4. 日本の主要輸入先国の動向(2021年11月時点予測)
最終更新日:2021年12月10日
4. 日本の主要輸入先国の動向(2021年11月時点予測)
2021年12月
近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14-110〉および甘しゃ糖・その他〈同1701.14-200〉の合計)の主要輸入先国は、豪州およびタイで、2020年の主要輸入先国ごとの割合を見ると、豪州が86.6%(前年比5.2ポイント増)、タイが10.5%(同8.1ポイント減)となっており、2カ国でほとんどを占めている(財務省「貿易統計」)。
2021/22年度の砂糖生産量は、わずかに減少する見込み
2021/22年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、35万ヘクタール(前年度比1.2%減)とわずかに減少すると見込まれる(表6)。サトウキビ生産量は、3067万トン(同1.5%減)とわずかに減少すると見込まれる。
砂糖生産量は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による都市封鎖や主力製糖工場での故障などによる稼働率の低下を受けて収穫作業に遅れが出るなどの影響により419万トン(同2.1%減)とわずかに減少すると見込まれる。輸出量は、在庫量の減少を背景に、314万トン(同6.4%減)と依然減少傾向が続くと見込まれている。
米国企業、クイーンズランド州でバガス由来燃料の試験生産を開始
豪州クイーンズランド(QLD)州のパラシェ首相とマイルズ副首相は10月13日、同州のサトウキビ主産地であるマッカイで、米国のMecurius Biorefining社が、サトウキビ圧搾後の搾りかすであるバガス由来のジェット燃料やディーゼル燃料の試験生産を開始すると発表した。同社は安価なバイオマス燃料の商業生産を目的に、豪州を拠点とする同社の子会社を通じ、QLD工科大学と共にバガス由来の燃料製造に係るプロジェクトを立ち上げ、同州政府からの支援のもと、2017年から製造技術の実証試験を行っていた。試験生産が実施されるプラントは同大学の研究施設内にあり、今後3カ月に渡って稼働する計画となっている。
パラシェ首相は、「同プロジェクトはマッカイ地域において新たな産業を創出する呼び水となり、地域の雇用創出や最先端のバイオ燃料生産地域としての信用を高めることにもつながる」と述べている。
2021/22年度の輸出量は、前年度から大幅に回復する見込み
2021/22年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、キャッサバなどの他作物との競合に加え、現地でサトウキビの種苗が不足している(注)ことにより、149万ヘクタール(前年度比0.2%増)と前年並みで推移すると見込まれる(表7)。サトウキビ生産量は、前年度が干ばつの影響を大きく受けた中、主産地の降雨量が平年並みまで回復し、単収が大きく改善することで、9250万トン(同38.8%増)と大幅に増加すると見込まれる。
砂糖生産量は、サトウキビ生産量の大幅な回復を受けて1061万トン(同35.3%増)と大幅に増加すると見込まれる。輸出量も、記録的な不作となった前年度からの反動を受けて、760万トン(同92.3%増)と大幅に回復し、前年度比で倍増に迫る状況となることが見込まれる。なお、期末在庫率は、輸出量の大幅な回復を受けて38.6%(同24.1ポイント減)と大幅な低下が見込まれる。
(注)種苗不足の要因として、近年の収穫面積や単収の減少が考えられる。
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