2021/22年度の砂糖生産量はわずかに増加し、輸出量はかなり大きく減少する見込み
2021/22年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、500万ヘクタール(前年度比2.3%増)とわずかに増加すると見込まれる(表3)。主産地の降雨量は平年並みまたは平均を上回っており、生育状況は順調であることから、サトウキビ生産量は4億2227万トン(同5.0%増)とやや増加が見込まれる。砂糖生産量は、サトウキビの一部がエタノール生産に仕向けられることを踏まえ、3407万トン(同1.9%増)とわずかに増加すると見込まれる。輸出量は、さらなる国際価格の上昇を期待して、国内製糖業者が年度後半の輸出契約を見極めている状況にあることや、海上運賃の高騰による粗糖の輸入量減少を受けて、海外産粗糖由来の精製糖輸出量の減少が見込まれることから、720万トン(同14.8%減)とかなり大きな減少が見込まれるものの、今後の相場などの輸出環境の好転により、輸出量の減少幅が縮小する可能性も示されている。
インド政府、今年度の砂糖輸出契約が180万トン分に達したと公表
現地報道によると、全インド砂糖貿易協会(AISTA:All India Sugar Trade Association)
(注1)が10月26日に開催したウェビナーにおいて、インド政府の消費者問題・食糧・公共配給省次官は、2021/22年度(10月〜翌9月)の砂糖輸出契約が180万トン分に達したことを明らかにした。また、同次官は、主要輸出先であるアフガニスタンの国内情勢の不安定さはインドの砂糖輸出に打撃を与える可能性があるとして、製糖業者に対し輸出先の新規開拓に取り組むよう進言した。さらに、スリランカの外貨不足
(注2)や、インドネシアでのタイ産砂糖との競合についても言及したうえで、スリランカ向け砂糖輸出の拡大に向けて業界内での新たな取り決めの構築が必要であるとAISTA関係者に提言した。
インド政府は、同国の砂糖の需給バランスを改善するため、同年度に最低600万トン分の砂糖を輸出に回すよう、製糖業者に要請している
(注3)。また、同政府はサトウキビの内需拡大に向け、サトウキビの搾り汁や糖みつのエタノール生産への利用も推進しており、同年度には約250万トン分の砂糖がガソリン混合用のエタノール生産に仕向けられると見込まれている。
(注1)製糖業者、貿易業者、砂糖の大口仕入れ先など、インド国内の砂糖産業関係者で構成される団体。
(注2)スリランカでは、対外債務の拡大に加えて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によって主要産業の観光業が低迷したことで、輸入に使用する外貨が不足している状況にあり、インド産粗糖の輸入量は6月以降、精製糖の輸入量は7月以降大幅に減少している。
(注3)インド政府は、砂糖の余剰在庫の解消に向けて砂糖の輸出とエタノール生産を促進している。詳細については、2021年10月20日付海外情報「政府目標達成に向け、サトウキビ由来のエタノール生産を推進(インド)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003077.html)を参照されたい。