砂糖類の国内需給
最終更新日:2021年12月10日
砂糖類の国内需給
2021年12月
1. 需給見通し
農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。令和3年9月に「令和3砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第1回)」を公表した(詳細は
2021年11月号参照)。
2. てん菜の生産見込み
作付面積は前年産からわずかに増加したものの、生産量はわずかに下回る見込み
北海道農政部生産振興局農産振興課は、令和3年10月20日に「令和3年産てん菜の生産見込数量(令和3年8月20日現在)」を公表した。
令和3年産の作付面積は、5万7509ヘクタール(前年産比1.3%増)と、前年産に比べて760ヘクタール増加した(表4)。地域別に見ると、十勝地域が2万5343ヘクタール(同2.3%増)、オホーツク地域が2万3267ヘクタール(同0.5%増)、道央地域が4468ヘクタール(同0.7%増)、道南地域が4430ヘクタール(同1.0%増)とすべての地域で前年産を上回った。
令和3年産の1ヘクタール当たりの収量は、生育期に高温と少雨による干ばつ傾向で推移する地域が見られたことから、67.7トン(同1.7%減)と、過去最高であった元年産の収量(70.7トン)を下回る見込みである。しかしながら、その後は、まとまった降雨があり、病害虫の発生も少なかったため、例年の平均単収(注)(63.7トン)を引き続き上回る見込みである。なお、3年産のてん菜生産量は389万2000トン(同0.5%減)を見込んでいる。
また、糖分は、てん菜が糖分を蓄える登熟期である9月中旬に十勝地方およびオホーツク地方の一部地域で集中的な降雨が見られたことなどから、令和2年産(16.4%)と比べ、現在のところ同水準かやや低下する見込みである。
製糖工場では、例年通り10月上旬ごろから操業を開始したが、昨年に引き続き新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に細心の注意を払いながらの操業となり、安定稼働に向けて各工場が独自で感染症対策を実施するなど徹底した生産管理体制を整えている。
(注)直近7カ年(令和2年〈2020年〉〜平成26年〈2014年〉)の1ヘクタール当たりの収量のうち最高、最低を除く5カ年分の平均。
3. 輸入動向
【粗糖の輸入動向】
9月の輸入量は前年同月から大幅に増加
財務省「貿易統計」によると、2021年9月の甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード 1701.14-110)および甘しゃ糖・その他(同1701.14-200の豪州)の輸入量は、13万15トン(前年同月比48.5%増、前月比53.3%増)であった(図1)。
輸入先国は甘しゃ糖・分みつ糖についてはタイ、甘しゃ糖・その他については豪州で、国別の輸入量は次の通りであった(図2)。
タイ 2万5524トン
(前年同月比70.2%増、前月輸入実績なし)
豪州 10万4491トン
(同2.5倍、前月比23.2%増)
2021年9月の甘しゃ糖・分みつ糖の1トン当たりの輸入価格は、5万5533円(前年同月比49.8%高、前月輸入実績なし)であった(図3)。
国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。
タイ 5万5533円
(前年同月比32.2%高、前月輸入実績なし)
また、同月における甘しゃ糖・その他の豪州からの高糖度原料糖の1トン当たりの輸入価格は、5万6762円(前年同月比50.2%高、前月比2.9%高)であった(図4)。
【含みつ糖の輸入動向】
9月の輸入量は前年同月から大幅に増加
財務省「貿易統計」によると、2021年9月の含みつ糖(HSコード1701.13-000、1701.14-190)の輸入量は、230トン(前年同月比76.9%増、前月比34.7%減)であった(図5)。
輸入先国は中国、フィリピン、コスタリカ、インドおよびパキスタンの5カ国で、国別の輸入量は次の通りであった(図6)。
中国 171トン
(前年同月比80.0%増、前月比11.9%減)
フィリピン 36トン
(同2.9%増、同73.5%減)
コスタリカ 20トン
(前年同月および前月輸入実績なし)
インド 2トン
(前年同月輸入実績なし、前月同)
パキスタン 1トン
(前年同月および前月輸入実績なし)
2021年9月の1トン当たりの輸入価格は、15万1213円(前年同月比17.1%高、前月比20.0%高)であった(図7)。
国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。
中国 12万9906円
(前年同月比7.6%高、前月比4.8%高)
フィリピン 22万3111円
(同46.6%高、同72.4%高)
コスタリカ 18万550円
(前年同月および前月輸入実績なし)
インド 26万9000円
(前年同月輸入実績なし、前月比19.1%安)
パキスタン 38万4000円
(前年同月および前月輸入実績なし)
【加糖調製品の輸入動向】
9月の加糖調製品の輸入量は前年同月からかなりの程度減少
財務省「貿易統計」によると、2021年9月の加糖調製品の輸入量は、3万5574トン(前年同月比7.7%減、前月比8.7%減)であった(図8)。
品目別の輸入量は、表5の通りであった。
4.異性化糖の移出動向
10月の移出量は前年同月からわずかに増加
2021年10月の異性化糖の移出量は、5万8557トン(前年同月比0.8%増、前月比7.6%増)であった(図9)。
同月の規格別の移出量は、次の通りであった(図10)。
果糖含有率40%未満 359トン
(前年同月比6.1%減、前月比2.5%減)
同40%以上50%未満 1万5626トン
(同5.9%減、同1.7%減)
同50%以上60%未満 4万2139トン
(同4.2%増、同11.5%増)
同60%以上 433トン
(同36.6%減、同20.2%増)
5. 価格動向
【市場価格】
砂糖、異性化糖ともに前月と同水準で推移
10月の糖種別・地域別の砂糖価格(日経相場)は、次の通りであった。
上白糖(大袋)
東京 1キログラム当たり198〜199円
大阪 同198〜199円
名古屋 同202円
関門 同202円
上白糖(小袋)
東京 1キログラム当たり210〜213円
大阪 同213円
本グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり203〜204円
大阪 同203〜204円
名古屋 同207円
ビート・グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり198〜199円
大阪 同198〜199円
名古屋 同200円
10月の異性化糖の価格(日経相場、大口需要家向け価格、東京、タンクローリーもの、JAS規格品、水分25%)は、次の通りであった。
果糖分42%もの 1キログラム当たり141〜147円
果糖分55%もの 同147〜153円
【小売価格】
10月の上白糖小袋の地域間の価格差は最大で36.1円
KSP-POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける10月の上白糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、198.1円(前年同月差5.8円高、前月差3.9円高)であった。最も高かったのは中国・四国で、最も安かった関東などとの価格差は36.1円であった。
同月の地域別(注)の平均小売価格は、次の通りであった(表6)。
(注)地域の内訳は、次の通りである(以下同じ)。
関東など:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
首都圏:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
中部:新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
関西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県
10月のグラニュー糖小袋の地域間の価格差は最大で74.9円
KSP-POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける10月のグラニュー糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、251.8円(前年同月差7.7円高、前月差3.7円高)であった。最も高かったのは東北で、最も安かった北海道との価格差は74.9円であった。
同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった(表7)。
10月の三温糖小袋の地域間の価格差は最大で60.5円
KSP-POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける10月の三温糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、235.6円(前年同月差7.4円高、前月差1.6円高)であった。最も高かったのは東北で、最も安かった九州・沖縄との価格差は60.5円であった。
同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった(表8)。
【購入金額および購入量】
9月の砂糖の支出金額は前年同月からわずかに上昇
総務省「家計調査」によると、2021年9月における100世帯当たりの砂糖の購入頻度は30、1世帯(2人以上)当たりの支出金額は72円(前年同月比4.0%安、前月比10.0%安)であった(図11)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、299グラム(同5.7%減、同9.7%減)であった(図12)。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272