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砂糖の価格調整業務実績について （令和2砂糖年度）
最終更新日：2022年2月10日
砂糖の価格調整業務実績について （令和2砂糖年度）
2022年2月
特産調整部、特産業務部
はじめに
当機構では「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」に基づき、輸入糖、異性化糖および輸入加糖調製品の買入れ・売戻しにより調整金を徴収し、それらを財源として国内のサトウキビ生産者やてん菜糖・甘しゃ糖の製造事業者に支援を行うことで内外価格差を調整し、国内の砂糖の安定的な供給の確保を図っている。
本稿では、令和2砂糖年度（令和2年10月1日〜令和3年9月30日〈以下「2SY」という〉）における砂糖の価格調整業務実績について取りまとめたので、報告する。
本稿では、令和2砂糖年度（令和2年10月1日〜令和3年9月30日〈以下「2SY」という〉）における砂糖の価格調整業務実績について取りまとめたので、報告する。
1．調整金徴収業務
2SYの指標価格など
2SYの指標価格などは表1の通り。
（2） 砂糖の需要と供給
令和3年12月に農林水産省が公表した2SYの砂糖の需給見通しは表2、3の通り。
（3） 国際相場などの動き
2SYにおいては、令和2年10月以降、タイやブラジルなどの主要生産国におけるサトウキビや砂糖生産量の減少見通しが相次いだことから相場は上昇傾向で推移し、令和3年2月には原油価格の上昇なども相まって、1ポンド当たりの月平均価格は17.00セントまで上昇した。その後、3月に入り新型コロナウイルス感染症（COVID–19）の感染拡大が経済を停滞させるとの懸念に加え、インド産砂糖の増産予測もあり15.81セントまで下落したものの、4月以降は、ブラジルのサトウキビ生産地で発生した霜害への懸念やエタノール価格の上昇などを受けて再び相場は上昇傾向で推移し、9月には19.26セントとなった。
（4） 粗糖、加糖調製品糖および異性化糖の平均輸入価格など
2SYにおける粗糖、加糖調製品糖および異性化糖の平均輸入価格などは表4〜6の通り。粗糖の国際相場がSYを通じて上昇傾向で推移したこともあり、粗糖の平均輸入価格も上昇傾向で推移した（表4）。
（5） 売買実績
ア．輸入糖
2SYの輸入糖の売買数量は前SY比2.3%増の106万4000トンとなった（表7）。これは前SYから引き続きCOVID–19による外出自粛や、インバウンド需要の蒸発などの影響によるところが大きく、売買数量はCOVID–19以前の30SYの水準まで回復するには至っていない状況にある。
イ．輸入加糖調製品
2SYの輸入加糖調製品の売買数量は前SY比8.0%減の42万7000トンとなった（表7）。
これは、輸入糖と同様、COVID–19による外出自粛や、インバウンド需要の蒸発などの影響によるところが大きい。
ウ．異性化糖
2SYの異性化糖の売買は、全期間を通じて異性化糖の平均供給価格（機構の買入価格）が異性化糖標準価格（機構の実質的な売戻価格）を上回ったことから、売買は行われなかった。
2SYの輸入糖の売買数量は前SY比2.3%増の106万4000トンとなった（表7）。これは前SYから引き続きCOVID–19による外出自粛や、インバウンド需要の蒸発などの影響によるところが大きく、売買数量はCOVID–19以前の30SYの水準まで回復するには至っていない状況にある。
イ．輸入加糖調製品
2SYの輸入加糖調製品の売買数量は前SY比8.0%減の42万7000トンとなった（表7）。
これは、輸入糖と同様、COVID–19による外出自粛や、インバウンド需要の蒸発などの影響によるところが大きい。
ウ．異性化糖
2SYの異性化糖の売買は、全期間を通じて異性化糖の平均供給価格（機構の買入価格）が異性化糖標準価格（機構の実質的な売戻価格）を上回ったことから、売買は行われなかった。
2．交付金交付業務など
（1） 甘味資源作物および国内産糖の生産動向
ア．てん菜・てん菜糖
2SYのてん菜は、農林水産省の需給見通しによると、春作業は順調に推移し、また、令和2年6月以降、好天に恵まれ全体的に順調な生育となった。その結果、豊作だった前SYこそ下回るものの、てん菜の生産量は前SY比1.9%減の391万2000トン、産糖量も同3.1%減の63万1000トンとなった（表8）。
2SYのてん菜は、農林水産省の需給見通しによると、春作業は順調に推移し、また、令和2年6月以降、好天に恵まれ全体的に順調な生育となった。その結果、豊作だった前SYこそ下回るものの、てん菜の生産量は前SY比1.9%減の391万2000トン、産糖量も同3.1%減の63万1000トンとなった（表8）。
イ．サトウキビ・甘しゃ糖
2SYの鹿児島県および沖縄県のサトウキビは、農林水産省の需給見通しによると、島によっては春先の低温・日照不足があり、また、一部地域では令和2年8月から10月にかけて台風が襲来したことにより被害は見られたものの、全体として台風被害は比較的少なく、おおむね順調な生育となった。その結果、両県を合わせた生産量は前SY比13.8%増の133万6000トン、産糖量は同12.0%増の14万9000トンとなった（表9、表10）。
2SYの鹿児島県および沖縄県のサトウキビは、農林水産省の需給見通しによると、島によっては春先の低温・日照不足があり、また、一部地域では令和2年8月から10月にかけて台風が襲来したことにより被害は見られたものの、全体として台風被害は比較的少なく、おおむね順調な生育となった。その結果、両県を合わせた生産量は前SY比13.8%増の133万6000トン、産糖量は同12.0%増の14万9000トンとなった（表9、表10）。
（2） 交付金の交付状況など
ア．甘味資源作物交付金（サトウキビのみ）
サトウキビの収穫期はおおむね12月から翌年5月ごろまでであり、製造事業者への売渡しに応じて交付金を交付している。2SYは、交付決定数量がサトウキビ生産量の増加を受け、前SY比13.5%増の125万9000トンとなり、交付決定金額も生産量の増加に加えて交付金単価が上昇したため、同13.9%増の216億8300万円となった（表11）。
サトウキビの収穫期はおおむね12月から翌年5月ごろまでであり、製造事業者への売渡しに応じて交付金を交付している。2SYは、交付決定数量がサトウキビ生産量の増加を受け、前SY比13.5%増の125万9000トンとなり、交付決定金額も生産量の増加に加えて交付金単価が上昇したため、同13.9%増の216億8300万円となった（表11）。
イ．国内産糖交付金
（ア）てん菜糖の交付状況
てん菜糖製造事業者の販売は年間を通じて行われ、販売数量に応じて交付金を交付している。2SYは、交付決定数量が前SY比6.5%増の62万2000トンとなった。また、交付決定金額は、数量の増加を受けて同5.0%増の157億300万円となった（表12）。
（ア）てん菜糖の交付状況
てん菜糖製造事業者の販売は年間を通じて行われ、販売数量に応じて交付金を交付している。2SYは、交付決定数量が前SY比6.5%増の62万2000トンとなった。また、交付決定金額は、数量の増加を受けて同5.0%増の157億300万円となった（表12）。
（イ）甘しゃ糖の交付状況
甘しゃ糖製造事業者が製造した粗糖は、製糖後それほど期間を置かずに精製糖メーカーに販売されるため、操業時期に対応して交付金を交付している。
2SYは、サトウキビの生育が順調だったことから産糖量も増加し、交付決定数量は前SY比11.6%増の14万8000トンとなった。また、交付決定金額は、数量の増加を受けて同10.4%増の97億9800万円となった（表13）。
甘しゃ糖製造事業者が製造した粗糖は、製糖後それほど期間を置かずに精製糖メーカーに販売されるため、操業時期に対応して交付金を交付している。
2SYは、サトウキビの生育が順調だったことから産糖量も増加し、交付決定数量は前SY比11.6%増の14万8000トンとなった。また、交付決定金額は、数量の増加を受けて同10.4%増の97億9800万円となった（表13）。
（3） 国庫納付金納付業務（てん菜）
てん菜生産者への農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に要する経費の財源に充てるため、農林水産大臣からの通知に従い、2SY（発生ベース）分として、調整金収入などから151億2300万円を国庫に納付する予定である。
2SYは前SYと比較し調整金収入が減少したため、国庫への納付金額も減少する見込みである（表14）。
2SYは前SYと比較し調整金収入が減少したため、国庫への納付金額も減少する見込みである（表14）。
（4） 砂糖の価格調整業務における収支（見込み）
2SYの調整金収入については、輸入糖は、前SYから続くCOVID–19の影響により、砂糖需要ひいては輸入糖の売買数量が前SYに引き続き低水準となったことや、砂糖の国際相場の上昇により調整金単価が低下したことから、前SYより13億円減の379億円となった（表15）。
一方、TPP11協定発効に伴い調整金徴収を開始した輸入加糖調製品については、前SYより5億円増の67億円の収入となり、国費の増加も含む収入全体では前SYより2億円増の552億円となった。
支出については、サトウキビおよび甘しゃ糖の生産量の増加、てん菜糖の交付決定数量の増加に伴い、交付決定金額が増加したことなどから、全体としては前SYより17億円増の624億円と見込まれる。
これらの結果、2SYの調整金収支は、71億円の赤字（前SYは56億円の赤字）となり、前SYに引き続き、大幅な単年度赤字となるとともに、23SY以来のマイナス300億円を超える期末残高（2SY期末：▲336億円）となることが見込まれる（図2）。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 （担当：企画情報グループ）
Tel:03-3583-9272
農畜産業振興機構 調査情報部 （担当：企画情報グループ）
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