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5.日本の主要輸入先国の動向(2021年12月時点予測)

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最終更新日:2022年1月11日

5.日本の主要輸入先国の動向(2021年12月時点予測)

2022年1月

 近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14–110〉および甘しゃ糖・その他〈同 1701.14–200〉の合計)の主要輸入先国は、豪州およびタイで、2020年の主要輸入先国ごとの割合を見ると、豪州が86.6%(前年比5.2ポイント増)、タイが10.5%(同8.1ポイント減)となっており、2カ国でほとんどを占めている(財務省「貿易統計」)。

豪州

2021/22年度の砂糖生産量は、やや減少する見込み
 2021/22年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、35万ヘクタール(前年度比1.2%減)とわずかに減少すると見込まれる(表6)。サトウキビ生産量は、3039万トン(同2.4%減)とわずかに減少すると見込まれる。

 砂糖生産量は、COVID–19の拡大による都市封鎖や主力製糖工場での機械故障などによる稼働率の低下を受けて収穫作業に遅れが出るなどの影響により、415万トン(同3.0%減)とやや減少すると見込まれる。輸出量は、在庫量の減少を背景に、310万トン(同7.6%減)と依然減少傾向が続くと見込まれている。

表6 豪州の砂糖需給の推移

タイ

2021/22年度の輸出量は、前年度から大幅に回復する見込み
 2021/22年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、149万ヘクタール(前年度比0.2%増)と前年並みで推移すると見込まれる(表7)。サトウキビ生産量は、前年度が干ばつの影響を大きく受けた中、主産地の降雨量が平年並みまで回復し、単収が大きく改善することで、9250万トン(同38.8%増)と大幅に増加すると見込まれる。

 砂糖生産量は、サトウキビ生産量の大幅な回復を受けて1061万トン(同35.1%増)と大幅に増加すると見込まれる。輸出量も、サトウキビが記録的不作となった前年度からの反動を受けて、772万トン(同95.4%増)と大幅に回復し、前年度比で倍増に迫る状況となることが見込まれる。なお、期末在庫量は430万トンと前年度よりも減少し(同12.8%減)、期末在庫率も輸出量の大幅な回復を受けて38.3%(同27.1ポイント減)と大幅な低下が見込まれる。

環境改善を視野に、農機販売などを促進するオンラインサイトを開設
 タイ工業省が11月26日に発表したプレスリリースによると、サトウキビ・砂糖委員会事務局(OCSB)(注1)は、同省の政策方針を受けて、サトウキビ農家とメーカーや販売会社などの農業機械事業者をつなぐ場として新たにオンラインサイトを開設した。こうした支援により、農家がより便利かつ迅速に、トラクターやハーベスタ、耕うん機などの農機の情報にアクセスできるようになる。また、OCSBは農業機械事業者に対し、販売と貸出の両面から当サイトへの参加を呼び掛けており、サトウキビ生産における機械化の推進を通じ、生産コストの引き下げとともに、単収の向上を目指すとしている。

 この同省による機械化推進の背景には、環境問題を巡る政府としての対応が挙げられる。同国政府は2021年5月、大気汚染物質(PM2.5)の排出削減を目的に、焼き畑によるサトウキビの収穫を2021/22年度(10月〜翌9月)で収穫量全体の10%にまで引き下げ、23/24年度には0%とする目標を閣議決定していた(注:20/21年度時点で焼き畑によって収穫されたサトウキビは27%)。また、目標達成に向けた助成も予定されており、21/22年度には、59億バーツ(204億円:1バーツ=3.46円(注2))を上限に、焼き畑を行わないサトウキビ生産に対して1トン当たり120バーツ(415円)の交付などが行われる。

(注1)OCSBは、工業省内に設置された、サトウキビ・砂糖委員会(TCSB)の事務局。TCSBは、サトウキビおよび砂糖関連政策の執行機関である3省(工業省〈製糖関係〉、農業協同組合省〈原料作物関係〉、商務省〈砂糖の売買関係〉)とサトウキビ生産者および製糖企業の代表で構成されている。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の11月末TTS相場。

 

表7

(参考) タイの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

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