【生産量】
生産量第1位のブラジルは、干ばつや霜害などの影響を受けて3801万トン(前年度比14.8%減)とかなり大きく減少するものの、世界の砂糖生産量の5分の1強を占めると見込まれる(図2)。
続くインドは、北部で発生した大雨によるサトウキビの品質低下や、エタノールやグル
(注)へ仕向けられるサトウキビの増加により、3321万トン(同0.6%減)とわずかに減少し、世界の砂糖生産量の5分の1弱を占めると見込まれる。
また、てん菜糖が主体となるEUにおいては、干ばつを記録した前年と比べて降雨量が多く、大規模な病害虫も発生していないため、1724万トン(同13.9%増)とかなり大きく増加すると見込まれる。
(注)サトウキビの搾り汁を清浄化した後、オープンパン(釜炊き)で煮詰め、固形状にした含みつ糖。詳細は、『砂糖類・でん粉情報』2020年5月号「インドにおける砂糖の生産動向および余剰在庫解消への取り組み」の「コラム1 インドの伝統的な含みつ糖グル」https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002197.htmlを参照されたい。
【輸入量】
輸入量第1位の中国では、2021年の砂糖輸入が前年を上回るペースで推移し、国内の在庫の積み増しが想定されることから、598万トン(前年度比27.7%減)と大幅に減少し、世界の砂糖輸入量の1割弱となることが見込まれる。
続くインドネシアは、家庭消費用の砂糖需要の増加に伴い592万トン(同1.3%増)とわずかに増加し、首位の中国と同水準となることが見込まれる。
【消費量】
消費量第1位のインドは、人口の増加や砂糖需要の回復に伴い、2862万トン(前年度比1.1%増)とわずかに増加し、世界の砂糖消費量の15%を占めると見込まれる。
続くEUは、砂糖需要の回復を受けて1729万トン(同2.3%増)とわずかな増加が見込まれる。
長らく世界の砂糖需要をけん引してきた中国は、1685万トン(前年度同)と横ばいで推移し、EUと同水準の消費が見込まれる。
【輸出量】
輸出量第1位のブラジルは、砂糖の減産のほか、コロナ禍における物流の混乱を背景とした海上運賃の高騰を受けて、インドネシアやアフリカ諸国などで同国産の粗糖需要が低下していることから、2735万トン(前年度比19.7%減)と大幅に減少するものの、世界の砂糖輸出の4割強を占めると見込まれる。
続くタイは、サトウキビ生産の回復による砂糖の増産などを背景に、772万トン(同95.4%増)と干ばつの影響を受けた前年度からほぼ倍増すると見込まれるものの、大幅な増産となった2017/18年度や2018/19年度の輸出量(約1000万トン)には届かない状況にある。
インドは、国際価格の上昇を期待して、国内製糖業者が年度後半の輸出契約を見極めている状況にあることや、海上運賃の高騰による粗糖の輸入量減少を受けて、海外産粗糖を原料とした精製糖の輸出量が減少するとの予測などから、687万トン(同19.9%減)と大幅な減少が見込まれている。