪州産砂糖8万トンの輸出を通じ、豪州側に経済的利益をもたらす」と述べ、今回の合意は、英国のEU離脱前のEU全体への関税割当量9925トンを大幅に上回るとし、その成果を強調した。
英国がEUに加盟した1973年以降、豪州産砂糖に対する英国独自の関税割当は行われておらず、豪州で生産される砂糖の85%はアジアや太平洋地域に向けて輸出されている。
(注)CANEGROWERSは1934年に設立され、クイーンズランド州のサトウキビ生産者の4分の3が加入している。
2020/21年度の輸出量は、前年度比4割減の見込み
2020/21年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、前期作でのキャッサバなどの代替作物の収益性が高かったことから、今期作では代替作物がより多く作付けされたことにより、149万ヘクタール(前年度比13.3%減)とかなり大きく減少すると見込まれる(表7)。加えて今期のサトウキビ生産量は、前期に続き干ばつの影響を受け、6666万トン(同11.0%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。
砂糖生産量は、サトウキビの品質が向上したものの(注)、サトウキビ生産量が落ち込んだことで、783万トン(同11.1%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。砂糖の減産や在庫量の減少に伴い輸出余力が低下し、輸出量は481万トン(同41.1%減)と大幅に減少すると見込まれる。
(注)タイ政府の焼き畑抑制政策により、焼き畑によるサトウキビ収穫量が減少したため。焼き畑を行うと、サトウキビに含まれるショ糖が分解され、CCS(可製糖率:サトウキビのショ糖含有率、繊維含有率および搾汁液の純度から算出される回収可能な糖分の割合)が低下する。
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