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4. 日本の主要輸入先国の動向(2021年8月時点予測)

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最終更新日:2021年9月10日

4. 日本の主要輸入先国の動向(2021年8月時点予測)

2021年9月

 近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14−110〉および甘しゃ糖・その他〈同 1701.14−200〉の合計)の主要輸入先国は、豪州およびタイで、2020年の主要輸入先国ごとの割合を見ると、豪州が86.6%(前年比5.2ポイント増)、タイが10.5%(同8.1ポイント減)となっており、2カ国でほとんどを占めている(財務省「貿易統計」)。  

 本稿中の為替レートは2021年7月末日TTS相場の値であり、1タイバーツ=3.41円である。

豪州

2021/22年度の砂糖生産量は、わずかに増加する見込み  
 2021/22年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、35万ヘクタール(前年度比1.2%減)とわずかに減少すると見込まれる(表6)。サトウキビ生産量は、3146万トン(同1.0%増)とわずかに増加すると見込まれる。  

 砂糖生産量は、6〜7月の降雨量が平年値を下回り、サトウキビの可製糖率(CCS)が前年度より上昇したことから、436万トン(同1.7%増)とわずかに増加すると見込まれる。輸出量は331万トン(同1.3%減)と、前月予測からは上方修正されたものの、依然として減少傾向が続くと見込まれている。

表6 豪州の砂糖需給の推移

タイ

2020/21年度の輸出量は、前年度比4割減の見込み  
 2020/21年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、前期作でのキャッサバなどの代替作物の収益性が高かったことから、今期作では代替作物がより多く作付けされたことにより、149万ヘクタール(前年度比13.3%減)とかなり大きく減少すると見込まれる(表7)。加えて今期のサトウキビ生産量は、前期に続き干ばつの影響を受け、6666万トン(同11.0%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。  

 砂糖生産量は、サトウキビの品質が向上したものの(注)、サトウキビ生産量が落ち込んだことで、783万トン(同11.1%減)とかなり大きく減少すると見込まれる。砂糖の減産や在庫量の減少に伴い輸出余力が低下し、輸出量は457万トン(同44.1%減)と大幅に減少すると見込まれる。

(注)タイ政府の焼き畑抑制政策により、焼き畑によるサトウキビ収穫量が減少したため。焼き畑を行うと、サトウキビに含まれるショ糖が分解され、CCS(可製糖率:サトウキビのショ糖含有率、繊維含有率および搾汁液の純度から算出される回収可能な糖分の割合)が低下する。

表7 タイの砂糖需給の推移

製糖工場でクラスター発生、労働力不足でサトウキビ収穫に影響も
 タイ北部にあるペッチャブーン県(図3)の知事は7月28日、県内の製糖工場で100名の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の陽性者が確認されたことを明らかにした。感染者は工場内の仮設病院で隔離・治療を受けるとともに、製糖工場に対し7日間の一時閉鎖措置が取られるとしている。

 サトウキビ・砂糖委員会事務局(OCSB)の副事務局長は、COVID-19の感染拡大の影響により、サトウキビの主産地では季節労働者の確保が困難になるとし、例年12月頃から始まる2021/22年度(10月〜翌9月)の収穫作業に遅れが生じる可能性があるとの懸念を示した。同副事務局長によると、その対策として、季節労働者の受け入れ前に抗原検査を実施するなど、すべての製糖工場でより厳格な対策が講じられるとしている。また、カンボジアと国境を接するサケーオ県周辺では、隣国からの労働者不足を見据え、今年度と同様に他の収穫終了地域から収穫機を借りて対応するとしている。

 

タイ製糖協会、インドの輸出補助金廃止に向けて工業省へ支援を要請
 7月30日付の現地報道によると、タイ製糖協会(TSMC)は、タイ工業省に支援を要請し、インド政府に対して砂糖の輸出補助金を廃止するよう働きかける予定だという。インド政府に対するこうした働きかけには、豪州砂糖製造業者協議会(ASMC)や同国クイーンズランド州のサトウキビ生産者団体CANEGROWERSも参加するとされている。TSMCの代表は、「インドの輸出補助金の影響でタイの砂糖産業は年間約100億バーツ(341億円)の損害を被っている」と述べている。

 2019年2月から3月にかけて、豪州、ブラジルおよびグアテマラの3カ国は、砂糖の輸出補助金をはじめとしたインド政府の砂糖産業への支援政策が国際市場での公平な競争をゆがめているとして、世界貿易機関(WTO)協定に基づく協議をインドに要請したが、協議は決裂した。同年8月にパネルが設置されたものの、パネルの最終報告書は未だ当事国に送付されておらず、最終的な解決には至っていない。なおタイは、第三国(本件に利害関係を有するなどの理由によりパネルに参加することが可能な国)として本件に参加している。
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